Web Audio API

W3C Working Draft, 19 June 2018 ( 日本語訳 )

この文書は、W3Cの文書 "Web Audio API, W3C Working Draft 19 June 2018" の日本語訳です。

この翻訳は既に新しい版に置き換えられています。

最新版はこちら:
「Web Audio API」( 日本語訳 )

旧版はこちら:
「Web Audio API」 W3C Working Draft 08 December 2015 ( 日本語訳 )
「Web Audio API」 W3C Working Draft 10 October 2013 ( 日本語訳 )

Web Audio API の正式な文書は英語版のみであり、日本語訳には翻訳に起因する誤りが含まれている場合があります。 英語版の正式な文書はW3Cのサイト : http://www.w3.org/TR/webaudio/にあります。

なお、翻訳元の文書もまだドラフト ( Working Draft ) です。現状ではまだ説明が不足している部分があったり、今後も頻繁に更新される可能性がある事に注意してください。

日本語訳GitHub : https://github.com/g200kg/web-audio-api-ja
日本語訳公開URL : https://g200kg.github.io/web-audio-api-ja/

Tatsuya Shinyagaito @ g200kg
誤りその他があれば GitHub 経由などで連絡をお願いいたします。
https://www.g200kg.com/

2018年9月02日


Web Audio API

W3C Working Draft,

このバージョン:
https://www.w3.org/TR/2018/WD-webaudio-20180619/
最新の公開バージョン:
https://www.w3.org/TR/webaudio/
以前のバージョン:
エディターズドラフト:
https://webaudio.github.io/web-audio-api/
フィードバック:
public-audio@w3.org with subject line “[webaudio] … message topic …” (archives)
テストスイート:
https://github.com/web-platform-tests/wpt/tree/master/webaudio
イシュートラッキング:
GitHub
編集者:
(Mozilla (https://www.mozilla.org/))
(Google (https://www.google.com/))
以前の編集者:
Chris Wilson (Until Jan 2016)
Chris Rogers (Until Aug 2013)
バグトラッカー:
https://github.com/WebAudio/web-audio-api/issues?state=open

要約

この仕様は Web アプリケーションにおけるオーディオの処理および合成に関する高レベルの JavaScript API について記述します。 その基本的な枠組みとなっているのはオーディオのルーティンググラフであり、多数の AudioNode オブジェクトが互いに接続される事で最終的なオーディオ出力が定義されます。 実際の処理は基本的に下層にある実装 ( 典型的には最適化されたアセンブリ言語 / C / C++ コード ) で行われますが、直接的なスクリプトによる処理と合成 もサポートされています。

序文 セクションではこの仕様の背後にある動機についても取り上げます。

この API は他の API や Web プラットフォームの要素、特に : ( responseTyperesponse 属性を使った ) XMLHttpRequest[XHR] と共に使われるように設計されています。 ゲームやインタラクティブなアプリケーションでは、canvas 2D [2dcontext] および WebGL [WEBGL] 3D グラフィックス API と共に使われる事が予想されます。

この文書の位置付け

このセクションは、この文書の公開時における状況を記述したものです。他の文書がこの文書に取って代わるかもしれません。現在の W3C の刊行物およびこの技術レポートの最新改訂版のリストは、http://www.w3.org/TR/ にある W3C 技術レポートインデックス から見つけることができます。

ワーキングドラフトとしての公開は W3C メンバーによる承認を意味するものではありません。これは草案文書であり、いつでも他の文書によって改訂、置き換えあるいは廃止される可能性があります。この文書を作業中のもの以外として引用する事は不適切です。

もしこの文書に対するコメントがあれば、仕様のリポジトリにイシューを登録 するか、または public-audio@w3.org ( subscribe, archives ) に送ってください。

この文書は Web Audio Working Group によって発行されました。

この文書は W3C Patent Policy の基に運用されるグループによって作成されました。W3C はグループの成果物から作成された 特許開示リスト を管理しています; また、このページは特許開示の方法についても提示しています。特許について実際の知識を持ち、それが 基本的な請求事項 を含むと考える者は、 W3C Patent Policy 6節 に従って情報を開示しなくてはなりません。

この文書は 2018年2月1日 W3C Process Document によって管理されます。

序文

これまでの Web 上のオーディオはかなり未発達なもので、ごく最近まで Flash や QuickTime のようなプラグインを通して配信しなくてはなりませんでした。HTML5 での audio 要素の導入は、基本的なストリーミング・オーディオ再生を可能にする重要なものです。しかし、より複雑なオーディオアプリケーションを扱うには、それだけではまだ充分に強力ではありません。洗練された Web ベースのゲームやインタラクティブ・アプリケーションのためには別の解決策が必要とされます。この仕様では、近年のデスクトップ・オーディオ制作アプリケーションに見られるミキシング、プロセシング、フィルタリング処理に加え、近年のゲームオーディオエンジンに見られるような機能も持たせる事を目標とします。

この API はさまざまな使用例 [webaudio-usecases] を考慮して設計されています。理想的にはすべての使用例が、JavaScript から制御される最適化された C++ エンジンを使って無理なく実装でき、ブラウザーで動作するようにサポートされなくてはなりません。とは言っても、近年のデスクトップ・オーディオソフトウェアは極めて高度な機能を持ち、それらの一部はこのシステムを使ったとしても構築する事が困難か不可能と考えられます。Apple 社の Logic Audio がそのようなアプリケーションの 1 つであり、外部 MIDI コントローラー、任意のプラグイン・オーディオエフェクトやシンセサイザー、高度に最適化されたオーディオファイルのディスクへの読み込み/書き出し、密に統合されたタイムストレッチなどなどをサポートしています。それでもなお、ここで提案するシステムは、音楽に関するものを含めて、かなり複雑なゲームやインタラクティブ・アプリケーションの広い範囲を充分にサポートする事が可能です。またそれは、WebGL によってもたらされる、より高度なグラフィックスの機能をよく引き立たせる事が可能です。このAPIはより高度な機能を後から追加できるように設計されています。

機能

この API は、これらの基本機能をサポートします:

モジュラールーティング

モジュラールーティングによって異なる AudioNode オブジェクト同士を任意に接続できます。それぞれのノードは入力および出力を持っています。 ソースノードは入力は持たず、ひとつの出力を持ちます。 デスティネーションノードはひとつの入力を持ち、出力は持っていません。フィルターなどの他のノードはソースとデスティネーションの間に配置することができます。2 つのオブジェクトが互いに接続している場合、低レベルのストリーム形式の詳細について開発者が煩わされる事なく、適正な処理が行われます。 例えばもしモノラルの音声ストリームがステレオの入力に接続されていても、左右のチャンネルに 適正 にミックスされます。

最も単純な例は、ひとつの音声ソースを出力に直接接続したものです。すべての接続は単一の AudioDestinationNode を持つ AudioContext 内部で行われます:

modular routing
モジュラールーティングの単純な例

この単純なルーティングを図示します。この例では単一の音を再生しています:

var context = new AudioContext();

function playSound() {
  var source = context.createBufferSource();
  source.buffer = dogBarkingBuffer;
  source.connect(context.destination);
  source.start(0);
}

これはもっと複雑な例で、3 つのソースとコンボリューションリバーブが最終出力段にあるダイナミックコンプレッサーを介して送られます:

modular routing2
モジュラールーティングのより複雑な例
var context = 0;var compressor = 0;var reverb = 0;var source1 = 0;var source2 = 0;var source3 = 0;var lowpassFilter = 0;var waveShaper = 0;var panner = 0;var dry1 = 0;var dry2 = 0;var dry3 = 0;var wet1 = 0;var wet2 = 0;var wet3 = 0;var masterDry = 0;var masterWet = 0;function setupRoutingGraph () {  context = new AudioContext();  // Create the effects nodes.  lowpassFilter = context.createBiquadFilter();  waveShaper = context.createWaveShaper();  panner = context.createPanner();  compressor = context.createDynamicsCompressor();  reverb = context.createConvolver();  // Create master wet and dry.  masterDry = context.createGain();  masterWet = context.createGain();  // Connect final compressor to final destination.  compressor.connect(context.destination);  // Connect master dry and wet to compressor.  masterDry.connect(compressor);  masterWet.connect(compressor);  // Connect reverb to master wet.  reverb.connect(masterWet);  // Create a few sources.  source1 = context.createBufferSource();  source2 = context.createBufferSource();  source3 = context.createOscillator();  source1.buffer = manTalkingBuffer;  source2.buffer = footstepsBuffer;  source3.frequency.value = 440;  // Connect source1  dry1 = context.createGain();  wet1 = context.createGain();  source1.connect(lowpassFilter);  lowpassFilter.connect(dry1);  lowpassFilter.connect(wet1);  dry1.connect(masterDry);  wet1.connect(reverb);  // Connect source2  dry2 = context.createGain();  wet2 = context.createGain();  source2.connect(waveShaper);  waveShaper.connect(dry2);  waveShaper.connect(wet2);  dry2.connect(masterDry);  wet2.connect(reverb);  // Connect source3  dry3 = context.createGain();  wet3 = context.createGain();  source3.connect(panner);  panner.connect(dry3);  panner.connect(wet3);  dry3.connect(masterDry);  wet3.connect(reverb);  // Start the sources now.  source1.start(0);  source2.start(0);  source3.start(0);}

モジュラールーティングはまた AudioNode の出力を 別の AudioNode の動きを制御する AudioParam パラメーターに接続する事もできます。この場合は、ノードからの出力は 入力信号ではなくモジュレーション信号として働きます。

modular routing3
モジュラールーティングによってオシレーターの出力で別のオシレーターの周波数を変調する図
function setupRoutingGraph() {  var context = new AudioContext();  // Create the low frequency oscillator that supplies the modulation signal  var lfo = context.createOscillator();  lfo.frequency.value = 1.0;  // Create the high frequency oscillator to be modulated  var hfo = context.createOscillator();  hfo.frequency.value = 440.0;  // Create a gain node whose gain determines the amplitude of the modulation signal  var modulationGain = context.createGain();  modulationGain.gain.value = 50;  // Configure the graph and start the oscillators  lfo.connect(modulationGain);  modulationGain.connect(hfo.detune);  hfo.connect(context.destination);  hfo.start(0);  lfo.start(0);}

API の概要

定義されているインターフェイスは次のとおりです:

また非推奨ですがまだ削除されておらず、置き換えの実装が予定されているいくつかの Web Audio API があります。

1. オーディオ API

1.1. BaseAudioContext インターフェイス

このインターフェイスは AudioNode オブジェクトのセットとそれらの接続を表します。それによって AudioDestinationNode に任意の信号をルーティングする事を可能にします。ノードはコンテキストから作成され、お互いに 接続 されます。

BaseAudioContext は直接的にはインスタンス化されず、代わりに AudioContext (リアルタイムレンダリングの場合)と OfflineAudioContext (オフラインレンダリングの場合)が拡張された具体的なインターフェイスとなっています。

enum AudioContextState {
  "suspended",
  "running",
  "closed"
};
列挙値の説明
"suspended" このコンテキストは現在中断 ( コンテキストの時間は進まず、オーディオハードウェアはパワーダウン / 解放 ) しています。
"running" オーディオは処理状態にあります。
"closed" このコンテキストは解放され、もうオーディオ処理に使用できません。すべてのシステムオーディオリソースは解放されました。新しいノードを作成しようとすると InvalidStateError が発生します。( AudioBuffer は createBuffer()decodeAudioData()、あるいは AudioBuffer のコンストラクタを通してまだ作成できるかも知れません )
callback DecodeErrorCallback = void (DOMException error);

callback DecodeSuccessCallback = void (AudioBuffer decodedData);

[Exposed=Window]
interface BaseAudioContext : EventTarget {
  readonly attribute AudioDestinationNode destination;
  readonly attribute float sampleRate;
  readonly attribute double currentTime;
  readonly attribute AudioListener listener;
  readonly attribute AudioContextState state;
  [SameObject, SecureContext]
  readonly attribute AudioWorklet audioWorklet;
  attribute EventHandler onstatechange;

  AnalyserNode createAnalyser ();
  BiquadFilterNode createBiquadFilter ();
  AudioBuffer createBuffer (unsigned long numberOfChannels, unsigned long length, float sampleRate);
  AudioBufferSourceNode createBufferSource ();
  ChannelMergerNode createChannelMerger (optional unsigned long numberOfInputs = 6);
  ChannelSplitterNode createChannelSplitter (optional unsigned long numberOfOutputs = 6);
  ConstantSourceNode createConstantSource ();
  ConvolverNode createConvolver ();
  DelayNode createDelay (optional double maxDelayTime = 1.0);
  DynamicsCompressorNode createDynamicsCompressor ();
  GainNode createGain ();
  IIRFilterNode createIIRFilter (sequence<double> feedforward, sequence<double> feedback);
  OscillatorNode createOscillator ();
  PannerNode createPanner ();
  PeriodicWave createPeriodicWave (sequence<float> real, sequence<float> imag, optional PeriodicWaveConstraints constraints);
  ScriptProcessorNode createScriptProcessor(optional unsigned long bufferSize = 0,
                                            optional unsigned long numberOfInputChannels = 2,
                                            optional unsigned long numberOfOutputChannels = 2);
  StereoPannerNode createStereoPanner ();
  WaveShaperNode createWaveShaper ();

  Promise<AudioBuffer> decodeAudioData (ArrayBuffer audioData,
                                        optional DecodeSuccessCallback successCallback,
                                        optional DecodeErrorCallback errorCallback);
  Promise<void> resume ();
};

1.1.1. 属性

audioWorklet, AudioWorklet 型, readonly

[worklets-1]AudioWorklet のアルゴリズムにより定義された AudioWorkletProcessor クラスのスクリプトをインポート可能な Worklet オブジェクトへのアクセスを行います。

currentTime, double 型, readonly

コンテキストのレンダリンググラフで最後に処理されたオーディオブロックの最後のサンプルフレームの次のサンプルの秒で表した時刻です。もしコンテキストのレンダリンググラフがまだオーディオブロックを処理していない場合 currentTime は 0 になります。

currentTime の時間軸で 0 はグラフで処理される最初のブロックの最初のサンプルフレームに対応します。このシステムの経過時間は BaseAudioContext が生成するオーディオストリームの経過時間に対応し、それはシステム内の他の時計には同期しないかも知れません。( OfflineAudioContext では、ストリームはどのデバイスも能動的に再生しないため、実時間とはまったく違う進み方になります )

Web Audio API のすべてのスケジュールされた時刻は currentTime に対する相対値になります。

BaseAudioContext が "running" 状態にあるとき、この属性は単調増加し、レンダリングスレッドにより 1 レンダリング量子 に対応する均一な増分で更新されます。そのため動作中のコンテキストでは、currentTime はシステムがオーディオブロックを処理するに従って徐々に増加し、常に次に処理されるオーディオブロックの先頭の時刻を表します。それはまた現在の状態に対する変更が効力を持つ最も早い時刻でもあります。

currentTime は制御スレッドが戻るまでに アトミック に読み取られなくてはなりません ( MUST )。

destination, AudioDestinationNode 型, readonly

AudioDestinationNode は単一の入力を持ち、すべてのオーディオの最終的な出口を表しています。通常これは実際のオーディオハードウェアを表します。動作中のすべての AudioNode は直接または間接的にこの destination に接続されます。

listener, AudioListener 型, readonly

AudioListener は 3D spatialization で使用されます。

onstatechange, EventHandler

BaseAudioContext に AudioContext の状態が変化したとき ( 例えば、対応する Promise がリゾルブされたときなど ) にディスパッチされるイベントの EventHandler を設定するために使用されるプロパティです。 AudioContext の状態を直接問い合わせる事ができる Event 型のイベントがイベントハンドラーに発行されます。 新たに作成された AudioContextは 常に "suspended" 状態から開始し、状態の変化イベントは異なる状態への遷移の度に発行されます。このイベントは oncomplete イベントが発行される前に発行されます。

sampleRate, float 型, readonly

BaseAudioContext が扱うオーディオのサンプルレート ( 1 秒あたりのサンプルフレーム数 ) です。コンテキスト内のすべての AudioNode はこのレートで動作する事を想定しています。これを想定するため、サンプレートコンバータや " 可変速 " 処理はリアルタイム処理内ではサポートされません。 Nyquist frequency はこのサンプルレートの半分の値となります。

state, AudioContextState 型, readonly

制御スレッド における AudioContext の現在の状態を表します。

1.1.2. メソッド

createAnalyser()

AnalyserNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: AnalyserNode
createBiquadFilter()

いくつかのタイプのフィルターに設定可能な 2 次フィルターを表す BiquadFilterNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: BiquadFilterNode
createBuffer(numberOfChannels, length, sampleRate)

与えられたサイズの AudioBuffer を作成します。バッファー内のデータは 0 ( 無音 ) で初期化されます。もし、引数のどれかが負、0 または範囲外の場合、NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )

BaseAudioContext.createBuffer() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
numberOfChannels unsigned long バッファーが持つチャンネル数を指定します。実装は少なくとも 32 チャンネルをサポートしなくてはなりません ( MUST )。
length unsigned long バッファーのサイズをサンプルフレーム数で指定します。
sampleRate float バッファー内のリニア PCM オーディオデータのサンプルレートを秒あたりのサンプルフレーム数で表します。実装は少なくとも 8000 から 96000 の範囲をサポートしなくてはなりません ( MUST )。
戻り値: AudioBuffer
createBufferSource()

AudioBufferSourceNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: AudioBufferSourceNode
createChannelMerger(numberOfInputs)

チャンネルマージャーを表す ChannelMergerNodeファクトリーメソッド です。パラメーター値が不正な場合は IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )

BaseAudioContext.createChannelMerger(numberOfInputs) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
numberOfInputs unsigned long 入力の数を指定します。値は 32 までサポートされなくてはなりません ( MUST )。もし指定されない場合は 6 となります。
戻り値: ChannelMergerNode
createChannelSplitter(numberOfOutputs)

チャンネルスプリッターを表す ChannelSplitterNodeファクトリーメソッド です。パラメーターの値が不正な場合は、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。

BaseAudioContext.createChannelSplitter(numberOfOutputs) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
numberOfOutputs unsigned long 出力の数を指定します。値は 32 までサポートされなくてはなりません ( MUST )。もし指定されない場合は 6 となります。
戻り値: ChannelSplitterNode
createConstantSource()

ConstantSourceNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: ConstantSourceNode
createConvolver()

ConvolverNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: ConvolverNode
createDelay(maxDelayTime)

DelayNodeファクトリーメソッド です。初期化時のデフォルト遅延時間は 0 秒です。

BaseAudioContext.createDelay(maxDelayTime) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
maxDelayTime double 遅延機能の遅延時間の最大値を秒で指定します。指定する場合は、その値は 0 よりも大きく 3 分よりも小さくなければなりません ( MUST )。そうでない場合 NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。 指定しない場合は 1 となります。
戻り値: DelayNode
createDynamicsCompressor()

DynamicsCompressorNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: DynamicsCompressorNode
createGain()

GainNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値 GainNode
createIIRFilter(feedforward, feedback)
BaseAudioContext.createIIRFilter() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
feedforward sequence<double> IIR フィルターの伝達関数のフィードフォワード ( 分子 ) の係数の配列です。この配列の最大の長さは 20 です。もしすべての値が 0 の場合、InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。 配列の長さが 0 または 20 より大きい場合は NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。
feedback sequence<double> IIR フィルターの伝達関数のフィードバック ( 分母 ) の係数の配列です。この配列の最大の長さは20です。もし配列の最初の要素が 0 の場合、 InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。 もし配列の長さが 0 または 20 より大きい場合は NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: IIRFilterNode
createOscillator()

OscillatorNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: OscillatorNode
createPanner()

PannerNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: PannerNode
createPeriodicWave(real, imag, constraints)

PeriodicWave を作成するファクトリーメソッド です。

このメソッドを呼び出したとき、以下の手順が実行されます:
  1. もし realimag が同じ長さでない場合、IndexSizeError が発生します ( MUST )。

  2. oPeriodicWaveOptions 型の新しいオブジェクトとします。

  3. このファクトリーメソッドに各々渡された real および imag パラメーターを、o の同じ名前の属性としてセットします。

  4. odisableNormalization 属性を、ファクトリーメソッドに渡された constraints 属性の disableNormalization の値にセットします。

  5. このファクトリーメソッドが呼ばれた BaseAudioContext を最初の引数とし、oを渡して新しい PeriodicWave p を作成します。

  6. p を返します。

BaseAudioContext.createPeriodicWave() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
real sequence<float> コサインパラメーターの数値列。詳細の説明についてはコンストラクタの引数 real を参照。
imag sequence<float> サインパラメーターの数値列。詳細の説明についてはコンストラクタの引数 imag を参照。
constraints PeriodicWaveConstraints 与えられていない場合は、波形は正規化されます。そうでない場合、波形は constraints に与えられた値に従って正規化されます。
戻り値: PeriodicWave
createScriptProcessor(bufferSize, numberOfInputChannels, numberOfOutputChannels)

ScriptProcessorNodeファクトリーメソッド です。このメソッドは廃止予定で、AudioWorkletNode で置き換えられます。 スクリプトによるオーディオデータ直接処理のための ScriptProcessorNode を作成します。 bufferSize または numberOfInputChannels または numberOfOutputChannels が範囲外の場合、 IndexSizeError例外を発生します ( MUST )。

numberOfInputChannelsnumberOfOutputChannels の両方を 0 にしてはいけません。この場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。

BaseAudioContext.createScriptProcessor(bufferSize, numberOfInputChannels, numberOfOutputChannels) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
bufferSize unsigned long bufferSize パラメーターはサンプルフレーム数でバッファーのサイズを指定します。もしそれが渡されない場合、または値が 0 である場合、実装はノードのライフタイムを通して一定な、動作環境に最適な2の累乗のバッファーサイズを選択します。それ以外の場合は明示的にバッファーサイズを指定します。それは次の値のどれかでなければなりません: 256、512、1024、2048、4096、8192、16384 ( MUST )。この値は onaudioprocess イベントが発生する頻度とそれぞれの呼び出しでどれだけのサンプルフレームを処理する必要があるかを制御します。bufferSize が小さい値ならば レイテンシー は低く ( 良く ) なります。オーディオが途切れ、グリッジ が発生する事を避けるには大きな値が必要となります。レイテンシー とオーディオ品質の間のバランスを取るためには、プログラマーはこのバッファーサイズを指定せず、実装に最適なバッファーサイズを選択させる事が推奨されます。もしこのパラメーターの値が上に示した許された2の累乗の値でない場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
numberOfInputChannels unsigned long このパラメーターはこのノードの入力チャンネル数を指定します。32 チャンネルまでの値がサポートされなくてはなりません。チャンネル数がサポート外の場合、NotSupportedError 例外を発生します。
numberOfOutputChannels unsigned long このパラメーターはこのノードの出力チャンネル数を指定します。32 チャンネルまでの値がサポートされなくてはなりません。チャンネル数がサポート外の場合、NotSupportedError 例外を発生します。
戻り値: ScriptProcessorNode
createStereoPanner()

StereoPannerNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: StereoPannerNode
createWaveShaper()

非線形な歪み効果を表す WaveShaperNodeファクトリーメソッド です。

パラメーターなし
戻り値: WaveShaperNode
decodeAudioData(audioData, successCallback, errorCallback)

ArrayBuffer 内にあるオーディオファイルのデータを非同期にデコードします。ArrayBuffer は、例えば XMLHttpRequestresponseType"arraybuffer" を指定した場合の response 属性としてロードされます。オーディオファイルデータは audio 要素でサポートされるどのフォーマットでも構いません。decodeAudioData() に渡されるバッファーは [mimesniff] で説明される手順で判定されるコンテントタイプを持ちます。

この関数の基本的なインターフェイスの手段は戻り値の promise ではありますが、歴史的な理由からコールバックのパラメーターも提供されています。システムは Promise がリゾルブまたはリジェクトし、コールバック関数が呼ばれて完了する前に AudioContext がガベージコレクションされない事を保証しなくてはなりません。

decodeAudioData が呼ばれたとき、制御スレッド上では次の手順を実行します ( MUST ):
  1. promise を新しい promise とします。

  2. もし audioDataに対する、IsDetachedBuffer ([ECMASCRIPT] で説明されています) が false の場合、次の手順を実行します:

    1. audioData ArrayBufferDetach します。この操作は [ECMASCRIPT] で説明されています。

    2. 別のスレッドで実行されるデコード処理をキューにいれます。

  3. そうでなければ、次の手順を実行します。

    1. errorDataCloneError とします。

    2. promiseerror でリジェクトします。

    3. errorCallbackerror で呼び出すタスクをキューに入れます。

  4. promise を返します。

制御スレッド でも レンダリングスレッド でもない、デコーディングスレッドと呼ばれる別スレッドで実行されるデコード処理がキューに入れられるとき、次の手順が発生します ( MUST )。

注: 複数回の decodeAudioData の呼び出しを処理するため、複数のデコーディングスレッドが並列して走る事もあります。

  1. エンコードされている audioData をリニア PCM にデコードを試みます。

  2. もしオーディオフォーマットが認識できない、サポートされていない、あるいはデータが破壊 / 不正 / 一貫していないという理由でデコードエラーが発生した場合、制御スレッド で次の手順を実行するためのタスクをキューに入れます:

    1. errorEncodingError という名前の DOMException とします。

    2. promiseerror を持ってリジェクトします。

    3. もし errorCallback があれば、error を持って errorCallback を呼び出します。

  3. それ以外の場合:

    1. リニア PCM で表現され、もし audioData のサンプルレートが AudioContext のサンプルレートと異なっていた場合はリサンプルを行ったものを結果とします。

    2. 制御スレッド のイベントループで次の手順を実行するタスクをキューに入れます:

      1. buffer を最終的な結果 ( 必要ならサンプルレート変換を行った後 ) を保持した AudioBuffer とします。

      1. promise を bufbufferfer を持ってリゾルブします。

      2. もし successCallback があれば、buffer を持って successCallback を呼び出します。

BaseAudioContext.decodeAudioData() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
audioData ArrayBuffer 圧縮されたオーディオデータを含む ArrayBuffer です。
successCallback DecodeSuccessCallback デコードが完了したときに呼び出されるコールバック関数です。コールバック関数の引数は 1 つでデコードされた PCM オーディオデータをあらわす AudioBuffer になります。
errorCallback DecodeErrorCallback オーディオファイルをデコード中にエラーが起こった場合に呼び出されるコールバック関数です。
戻り値: Promise<AudioBuffer>
resume()

BaseAudioContext がサスペンドされている場合、currentTime の進行を再開します。

resume が呼ばれた場合、以下の手順が実行されます:
  1. promise を新しい Promise とします。

  2. もし BaseAudioContext制御スレッドの状態フラグが closed ならば、promise を InvalidStateError でリジェクトし、以降の手順を中止して promise を返します。

  3. もし BaseAudioContextstate 属性が既に "running" であれば、promise をリゾルブして返し、以降の手順は中止します。

    もし BaseAudioContextスタート可能 ではないとき、promisependingResumePromises に追加して以降の手順を中止し、promise を返します。

    BaseAudioContext制御スレッドの状態フラグを running にします。

  4. BaseAudioContext を再開する制御メッセージをキューに入れます

  5. promise を返します。

BaseAudioContext を再開する 制御メッセージ を実行する事は レンダリングスレッド で、以下の手順を実行する事を意味します:
  1. システムリソースの取得 を試みます。

  2. BaseAudioContext 上の レンダリングスレッド状態 フラグを running にセットします。

  3. オーディオグラフのレンダリング を開始します。

  4. 失敗した場合、制御スレッド に以下を実行するタスクをキューに入れ、これらの手順を中止します:

    1. pendingResumePromises にあるすべての promise を順序に従ってリジェクトし、pendingResumePromises をクリアします。

    2. promise をリジェクトします。

  5. 制御スレッド のイベントループで以下の手順を実行するタスクをキューに入れます:

    1. pendingResumePromises にある promise を順序に従ってリゾルブし、pendingResumePromises をクリアします。

    2. promise をリゾルブします。

    3. もし BaseAudioContextstate 属性が既に "running" でない場合:

      1. BaseAudioContextstate 属性を "running" にセットします。

      2. BaseAudioContextstatechange という名前のシンプルイベントを発行するタスクをキューに入れます。

パラメーターなし
戻り値: Promise<void>

1.1.3. コールバック DecodeSuccessCallback() パラメーター

decodedData, AudioBuffer

デコードされたオーディオデータを保持する AudioBuffer です。

1.1.4. コールバック DecodeErrorCallback() パラメーター

error,DOMException

デコード中に発生したエラーです。

1.1.5. ライフタイム

AudioContext は一度作成された後、これ以上再生する音がなくなるまで、あるいはページを移動するまで再生を続けます。

1.1.6. 内部検査やシリアライゼーションの基本機能の欠如

Web Audio API は音源のスケジューリングに fire-and-forget アプローチを取っています。つまり、音源ノード は、AudioContext のライフタイムの間のひとつひとつの音に対応して作成され、明示的にグラフからの削除は行いません。これはシリアライゼーション API とは互換性がなく、そのためシリアライズ可能な固定的なノードのセットもありません。

さらに、内部検査のための API を持つためにはスクリプトの中身のガベージコレクションの監視が必要になります。

1.1.7. BaseAudioContext のサブクラスに関連付けられるシステムリソース

サブクラス、AudioContextOfflineAudioContext はコストの高いオブジェクトと考えるべきです。これらのオブジェクトの作成には、高プライオリティのスレッドまたは低レイテンシーのシステムオーディオを含み、どちらも消費電力への影響があります。通常は、1 つのドキュメント内に 1 つ以上の AudioContext を作成する事は不必要です。

BaseAudioContext のサブクラスの作成または再開は、そのコンテキストが システムリソースを取得する事を含みます。このためには AudioContext としてはシステムオーディオのストリームを作成する事も必要です。

なお、ユーザーエージェントは実装で定められた最大数の AudioContext を持つ事ができ、それ以上の新しい AudioContext の作成は失敗して、NotSupportedError例外を発生します。

プログラマーは suspend および close を使う事で、スレッド、プロセスおよびオーディオストリームを含むシステムリソースの解放を行う事ができます。BaseAudioContext をサスペンドする事で、実装は一部のリソースを解放して後で resume を呼び出したときに再開できるようにします。 AudioContext のクローズによって、実装はすべてのリソースを解放し、再度使用したり再開したりはできなくなります。

注:これは例えば、定期的なコールバックの呼び出しを待つ事やハードウェアが処理可能になるのを待つ事も含みます。

1.2. AudioContext インターフェイス

このインターフェイスは、その AudioDestinationNode がデバイスへのリアルタイム出力によって直接ユーザーに信号が届くオーディオグラフを表します。多くの場合、1 つのドキュメントにつき 1 つの AudioContext が使用されます。

もしユーザーエージェントとシステムが現在のコンテキストでオーディオの出力を許可していれば、AudioContextスタート可能となります。言い換えれば、AudioContext制御スレッドの状態suspended から running に遷移する事ができます。

注: 例えば、ユーザーエージェントとしては AudioContext の制御スレッドが状態を running に変えるには ( [HTML] で説明されている ) ユーザーアクションによるトリガー が必要かもしれません。

enum AudioContextLatencyCategory {
    "balanced",
    "interactive",
    "playback"
};
列挙値の説明
"balanced" オーディオ出力のレイテンシーと安定性/消費電力のバランスを取ります。
"interactive" オーディオ出力のレイテンシーをグリッジが発生しない最小値にする。これがデフォルトになります。
"playback" オーディオ出力のレイテンシーよりも再生の途切れを起こさない事を優先します。消費電力は最も低くなります。
[Exposed=Window,
 Constructor (optional AudioContextOptions contextOptions)]
interface AudioContext : BaseAudioContext {
    readonly attribute double baseLatency;
    readonly attribute double outputLatency;
    AudioTimestamp getOutputTimestamp ();
    Promise<void> suspend ();
    Promise<void> close ();
    MediaElementAudioSourceNode createMediaElementSource (HTMLMediaElement mediaElement);
    MediaStreamAudioSourceNode createMediaStreamSource (MediaStream mediaStream);
    MediaStreamTrackAudioSourceNode createMediaStreamTrackSource (MediaStreamTrack mediaStreamTrack);
    MediaStreamAudioDestinationNode createMediaStreamDestination ();
};

1.2.1. コンストラクタ

AudioContext(contextOptions)
AudioContext を作成する際、以下の手順を実行します:
  1. AudioContext 上の control thread state ( 訳注:制御スレッドの状態 )suspended にセットします。

  2. AudioContext上のレンダリングスレッドの状態suspended にセットします。

  3. pendingResumePromises を空の promise のリストとします。

  4. もし contextOptionsが与えられていれば、オプションを適用します:

    1. この AudioContext の内部レイテンシーを latencyHint の項に書かれているように、latencyHint に従ってセットします。

    2. もし contextOptions.sampleRate が指定されていれば、この AudioContextsampleRate をその値にセットします。 そうでなければ、デフォルト出力デバイスのサンプルレートを使用します。 もし選択されたサンプルレートが出力デバイスのサンプルレートと異なる場合、この AudioContext はオーディオ出力を出力デバイスのサンプルレートに合うようにリサンプリングしなくてはなりません ( MUST )。

      注: もしリサンプリングが必要とされる場合、AudioContext のレイテンシーに大きな影響があるかも知れません。

  5. もし AudioContextスタート可能 でない場合、これらの手順は中止されます。

  6. 処理を開始するために 制御メッセージ を送ります。

処理を開始するために 制御メッセージ を送るには次の手順を実行します:
  1. システムリソースの取得 を試みます。

  2. 失敗した場合、これらの手順を中止します。

  3. AudioContextレンダリングスレッドの状態running にセットします。

  4. 制御スレッド のイベントループで以下の手順を実行するためのタスクをキューに入れます:

    1. AudioContextstate 属性を "running" にセットします。

    2. AudioContextstatechange という名前のシンプルイベントを発行するためのタスクをキューに入れます。

残念ながら、AudioContext の作成の失敗についてプログラム上の通知をすることはできません。ユーザーエージェントは、デベロッパーツールコンソールのようなログメカニズムにアクセスできる場合、これを知らせるメッセージをログに記録することをお勧めします。

AudioContext.AudioContext() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
contextOptions AudioContextOptions AudioContext をどのように作成するかをユーザーが指定するオプション。

1.2.2. 属性

baseLatency, double 型, readonly

これは AudioContextAudioDestinationNode からオーディオサブシステムにオーディオを渡す処理で発生するレイテンシーの秒数を表します。これには AudioDestinationNode の出力とオーディオハードウェアの間で発生するかも知れないその他の処理による追加のレイテンシーは含まれず、特にオーディオグラフ自体に発生するレイテンシーは含まれません。

例えばもし、オーディオコンテキストが 44.1 kHz で動作しており、AudioDestinationNode の実装が内部でダブルバッファリングによる レンダリング量子 の出力処理を行う場合、処理のレイテンシーは、約 \((2\cdot128)/44100 = 5.805 \mathrm{ ms}\) となります。

outputLatency, double 型, readonly

オーディオ出力処理のレイテンシーの秒数の見積もり。つまり、UA がホストシステムにバッファーを再生を要求した時間から、バッファー内の最初のサンプルが実際にオーディオ出力デバイスで処理される時間までの間隔。この後者の時間は、スピーカーやヘッドフォンのような音の信号を発生するデバイスがサンプルの音を発生する時間を指します。

outputLatency 属性の値はプラットフォームと接続されているオーディオ出力デバイスに依存します。outputLatency 属性の値は接続されているオーディオ出力デバイスが同じである限り、コンテキストのライフタイムを通じて変化する事はありません。もしオーディオ出力デバイスが変化したならば、outputLatency 属性の値もそれに従ってアップデートされます。

1.2.3. メソッド

close()

AudioContext をクローズし、使用中の システムリソースを解放 します。これは、AudioContext が作成したすべてのオブジェクトを自動的に開放はしませんが、AudioContextcurrentTime の進行を止め、オーディオデータの処理を停止します。

close が呼ばれたとき、以下の手順が実行されます:
  1. promise を新しい Promise とします。

  2. もし AudioContext制御スレッドの状態フラグが closed であった場合、promise を InvalidStateError でリジェクトし、これらの手順を中断して promise を返します。

  3. もし AudioContextstate 属性が既に "closed" であった場合、promise をリゾルブして返却し、これらの手順を中断します。

  4. AudioContext制御スレッドの状態フラグを closed にセットします。

  5. AudioContext に対して制御メッセージをキューに入れます。

  6. promise を返します。

AudioContext をクローズするための 制御メッセージ を実行する事は、レンダリングスレッド で、以下の手順を実行する事を意味します:
  1. システムリソースの解放 を試みます。

  2. レンダリングスレッドの状態suspended にセットします。

  3. 制御スレッド のイベントループで以下の手順を実行するタスクをキューに入れます:

    1. promise をリゾルブします。

    2. もし AudioContextstate 属性が既に "closed" でない場合:

      1. AudioContextstate 属性を "closed" にセットします。

      2. AudioContextstatechange という名前のシンプルイベントを発行するためのタスクをキューに入れます。

AudioContext がクローズされた場合、AudioContext に接続されているすべての MediaStreamHTMLMediaElement はその出力を無視されます。 つまり、これらはもうスピーカーなどの出力デバイスに出力されなくなります。より柔軟な挙動のためには、 HTMLEMediaElement.captureStream() (訳注:HTMLMediaElementのtypo?)の使用を検討してください。

注:AudioContext がクローズされるとき、実装はサスペンドの場合よりも積極的に多くのリソースを解放する事ができます。

パラメーターなし
戻り値: Promise<void>
createMediaElementSource(mediaElement)

指定された HTMLMediaElement から MediaElementAudioSourceNode を作成します。 このメソッドの呼び出しにより、HTMLMediaElement からのオーディオの再生は AudioContext の処理グラフに再ルーティングされるようになります。

AudioContext.createMediaElementSource() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
mediaElement HTMLMediaElement 再ルーティングされるメディアエレメントです。
戻り値: MediaElementAudioSourceNode
createMediaStreamDestination()

MediaStreamAudioDestinationNode を作成します。

パラメーターなし
戻り値: MediaStreamAudioDestinationNode
createMediaStreamSource(mediaStream)

MediaStreamAudioSourceNode を作成します。

AudioContext.createMediaStreamSource() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
mediaStream MediaStream 音源となるメディアストリームです。
戻り値: MediaStreamAudioSourceNode
createMediaStreamTrackSource(mediaStreamTrack)

MediaStreamTrackAudioSourceNode を作成します。

AudioContext.createMediaStreamTrackSource() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
mediaStreamTrack MediaStreamTrack 音源となる MediaStreamTrack です。 その kind 属性は "audio" でなくてはならず、そうでない場合は、InvalidStateError 例外が発生します ( MUST )。
戻り値: MediaStreamTrackAudioSourceNode
getOutputTimestamp()

コンテキストのオーディオストリームについて、2 つの関連する位置情報を含む新しい AudioTimestamp インスタンスを返します: contextTime メンバーには、オーディオ出力デバイスによって現在レンダリングされているサンプルフレームの時間 ( つまり出力されているオーディオストリームの位置 ) が含まれます。これにはコンテキストの currentTime と同じ単位と起点を使用します。 そして performanceTime メンバーには、contextTime に格納された値に対応するサンプルフレームが performance.now() ( [hr-time-2] で説明されています ) と同じ単位および起点で、オーディオ出力デバイスによってレンダリングされる瞬間を推定する時間が含まれます 。

コンテキストのレンダリンググラフがまだオーディオブロックを処理していないときに getOutputTimestamp を呼び出すと、両方のメンバーが 0 である AudioTimestamp インスタンスを返します。

コンテキストのレンダリンググラフがオーディオブロックの処理を開始すると、その currentTime 属性の値は常に getOutputTimestamp メソッドの呼び出しで取得される contextTime 値より大きくなります。

getOutputTimestamp メソッドから返された値は、コンテキストの時刻のわずかに後になるパフォーマンスの時刻の見積もりを得るのに使用できます:
function outputPerformanceTime(contextTime) {
  var timestamp = context.getOutputTimestamp();
  var elapsedTime = contextTime - timestamp.contextTime;
  return timestamp.performanceTime + elapsedTime * 1000;
}

上の例での見積もりの精度は、引数の値が現在の出力オーディオストリームの位置にどれほど近いかによって決まります: つまり与えられた contextTimetimestamp.contextTime に近いほど、得られた推定の精度は良くなります。

注:コンテキストの currentTimegetOutputTimestamp メソッドの呼び出しから得られた contextTime の値の差は、currentTime が不均一な時間間隔で増加する可能性があるため、信頼できる出力レイテンシーの見積もりとみなす事はできず、代わりに outputLatency 属性を使用する必要があります。

パラメーターなし
戻り値: AudioTimestamp
suspend()

AudioContextcurrentTime の進行を中断し、デスティネーションで再生するために既に処理を終えた現在のコンテキストの処理ブロックを再生し、その後システムがオーディオハードウェアの占有を解放できるようにします。 これは一般的に、アプリケーションがしばらくの間 AudioContext を必要とせず、一時的に AudioContext に関連付けられた システムリソースを解放 したいことがアプリケーションに分かっているときに役に立ちます。この promise は、フレームバッファーが空のとき ( ハードウェアに渡されたとき )、またはコンテキストがすでに suspended 状態のときは即座に ( 副作用なしで ) リゾルブされます。コンテキストがクローズされた場合、promise はリジェクトされます。

suspend が呼び出された場合、以下の手順を実行します:
  1. promise を新しい Promise とします。

  2. もし AudioContext制御スレッドの状態フラグが closed の場合、promise を InvalidStateError でリジェクトし、これらの手順を中止して promise を返します。

  3. もし AudioContextstate 属性がすでに "suspended" であった場合、promiseをリゾルブして返し、これらの手順を中止します。

  4. AudioContext制御スレッドの状態フラグを suspended にセットします。

  5. AudioContext をサスペンドするための制御メッセージをキューに入れます

  6. promise を返します。

AudioContext をサスペンドするための 制御メッセージ を実行する、とは レンダリングスレッド で、以下の手順を実行する事を意味します:
  1. システムリソースの解放 を試みます。

  2. AudioContextレンダリングスレッドの状態suspended にセットします。

  3. 制御スレッド のイベントループで以下の手順を実行するタスクをキューに入れます:

    1. promise をリゾルブします。

    2. もし AudioContextstate 属性が既に "suspended" でない場合:

      1. AudioContextstate 属性を "suspended" にセットします。

      2. AudioContextstatechange という名前のシンプルイベントを発行するタスクをキューに入れます。

AudioContext がサスペンドされている間、MediaStream の出力は無視されます。つまり、メディアストリームのリアルタイム性によって、データは失われます。HTMLMediaElement も同様に、システムが再開されるまでその出力は無視されます。AudioWorkletNode および ScriptProcessorNode は、サスペンド中は処理ハンドラーの呼び出しが止まりますが、コンテキストがリジュームされると再開します。AnalyserNode は、ウィンドウ関数の目的により、データは連続ストリームとみなされます。つまり、resume() / suspend()によって AnalyserNode のデータストリームに無音は発生しません。特に、AudioContext がサスペンドされているときに AnalyserNode の関数を繰り返し呼び出した際は、同じデータが返されなければなりません ( MUST )。

パラメーターなし
戻り値: Promise<void>

1.2.4. AudioContextOptions

AudioContextOptions ディクショナリは AudioContext のユーザー指定のオプションを決めるために使用されます。

dictionary AudioContextOptions {
  (AudioContextLatencyCategory or double) latencyHint = "interactive";
  float sampleRate;
};
1.2.4.1. ディクショナリ AudioContextOptions メンバー
latencyHint, (AudioContextLatencyCategory または double) 型, デフォルトは "interactive"

オーディオ出力のレイテンシーと消費電力の間のトレードオフに影響を与える、再生のタイプを指示します。

latencyHint の値は、AudioContextLatencyCategory から選択する事が推奨されます。ただし、レイテンシーと消費電力をより細かくバランスを取るために、レイテンシーの秒数を double 型で指定することもできます。数値を適切に解釈するのはブラウザーの裁量に委ねられています。実際に使用されるレイテンシーは、AudioContext の baseLatency 属性によって与えられます。

sampleRate, float

作成される AudioContextsampleRate をこの値に設定します。サポートされている値は、AudioBuffer のサンプルレートと同じです。指定されたサンプルレートがサポートされていない場合は、A NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

もし sampleRate が指定されていない場合、この AudioContext の出力デバイスが推奨するサンプルレートが使用されます。

1.2.5. AudioTimestamp

dictionary AudioTimestamp {
  double contextTime;
  DOMHighResTimeStamp performanceTime;
};
1.2.5.1. Dictionary AudioTimestamp Members
contextTime, double

BaseAudioContext の currentTime の時間軸内の時刻を表します。

performanceTime, DOMHighResTimeStamp

Performance インターフェイスの実装における時間軸内の時刻を表します ( [hr-time-2] で説明されています )。

1.3. OfflineAudioContext インターフェイス

OfflineAudioContext は、レンダリング/ミックスダウンのための特殊なタイプの BaseAudioContext で、( 潜在的には ) リアルタイムよりも高速に動作します。これはオーディオハードウェアに対してレンダリングせず、返した promise に可能な限り高速にレンダリングした結果を AudioBuffer として渡します。

[Exposed=Window,
 Constructor (OfflineAudioContextOptions contextOptions),
 Constructor (unsigned long numberOfChannels, unsigned long length, float sampleRate)]
interface OfflineAudioContext : BaseAudioContext {
  Promise<AudioBuffer> startRendering();
  Promise<void> suspend(double suspendTime);
  readonly attribute unsigned long length;
  attribute EventHandler oncomplete;
};

1.3.1. コンストラクタ

OfflineAudioContext(contextOptions)
c を新しい OfflineAudioContext オブジェクトとします。c を次のように初期化します:
  1. ccontrol thread state"suspended" とします。

  2. crendering thread state"suspended" とします。

  3. channelCountcontextOptions.numberOfChannels とした AudioDestinationNode を作成します。

OfflineAudioContext.OfflineAudioContext(contextOptions) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
contextOptions このコンテキストを作成する際に必要な初期化パラメーター
OfflineAudioContext(numberOfChannels, length, sampleRate)

OfflineAudioContext は AudioContext.createBuffer と同じ引数で作成できます。もし引数のどれかが負、0、または範囲外の場合は NotSupportedError 例外が発生します ( MUST )。

OfflineAudioContext は、次の呼び出し

new OfflineAudioContext({
    numberOfChannels: numberOfChannels,
    length: length,
    sampleRate: sampleRate
})

が行われたのと同じように作成されます。

OfflineAudioContext.OfflineAudioContext(numberOfChannels, length, sampleRate) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
numberOfChannels unsigned long バッファーが持つチャンネルの数を指定します。サポートされているチャンネル数については、createBuffer() を参照してください。
length unsigned long バッファーのサイズをサンプルフレーム数で指定します。
sampleRate float バッファー内のリニア PCM オーディオデータのサンプルレートをサンプルフレーム / 秒で記述します。有効なサンプルレートについては、createBuffer() を参照してください。

1.3.2. 属性

length, unsigned long 型, readonly

サンプルフレーム数で表したバッファーのサイズ。これは、コンストラクタの length パラメーターの値と同じです。

oncomplete, EventHandler

OfflineAudioCompletionEvent 型の EventHandler です。これは、OfflineAudioContext で最後に発行されるイベントです。

1.3.3. メソッド

startRendering()

現在の接続と変化のスケジュールが与えられると、オーディオのレンダリングが開始されます。システムは promise を リゾルブし、コールバック関数が呼び出されて完了するか、suspend 関数が呼び出されるまで、OfflineAudioContext がガベージコレクションされないようにしなければなりません。

レンダリングされたオーディオデータを取得する主な方法は、promise の戻り値を経由する方法ですが、インスタンスは歴史的な理由により、complete という名前のイベントも発生させます。

startRendering が呼び出されたとき、制御スレッド で次の手順を実行しなくてはなりません ( MUST )。
  1. OfflineAudioContextrenderingStarted というフラグを true に設定します。
  2. OfflineAudioContextrenderingStarted フラグが true の場合、InvalidStateError でリジェクトした promise を返し、これらの手順を中止します。( 訳注: 1. と 2. の順序が逆だと思います )
  3. promise を新しい Promise とします。
  4. contextOptions パラメーターでこのインスタンスのコンストラクタに渡された numberOfChannelslength、および sampleRate の値にそれぞれ等しいチャンネル数、長さ、およびサンプルレートを持つ、新しい AudioBuffer を作成します。このバッファーを OfflineAudioContext の内部スロット[[rendered buffer]]に割り当てます。
  5. 前項の AudioBuffer コンストラクタ呼び出し中に例外が発生した場合、この例外を持って promise をリジェクトします。
  6. そうでなくバッファーが正常に作成された場合は、オフラインレンダリングを開始 します。
  7. promise を返します。
オフラインレンダリングを開始するには、その際に作成された レンダリングスレッド で次の手順が実行されなくてはなりません ( MUST )。
  1. 現在の接続と変化のスケジュールが与えられたら、length 長のオーディオのサンプルフレームを[[rendered buffer]]にレンダリングし始めます
  2. レンダリング量子 ごとに、チェックを行い、必要ならばサスペンドします。
  3. もしサスペンドされていたコンテキストが再開された場合、バッファーへのレンダリングを継続します。
  4. レンダリングが完了したら、制御スレッド のイベントループで次の手順を実行するタスクをキューに入れます:
    1. startRendering() によって作成された promise[[rendered buffer]]をもってリゾルブします。
    2. renderedBuffer プロパティが [[rendered buffer]] に設定されている OfflineAudioCompletionEvent のインスタンスを使用して、complete という名前のイベントを発行するタスクをキューに入れます。
パラメーターなし
戻り値: Promise<AudioBuffer>
suspend(suspendTime)

指定された時刻にオーディオコンテキストの時間進行の停止をスケジュールし、promise を返します。これは一般的に、OfflineAudioContext でオーディオグラフを同期して操作する場合に有用です。

サスペンドの最大の精度は レンダリング量子 のサイズであり、指定されたサスペンドの時刻は最も近いレンダリング量子の境界に丸められることに注意してください。このため、同じ量子化されたフレーム内で複数のサスペンドをスケジュールすることはできません。また、精度の高いサスペンドを確実に行うには、コンテキストが running でない間にスケジューリングを行う必要があります。

OfflineAudioContext.suspend() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
suspendTime double 指定された時刻にレンダリングのサスペンドをスケジューリングします。時刻は レンダリング量子 のサイズで量子化されて丸められます。 量子化されたフレーム番号が
  1. 負の値
  2. 現在の時刻より小さいか同じ
  3. レンダリング全体の長さより大きいか同じ
  4. 同じ時刻に別のサスペンドがスケジュールされている
の場合、promise は InvalidStateError でリジェクトされます。
戻り値: Promise<void>

1.3.4. OfflineAudioContextOptions

これは、OfflineAudioContext の作成の際に使用するオプションを指定します。

dictionary OfflineAudioContextOptions {
  unsigned long numberOfChannels = 1;
  required unsigned long length;
  required float sampleRate;
};
1.3.4.1. ディクショナリ OfflineAudioContextOptions メンバー
length, unsigned long

サンプルフレーム数で表したレンダリングされる AudioBuffer の長さ。

numberOfChannels, unsigned long 型, デフォルトは 1

このOfflineAudioContextのチャンネル数。

sampleRate, float

この OfflineAudioContext のサンプルレート。

1.3.5. OfflineAudioCompletionEvent インターフェイス

これは、歴史的な理由から OfflineAudioContext に発行される Event オブジェクトです。

[Exposed=Window,
 Constructor (DOMString type, OfflineAudioCompletionEventInit eventInitDict)]
interface OfflineAudioCompletionEvent : Event {
  readonly attribute AudioBuffer renderedBuffer;
};
1.3.5.1. 属性
renderedBuffer, AudioBuffer 型, readonly

レンダリングされたオーディオデータを含む AudioBuffer です。

1.3.5.2. OfflineAudioCompletionEventInit
dictionary OfflineAudioCompletionEventInit : EventInit {
  required AudioBuffer renderedBuffer;
};
1.3.5.2.1. ディクショナリ OfflineAudioCompletionEventInit メンバー
renderedBuffer, AudioBuffer

イベントの renderedBuffer 属性に割り当てる値。

1.4. AudioBuffer インターフェイス

このインターフェイスは、メモリー上にあるオーディオデータ ( ワンショットサウンドおよびその他の短いオーディオクリップ用 ) を表します。そのフォーマットはノンインタリーブな 32 ビットの浮動小数点の リニア PCM で、通常は \([-1, 1]\) の範囲になりますが、値はこの範囲に限定はされません。これは 1 つまたは複数のチャンネルを持つことができます。通常、PCM データの長さはかなり短く ( 通常は 1 分未満 ) と想定されています。音楽サウンドトラックなどのより長いサウンドの場合、audio 要素とMediaElementAudioSourceNode によるストリーミングを使うべきです。

AudioBuffer は、1 つ以上の AudioContext によって使用される事があり、OfflineAudioContextAudioContext の間で共有する事もできます。

AudioBuffer には 4 つの内部スロットがあります:

[[number of channels]]

この AudioBuffer のオーディオチャンネルの数。符号なし long 型です。

[[length]]

この AudioBuffer の各チャンネルの長さ。符号なし long 型です。

[[sample rate]]

Hz で表した AudioBuffer のサンプルレートです。float 型

[[internal data]]

オーディオのサンプルデータを保持する データブロック です。

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioBufferOptions options)]
interface AudioBuffer {
  readonly attribute float sampleRate;
  readonly attribute unsigned long length;
  readonly attribute double duration;
  readonly attribute unsigned long numberOfChannels;
  Float32Array getChannelData (unsigned long channel);
  void copyFromChannel (Float32Array destination, unsigned long channelNumber, optional unsigned long startInChannel = 0);
  void copyToChannel (Float32Array source, unsigned long channelNumber, optional unsigned long startInChannel = 0);
};

1.4.1. コンストラクタ

AudioBuffer(options)

b を新しい AudioBuffer オブジェクトとします。コンストラクタで渡された AudioBufferOptions の属性 numberOfChannelslengthsampleRate の値をそれぞれ内部スロット [[number of channels]][[length]][[sample rate]] に割り当てます。

この AudioBuffer の内部スロット [[internal data]] CreateByteDataBlock ( [[length]] * [[number of channels]] ) を呼び出した結果に設定します。

注: これは、下層にある記憶域をゼロに初期化します。

b を返します。

AudioBuffer.AudioBuffer() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
options AudioBufferOptions

1.4.2. 属性

duration, double 型, readonly

PCM オーディオデータの長さ。単位は秒。

これは AudioBuffer[[length]][[sample rate]] の間の除算によって計算されます。

length, unsigned long 型, readonly

サンプルフレーム数で表した PCM オーディオデータの長さです。これは [[length]] の値を返さなければなりません ( MUST )。

numberOfChannels, unsigned long 型, readonly

個別のオーディオチャンネルの数です。これは [[number of channels]] の値を返さなければなりません ( MUST )。

sampleRate, float 型, readonly

サンプル/秒で表した PCM オーディオデータのサンプルレートです。これは、[[sample rate]] の値を返さなければなりません ( MUST )。

1.4.3. メソッド

copyFromChannel(destination, channelNumber, startInChannel)

copyFromChannel() メソッドは、AudioBuffer の指定されたチャンネルからサンプルを destination の配列にコピーします。

buffer を \(N_b\) フレームの AudioBuffer とし、\(N_f\) を destination 配列の要素数とし、\(k\) を startInChannel の値とします。このとき、buffer から destination にコピーされるフレームの数は \(\min(N_b - k, N_f)\) となります。もしこれが \(N_f\) より小さい場合、destination の残りの要素は変更されません。

AudioBuffer.copyFromChannel() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
destination Float32Array チャンネルデータがコピーされる配列です。
channelNumber unsigned long データをコピーするチャンネルのインデックスです。channelNumberAudioBuffer のチャンネル数と同じか大きい場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
startInChannel unsigned long データをどこからコピーするかのオプションのオフセットです。startInChannelAudioBufferlength より大きい場合は、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: void
copyToChannel(source, channelNumber, startInChannel)

copyToChannel() メソッドは、source 配列から AudioBuffer の指定されたチャンネルにサンプルをコピーします。

buffer を \(N_b\) フレームの AudioBuffer とし、\(N_f\) を source 配列の要素数とし、\(k\) を startInChannel の値とします。このとき、source から buffer にコピーされるフレームの数は \(\min(N_b - k, N_f)\) となります。これが \(N_f\) より小さい場合、buffer の残りの要素は変更されません。

AudioBuffer.copyToChannel() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
source Float32Array チャンネルデータがコピーされる配列です。
channelNumber unsigned long データをコピーするチャンネルのインデックスです。channelNumberAudioBuffer のチャンネル数より大きいか同じ場合、IndexSizeError を発生します ( MUST )。
startInChannel unsigned long データをコピーする先のオプションのオフセットです。startInChannelAudioBufferlength より大きい場合は、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: void
getChannelData(channel)

コンテントの取得参照の取得 または コピーの取得 で説明されているルールに従って、[[internal data]] に格納されているバイトデータを新しい Float32Array として取得します。

AudioBuffer.getChannelData() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
channel unsigned long このパラメーターは、データを取得する特定のチャンネルを表すインデックスです。インデックス値 0 は最初のチャンネルを表します。このインデックス値は numberOfChannels より小さくなくてはならず ( MUST )、そうでない場合は IndexSizeError 例外が発生します ( MUST )。
戻り値: Float32Array

注意:copyToChannel() および copyFromChannel() メソッドは より大きな配列に対する view である Float32Array を渡す事で配列の一部だけを埋める事ができます。AudioBuffer のチャンネルからデータのブロックを読み出す場合、getChannelData() を呼び出して結果の配列にアクセスするよりも 不必要なメモリー割り当てとコピーを避けるため、copyFromChannel() を使用するべきです。

APIの実装が AudioBuffer の内容が必要になったとき、「AudioBuffer の内容の取得」の内部処理が起動されます。この処理は呼び出し元に変更不能なチャンネルデータを返します。

AudioBuffer の 「内容の取得」 処理は次の手順で実行されます:
  1. AudioBufferArrayBuffer のどれかが IsDetachedBuffer に対して true を返した場合、これらの手順を中止し、呼び出し元に長さ 0 のチャンネルデータバッファーを返します。

  2. この AudioBuffergetChannelData() によってこれまでに返された配列のすべての ArrayBufferDetach します。

  3. これらの ArrayBuffer の下層にある [[internal data]] を保持し、それらへの参照を呼び出し側に返します。

  4. 次回の getChannelData() の呼び出しでは、データのコピーを保持する ArrayBufferAudioBuffer にアタッチして返します。

AudioBuffer の内容の取得」 は、次の場合に呼び出されます:

注:これは copyToChannel()AudioNode が 「AudioBuffer の内容を取得」して現在使用状態にある AudioBuffer の内容を変更できない事を意味します。AudioNode は以前に取得したデータを使い続けます。

1.4.4. AudioBufferOptions

これは、AudioBuffer の作成に使用するオプションを指定します。lengthsampleRate メンバーは必須です。必須のメンバーが指定されていない場合は、NotFoundError 例外を発生します ( MUST )。

dictionary AudioBufferOptions {
  unsigned long numberOfChannels = 1;
  required unsigned long length;
  required float sampleRate;
};
1.4.4.1. ディクショナリ AudioBufferOptions メンバー

このディクショナリのメンバーが取れる値には制限があります。createBuffer() を参照してください。

length, unsigned long

サンプルフレーム数で表されるバッファーの長さです。

numberOfChannels, unsigned long 型, デフォルトは 1

バッファーのチャンネル数です。

sampleRate, float

Hz で表されるサンプルレートです。

1.5. AudioNode インターフェイス

AudioNode は、AudioContext を構成するブロックです。このインターフェイスは、オーディオソース、オーディオデスティネーション、および中間の処理モジュールを表しています。これらのモジュールは互いに接続されて、音をオーディオハードウェアに出力するための 処理グラフ を形成します。それぞれのノードは 入力出力 を持つ事ができます。ソースノード は入力を持たず、単一の出力を持ちます。フィルターのようなほとんどの処理ノードは、1 つの入力と 1 つの出力を持ちます。それぞれのタイプの AudioNode はどのようにオーディオを処理したり合成するのかの詳細が異なっています。しかし一般的に、AudioNode は ( 持っていれば ) 入力を処理し、( 持っていれば ) その出力にオーディオ信号を送り出します。

それぞれの出力は 1 つ以上のチャンネルを持っています。正確なチャンネル数はそれぞれの AudioNode の詳細に依存します。

出力は 1 つ以上の AudioNode 入力に接続でき、つまりファンアウトがサポートされています。入力は初期化時には接続されていません。しかし、1 つ以上の AudioNode 出力から接続する事ができ、即ち、ファンインがサポートされています。AudioNode の出力を AudioNode の入力に接続するため connect() メソッドが呼ばれたとき、それをその入力への 接続と呼びます。

AudioNode入力はその時々で特定のチャンネル数を持ちます。この数はその入力への 接続 によって変化します。もし入力が接続を持っていない場合、チャンネル数は 1 で無音となります。

AudioNode は 各々の 入力 について、その入力へのすべての接続のミックス ( 通常はアップミックス ) を行います。この詳細に関して参考情報としては §3 ミキサーゲイン構成 、基準としての詳細要件については §5 チャンネルのアップミックスとダウンミックス セクションを参照してください。

AudioNode の入力および内部の処理は、そのノードが出力を接続されているか、またそれらの出力が AudioContextAudioDestinationNode に最終的に到達しているかどうかに関わらず、AudioContext の時刻を踏まえて継続的に行われます。

パフォーマンス上の理由から、実際の実装では、ブロック処理を使用する必要があります。各 AudioNode は、block-size で示される大きさの固定の数のサンプルフレームを処理します。実装全体の振る舞いを統一するため、この値を明示的に定めます。block-size は、44.1kHz のサンプルレートで約 3ms に対応する 128 サンプルフレームと定義します。

[Exposed=Window]
interface AudioNode : EventTarget {
  AudioNode connect (AudioNode destinationNode,
                     optional unsigned long output = 0,
                     optional unsigned long input = 0);
  void connect (AudioParam destinationParam, optional unsigned long output = 0);
  void disconnect ();
  void disconnect (unsigned long output);
  void disconnect (AudioNode destinationNode);
  void disconnect (AudioNode destinationNode, unsigned long output);
  void disconnect (AudioNode destinationNode, unsigned long output, unsigned long input);
  void disconnect (AudioParam destinationParam);
  void disconnect (AudioParam destinationParam, unsigned long output);
  readonly attribute BaseAudioContext context;
  readonly attribute unsigned long numberOfInputs;
  readonly attribute unsigned long numberOfOutputs;
  attribute unsigned long channelCount;
  attribute ChannelCountMode channelCountMode;
  attribute ChannelInterpretation channelInterpretation;
};

1.5.1. AudioNode の作成

AudioNode の作成には 2 つの方法があります: 特定のインターフェイスのコンストラクタを使用する方法、と BaseAudioContext または AudioContextファクトリーメソッドを使用する方法です。

AudioNode のコンストラクタの最初の引数として渡される BaseAudioContext は、作成される AudioNode関連する BaseAudioContextと呼ばれます。同様に、ファクトリーメソッドを使用する場合、AudioNode関連する BaseAudioContext は このファクトリーメソッドが呼び出される BaseAudioContext です。

コンストラクタを使って、BaseAudioContext c を最初の引数とし、関連するオプションオブジェクト option を 2番目の引数として、特定の型 n の新しい AudioNodec関連するグローバル から作成するには、次の手順を実行します:
  1. o を型 n の新しいオブジェクトとします。

  2. c および option を引数として o初期化 します。

  3. o を戻します。

BaseAudioContext 上の ファクトリーメソッド の呼び出しにより、特定のタイプ n の新しい AudioNode を作成するには、次の手順を実行します:
  1. o を型 n の新しいオブジェクトとします。

  2. option を、このファクトリーメソッドに 関連付け られたインターフェイスに 関連付け られた型のディクショナリとします。

  3. ファクトリーメソッドに渡される各パラメーターについて、option 内の名前が一致するディクショナリメンバーをこのパラメーターの値に設定します。

  4. coption を引数として o初期化 します。

  5. o を返します。

AudioNode から継承したインターフェイス n のオブジェクト o初期化する事は、このインターフェイスのコンストラクタに引数 contextdict を渡して、次のステップを実行することを意味します。
  1. contexto が関連する BaseAudioContext とします。

  2. numberOfInputsnumberOfOutputschannelCountchannelCountModechannelInterpretation の値を、各 AudioNode のセクションで説明したそれぞれのインターフェイスのデフォルト値に設定します。

  3. 作成される AudioNodeConvolverNode の場合、normalize 属性を dictdisableNormalization の逆の値に設定し、buffer 属性を dict メンバーの buffer の値に順次設定し、この手順の最後のステップにジャンプします。

    注:これは、バッファーが normalize 属性の値に従って正規化されることを意味します。

  4. 渡された dict の各メンバーについて、k をメンバーのキー、v を値として、以下の手順を実行します:

    1. kdisableNormalization または buffer で、nConvolverNode の場合、このループの先頭にジャンプします。

    2. k がこのインターフェイスの AudioParam の名前である場合、この AudioParamvalue 属性を v に設定します。

    3. そうでない場合は、k がこのインターフェイスの属性の名前である場合、この属性に関連付けられたオブジェクトを v に設定します。

ファクトリーメソッドに関連するインターフェイスは、このメソッドから返されるオブジェクトのインターフェイスです。インターフェイスに関連するオプションオブジェクトは、このインターフェイスのコンストラクタに渡すことができるオプションオブジェクトです。

AudioNode[DOM] で説明されているように EventTarget です。つまり、他の EventTargets がイベントを受け入れるのと同じ方法で、イベントを AudioNode にディスパッチすることができます。

enum ChannelCountMode {
  "max",
  "clamped-max",
  "explicit"
};

ChannelCountMode は、ノードの channelCount および channelInterpretation の値と組み合わせて、ノードへの入力をどのようにミックスするかを制御する computedNumberOfChannels を決定するために使用されます。computedNumberOfChannels は以下のように決定されます。ミックスがどのように行われるかの詳細については、「§5 チャンネルのアップミックスとダウンミックス」 を参照してください。

列挙値の説明
"max" computedNumberOfChannels は入力となっている全接続のチャンネル数の最大値になります。このモードでは channelCount は無視されます。
"clamped-max" computedNumberOfChannels は "max" のときと同じように計算されますが、指定された channelCount を上限として制限されます。
"explicit" computedNumberOfChannels の値は channelCount によって指定された値そのものになります。
enum ChannelInterpretation {
  "speakers",
  "discrete"
};
列挙値の説明
"speakers" アップミックス式 または ダウンミックス式 を使用します。チャンネル数がスピーカーの基本レイアウトに合致しない場合は、"discrete" に戻します。
"discrete" アップミックスの場合は、チャンネルを使い切るまで順に埋めて行き、余っているチャンネルには 0 を出力します。ダウンミックスでは、可能な限りチャンネルを順に埋め、余ったチャンネルは捨てられます。

1.5.2. 属性

channelCount, unsigned long

channelCount はノードへの入力の接続におけるアップミックスおよびダウンミックスの際に使用されるチャンネル数です。値が別途定められている特定のノードを除いて、デフォルトは2です。この属性は入力を持たないノードでは意味を持ちません。もしこの値が 0、あるいは実装のチャンネル数の最大値より大きい値にセットされた場合、NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

さらに、一部のノードではこれに加えてチャンネル数の制限があります:

AudioDestinationNode

この動作は、宛先ノードが AudioContext または OfflineAudioContext の宛先であるかどうかによって異なります:

AudioContext

チャンネル数は 1 から maxChannelCount の間でなければなりません ( MUST )。この範囲外の値を設定しようとすると、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。

OfflineAudioContext

チャンネル数を変更することはできません。値を変更しようとすると、InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

ChannelMergerNode

チャンネル数を変更することはできません。値を変更しようとするとInvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

ChannelSplitterNode

チャンネル数を変更することはできません。値を変更しようとすると InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

ConvolverNode

チャンネル数は 2 から変更することはできません。値を変更しようとすると NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

DynamicsCompressorNode

チャンネル数は 2 より大きくすることはできません。2 より大きな値に変更しようとすると NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

PannerNode

チャンネル数は 2 より大きくすることはできません。2 より大きな値に変更しようとすると NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

ScriptProcessorNode

チャンネル数を変更することはできません。値を変更しようとすると InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

StereoPannerNode

チャンネル数は 2 より大きくすることはできません。2 より大きな値に変更しようとすると NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

この属性のより詳細な説明については、§5 チャンネルアップミキシングとダウンミキシング を参照してください。

channelCountMode, ChannelCountMode

channelCountMode は、ノードの入力への接続をアップミキシングおよびダウンミックスするときに、チャンネルがどのようにカウントされるかを決定します。デフォルト値は "max" です。この属性は、入力のないノードには影響しません。

さらに、一部のノードでは、チャンネル数モードが取れる値について channelCountMode の制約 があります。

AudioDestinationNode

AudioDestinationNodeOfflineAudioContextdestination ノードである場合、チャンネル数モードは変更できません。値を変更しようとすると、InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

ChannelMergerNode

チャンネル数モードは "explicit" から変更できません。値を変更しようとすると InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

ChannelSplitterNode

チャンネル数モードは "explicit" から変更できません。値を変更しようとすると InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

ConvolverNode

チャンネル数モードは "clamped-max" から変更することはできません。値を変更しようとすると NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

DynamicsCompressorNode

チャンネル数モードを "max" に設定することはできません。"max" に設定しようとすると NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

PannerNode

チャンネル数モードを "max" に設定することはできません。"max" に設定しようとすると NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

ScriptProcessorNode

チャンネル数モードは "explicit" から変更できません。値を変更しようとすると InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

StereoPannerNode

チャンネル数モードを "max" に設定することはできません。"max" に設定しようとすると NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

この属性のより詳細な説明については、§5 チャンネルアップミキシングとダウンミキシング セクションを参照してください。

channelInterpretation, ChannelInterpretation

channelInterpretation は、ノードへの入力への接続をアップミキシングおよびダウンミックスするときに、個々のチャンネルをどのように扱うかを決定します。デフォルト値は "speakers" です。この属性は、入力のないノードには影響しません。

さらに、一部のノードでは、チャンネル解釈が取れる値に追加のchannelInterpretation の制約があります。

ChannelSplitterNode

チャンネルの解釈は "discrete" から変更することはできず、値を変更しようとすると InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

この属性のより詳細な説明については、§5 チャンネルアップミキシングとダウンミキシング セクションを参照してください。

context, BaseAudioContext 型, readonly

この AudioNode を所有する BaseAudioContext です。

numberOfInputs, unsigned long 型, readonly

この AudioNode の入力の数です。ソースノードではこれは 0 になります。この属性は多くの AudioNode のタイプで固定の値になりますが、ChannelMergerNodeAudioWorkletNode のようないくつかの AudioNode では入力の数は可変です。

numberOfOutputs, unsigned long 型, readonly

この AudioNode から出る出力の数です。この属性はいくつかの AudioNode では固定の値ですが、ChannelSplitterNodeAudioWorkletNode などでは可変になります。

1.5.3. メソッド

connect(destinationNode, output, input)

あるノードの特定の出力から別のノードの特定の入力への接続は 1 つだけ存在できます。同じ端子間の複数回の接続は無視されます。

例えば:
nodeA.connect(nodeB);
nodeA.connect(nodeB);

は次のものと同じ効果になります。

nodeA.connect(nodeB);

このメソッドは、destinationAudioNode オブジェクトを返します。

AudioNode.connect(destinationNode, output, input) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
destinationNode destination パラメーターは接続先の AudioNode です。もし destination が他の AudioContext によって作成された AudioNode の場合、InvalidAccessError 例外を発生します ( MUST )。つまり AudioNode は複数の AudioContext 間で共有する事はできません。
output unsigned long output パラメーターは AudioNode のどの出力を接続するかを指定するインデックスです。もしこのパラメーターが範囲外の場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。connect() を複数回呼び出して AudioNode の出力から複数の入力に接続する事は可能です。つまり、"ファンアウト"がサポートされています。
input input パラメーターは接続先の AudioNode のどの入力に接続するかを指定するインデックスです。もしこのパラメーターが範囲外の場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。 ある AudioNode から他の AudioNode循環を作るような接続を行う事も可能です: つまりある AudioNode から、最初の AudioNode の入力か AudioParam に接続を行っている別の AudioNode に対して接続を行う事ができます。これは循環の中に少なくとも 1 つの DelayNode がある場合にのみ可能で、そうでなければ NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: AudioNode
connect(destinationParam, output)

AudioNodeAudioParam に接続し、パラメーターの値をオーディオレートの信号で制御します。

connect() を複数回呼び出す事で AudioNode の出力を複数の AudioParam に接続する事が可能です。即ち、"ファンアウト"がサポートされています。

connect() を複数回呼び出す事で、複数の AudioNode を 1 つの AudioParam に接続する事が可能です。即ち、"ファンイン"がサポートされています。

AudioParam はそれに接続されている すべての AudioNode の出力からレンダリングされたオーディオデータを取り出し、それがモノラルでなければ、ダウンミックスによってモノラルに変換します。そして接続されている各出力をミックスし、さらに最終的にパラメーターが持っているタイムラインの変化スケジュールを含む固有値 ( AudioParam に何も接続されていない状態での value ) とミックスします。

モノラルへのダウンミックスは、channelCount = 1、channelCountMode = "explicit"、および channelInterpretation = "speakers" の AudioNode のダウンミックスに相当します。

特定のノードの出力と特定の AudioParam の間の接続は 1 つのみ存在できます。同じ終端点を持つ複数の接続は無視されます。

例えば:
nodeA.connect(param);
nodeA.connect(param);

は次と同じ効果を持ちます

nodeA.connect(param);
AudioNode.connect(destinationParam, output) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
destinationParam AudioParam destination パラメーターは接続先の AudioParam です。このメソッドは destinationAudioParam オブジェクトを返しません。 destinationParam が属する AudioNode を作成した BaseAudioContext と、このメソッドが呼び出された AudioNode を作成した BaseAudioContext InvalidAccessError 例外を発生します ( MUST )。
output unsigned long output パラメーターは AudioNode のどの出力から接続するかを指定するインデックスです。もし parameter が範囲外の場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: void
disconnect()

AudioNode から出るすべての接続を切断します。

パラメーターなし
戻り値: void
disconnect(output)

AudioNode の 1 つの出力から他の AudioNode または AudioParam オブジェクトへの接続をすべて切断します。

AudioNode.disconnect(output) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
output unsigned long このパラメーターは接続を切る AudioNode の出力のインデックスです。これは与えられた出力から出るすべての接続を切断します。もしこのパラメーターが範囲外の場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: void
disconnect(destinationNode)

AudioNode のすべての出力から特定の接続先となる AudioNode に繋がる接続を切断します。

AudioNode.disconnect(destinationNode) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
destinationNode destinationNode パラメーターは切断する AudioNode です。これは与えられた destinationNode に対するすべての接続を切断します。もし destinationNode に対する接続がない場合、InvalidAccessError を発生します ( MUST )。
disconnect(destinationNode, output)

AudioNode の特定の出力から特定の接続先 AudioNode への接続を切断します。

AudioNode.disconnect(destinationNode, output) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
destinationNode destinationNode パラメーターは切断する AudioNode です。もし、与えられた出力から destinationNode への接続が存在しない場合、InvalidAccessError 例外を発生します ( MUST )。
output unsigned long output パラメーターは接続を切る AudioNode の出力を表すインデックスです。もしこのパラメーターが範囲外の場合は IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: void
disconnect(destinationNode, output, input)

AudioNode の特定の出力から 接続先 AudioNode の特定の入力への接続を切断します。

AudioNode.disconnect(destinationNode, output, input) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
destinationNode destinationNode パラメーターは切断する AudioNode です。もし与えられた出力から destinationNode への接続が存在しない場合、InvalidAccessError 例外を発生します ( MUST )。
output unsigned long output パラメーターは切断する AudioNode の出力のインデックスです。もしこのパラメーターが範囲外の場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
input input パラメーターは切断する接続先 AudioNode の入力のインデックスです。もしこのパラメーターが範囲外の場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: void
disconnect(destinationParam)

特定の接続先 AudioParam に繋がる AudioNode のすべての出力を切断します。この操作によって、この AudioNode からパラメーター値の計算への寄与は 0 となります。パラメーターの固有値はこの操作に影響されません。

AudioNode.disconnect(destinationParam) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
destinationParam AudioParam destinationParam パラメーターは切断する AudioParam です。もし destinationParam に対する接続がない場合は InvalidAccessError 例外を発生します ( MUST )。
disconnect(destinationParam, output)

AudioNode の特定の出力から特定の AudioParam への接続を切断します。この操作によって、この AudioNode からパラメーター値の計算への寄与は 0 となります。パラメーターの固有値はこの操作に影響されません。

AudioNode.disconnect(destinationParam, output) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
destinationParam AudioParam destinationParam パラメーターは切断される AudioParam です。もし destinationParam への接続が存在しない場合、InvalidAccessError 例外を発生します ( MUST )。
output unsigned long output パラメーターは切断される AudioNode の出力のインデックスです。もし、parameterが範囲外の場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。

1.5.4. AudioNodeOptions

これは、すべての AudioNode の生成の際に使用できるオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。ただし、それぞれのノードで使われる値は、実際のノードに依存します。

dictionary AudioNodeOptions {
  unsigned long channelCount;
  ChannelCountMode channelCountMode;
  ChannelInterpretation channelInterpretation;
};
1.5.4.1. ディクショナリ AudioNodeOptions メンバー
channelCount, unsigned long

channelCount 属性に要求する数です。

channelCountMode, ChannelCountMode

channelCountMode 属性に要求するモードです。

channelInterpretation, ChannelInterpretation

channelInterpretation 属性に要求するモードです。

1.5.5. ライフタイム

以下の振る舞いは、AudioNode が存在し続ける、つまり実装によってグラフ内に保持される ( MUST ) ための条件の基準となります。これらの条件が満たされなくなった場合、AudioNode は実装によって解放されるかもしれません。

参照には何種類かのタイプがあります。:

  1. 通常の参照。通常のガベージコレクションのルールに従います。

  2. AudioBufferSourceNodeMediaElementAudioSourceNodeMediaStreamAudioSourceNodeOscillatorNode の再生中の参照。これらのノードは再生している間、自分自身への再生中参照を維持します。

  3. 接続の参照。別の AudioNode から 1 つ以上の入力に接続されている場合に発生します。ノードの AudioParam に接続されている事は参照にはなりません。

  4. tail-time による参照。AudioNode は何かしらの内部プロセスで未出力の状態がある間、自分自身を維持します。例えば、ConvolverNode は無音の入力を受けた後でも再生し続ける余韻を持ちます ( 大きなコンサートホールで手を叩くと、ホール中に響きわたる音が聞こえるのをイメージしてください )。いくつかの AudioNode は、この特性を持ちます。各ノードの詳細を見てください。

  5. MediaStream は、その下層の MediaStreamTrackMediaStreamAudioSourceNode を通して再生しているとき、( [mediacapture-streams] に従って ) 終了 状態になるまで MediaStreamAudioSourceNode を有効状態に保持します。

  6. HTMLMediaElement は、この後オーディオを再生できる状態にある限り、関連付けられた MediaElementAudioSourceNode を有効に保ちます。

    注: HTMLMediaElement が、src 属性を "" に設定され、その参照がすべてなくなったとき、MediaElementAudioSourceNode も解放されます ( MediaElementAudioSourceNode はすべてを解放し、保持するものはありません )。

循環で接続され、且つ、AudioContext 内の AudioDestinationNode または MediaStreamAudioDestinationNode に直接的または間接的に接続されている AudioNodeAudioContext が存続している限り有効に保持され続けます。

注:AudioNode の継続的な動作はそのノードへの暗黙的な参照が存在しているという事を意味し、たとえオーディオグラフから切断されていても、ノードは入力を処理し続け、内部状態を更新し続けます。この処理は CPU と電力を消費し続けるため、開発者は注意深く切り離されたノードによるリソースの使用について考慮しなくてはなりません。特に、可能なときは明示的に切断されたノードを停止状態にする事でリソースの消費を最小化するのは良い考えです。

上記の参照の種類に関わらず、ノードの AudioContext が削除されたときには、AudioNode は削除されます。

1.6. AudioParam インターフェイス

AudioParamAudioNode の例えば音量のような個別の機能をコントロールします。パラメーターは value 属性を使って特定の値に即時にセットする事ができます。あるいは ( AudioContextcurrentTime 属性の時間軸で ) 非常に高い時間精度で値の変化のスケジュールを組む事ができ、エンベロープ、音量のフェード、LFO、フィルタースイープ、グレイン窓、などに応用する事ができます。このような方法で任意のタイムラインベースのオートメーション曲線をすべての AudioParam に対して設定する事が可能です。またさらに、AudioNode からの出力の音声信号を AudioParam に接続する事ができ、個別に持っているパラメーターの固有値に加算する事ができます。

いくつかの合成や処理の AudioNode は、オーディオサンプル単位で反映されなくてはならない ( MUST ) AudioParam 型の属性を持っています。その他の AudioParam はサンプル単位の精度は重要ではなく、その値の変化はより粗く取り込まれます。各 AudioParama-rate パラメーターつまりサンプル単位で反映される ( MUST )か、それ以外の k-rate パラメーターかが指定されます。

実装はそれぞれの AudioNode について、1 レンダリング量子 ごとのブロック単位の処理を行わなくてはなりません ( MUST )。

それぞれの レンダリング量子 に対して、k-rate パラメーターは最初のサンプルのタイミングで取り込まれ、その値はブロック全体に対して使用されなくてはなりません ( MUST )。a-rate パラメーターはブロック内のサンプルフレームごとに取り込まれなくてはなりません ( MUST )。 AudioParam によっては、automationRate 属性を "a-rate" または "k-rate" のいずれかに設定することによって、レートを制御できます。詳細については、個々の AudioParam の説明を参照してください。

AudioParamminValue および maxValue 属性を持っており、それがパラメーターの単純な公称範囲となっています。実際のパラメーターの値は \([\mathrm{minValue}, \mathrm{maxValue}]\) の範囲に制限されます。詳細は、「§ 1.6.3 値の計算」 を参照してください。

多くの AudioParam では、minValuemaxValue は可能な最大限の範囲に設定されています。この場合、maxValue は、最も正の単精度浮動小数点値 ( 3.4028235e38 ) となります。( ただし、JavaScript では IEEE-754 倍精度浮動小数点値のみをサポートするため、これは 3.4028234663852886e38 と書かなくてはなりません ) 同様に、minValue最も負の単精度浮動小数点値、つまり 最も正の単精度浮動小数点値 の符号を負にしたもの: -3.4028235e38 となります。( 同様に、これは JavaScript では -3.4028234663852886e38 として記述する必要があります )。

AudioParam は、0 個以上のオートメーションイベントのリストを保持しています。各オートメーションイベントは、AudioContextcurrentTime 属性の時間軸におけるオートメーションイベント時刻に関連して、特定の時間範囲にわたるパラメーター値の変更を指定します。オートメーションイベントのリストは、オートメーションイベント時刻の昇順で管理されます。

オートメーションイベントの振る舞いは、AudioContext の現在の時刻とこのイベントのオートメーションイベント時刻とリスト内に隣接するイベントの関数になります。以下のオートメーションメソッドは、そのメソッドに固有のタイプの新しいイベントをイベントリストに追加し、変更します:

これらのメソッドが呼ばれるとき、次の規則が適用されます:

注:AudioParam の属性は、value 属性を除いて、読み取り専用です。

AudioParam のオートメーションレートは、automationRate 属性を次のいずれかの値で設定して選択できます。ただし、一部の AudioParam では、オートメーションレートを変更できるかどうかに制約があります。

enum AutomationRate {
  "a-rate",
  "k-rate"
};
列挙値の説明
"a-rate" この AudioParam は、a-rate での処理に設定されます。
"k-rate" この AudioParam は、k-rate での処理に設定されます。

AudioParam には内部スロット [[current value]] があり、AudioParamdefaultValue に初期設定されています。

[Exposed=Window]
interface AudioParam {
  attribute float value;
  attribute AutomationRate automationRate;
  readonly attribute float defaultValue;
  readonly attribute float minValue;
  readonly attribute float maxValue;
  AudioParam setValueAtTime (float value, double startTime);
  AudioParam linearRampToValueAtTime (float value, double endTime);
  AudioParam exponentialRampToValueAtTime (float value, double endTime);
  AudioParam setTargetAtTime (float target, double startTime, float timeConstant);
  AudioParam setValueCurveAtTime (sequence<float> values, double startTime, double duration);
  AudioParam cancelScheduledValues (double cancelTime);
  AudioParam cancelAndHoldAtTime (double cancelTime);
};

1.6.1. 属性

automationRate, AutomationRate

AudioParam のオートメーションの速度です。デフォルト値は実際の AudioParam に依存します。デフォルト値の AudioParam の説明を参照してください。

いくつかのノードには、次のような追加のオートメーション速度の制約があります:

AudioBufferSourceNode

AudioParamplaybackRatedetune は "k-rate" でなくてはなりません ( MUST )。速度が "a-rate" に変更された場合は、InvalidStateError が発生します。

DynamicsCompressorNode

AudioParamthreshold kneeratioattack、および release は、"k-rate" でなければなりません ( MUST )。速度が "a-rate" に変更された場合、InvalidStateError が発生します。

PannerNode

panningModel が "HRTF" の場合、PannerNode の任意の AudioParam に対する automationRate の設定は無視されます。同様に、AudioListener の任意の AudioParamautomationRate の設定は無視されます。この場合、AudioParam は、automationRate が "k-rate" に設定されているかのように動作します。

defaultValue, float 型, readonly

value 属性の初期値です。

maxValue, float 型, readonly

パラメーターが取ることができる名目上の最大値です。minValue と組み合わせて、これはこのパラメーターの 公称範囲 となります。

minValue, float 型, readonly

パラメーターが取ることができる名目上の最小値です。maxValue と組み合わせて、これはこのパラメーターの 公称範囲 となります。

value, float

パラメーターの浮動小数点の値です。この属性の初期値は defaultValue となります。

この属性を読み取ると、[[current value]] スロットの内容が返されます。これは、オーディオのレンダリングスレッドの最も直近のレンダリング量子の最後でのこのパラメーターの値、あるいはレンダリングが行われていない場合は、最も直近に割り当てられた値を保持しています。

この属性を設定すると、要求された値を [[current value]] スロットに割り当て、現在の AudioContextcurrentTime[[current value]] を使って setValueAtTime() メソッドを呼び出す効果があります。この属性を設定することで setValueAtTime() による例外が発生する事もあります。

1.6.2. メソッド

cancelAndHoldAtTime(cancelTime)

これは cancelTime と同じかそれ以降の時刻のスケジュールされたすべてのパラメーターの変化をキャンセルするという点で cancelScheduledValues() と似ていますが、cancelTime の時点でのオートメーション値が、他のオートメーションイベントが起こるまで、保持されます。

オートメーションが動作中に cancelAndHoldAtTime() を呼び出してから cancelTime に達するまでの任意の時間の cancelAndHoldAtTime() に対するタイムラインの動作は非常に複雑です。cancelAndHoldAtTime() の動作は、次のアルゴリズムで定義されます。

\(t_c\) を cancelTime の値とします。そして、
  1. 時刻 \(t_1\) におけるイベントを ( 存在すれば ) \(E_1\) とし、\(t_1\) が \(t_1 \le t_c\) を満たす最大の数であるとします。

  2. 時間 \(t_2\) におけるイベントを ( 存在すれば ) \(E_2\) とし、t2が \(t_c \lt t_2\) を満たす最小の数であるとします。

  3. もし \(E_2\) が存在すれば:

    1. もし、\(E_2\) が linear または exponential カーブの場合、

      1. 実質的に \(E_2\) を書き換えて、時刻 \(t_c\) に終了し、最終値が元の傾斜の \(t_c\) の時点の値とである同じ種類の傾斜とします。

        Graphical representation of calling cancelAndHoldAtTime when linearRampToValueAtTime has been called at this time.

      2. ステップ 5. に行きます。

    2. そうでなければ ステップ 4. に行きます。

  4. もし \(E_1\) が存在すれば:

    1. もし \(E_1\) が setTarget イベントの場合、

      1. 時刻 \(t_c\) に setValueAtTime イベントを暗黙的に挿入し、setTarget が時刻 \(t_c\) に持つであろう値とします。

        Graphical representation of calling cancelAndHoldAtTime when setTargetAtTime has been called at this time

      2. ステップ 5. に行きます。

    2. もし \(E_1\) が setValueCurve で、開始時刻が \(t_3\) 、持続時間が \(d\) の場合

      1. もし \(t_c \gt t_3 + d\) ならば ステップ 5. に行きます。

      2. そうでなければ、

        1. 実質的にこのイベントを、開始時刻が \(t_3\)、新しい持続時間が \(t_c-t_3\) の setValueCurve イベントで置き換えます。しかしながら、これは単なる置き換えではありません。このオートメーションは、オリジナルと同じ出力を生成するために留意しなくてはならず ( MUST )、ただ異なる持続時間を使用して計算された出力ではありません。( これだと、値の曲線を少し違う方法でサンプリングして、異なる結果を生じることになります )。

          Graphical representation of calling cancelAndHoldAtTime when setValueCurve has been called at this time

        2. ステップ 5. に行きます。

  5. 時刻 \(t_c\) より後ろのすべてのイベントを削除します。

イベントが追加されない場合は、cancelAndHoldAtTime() の後のオートメーション値は、元のタイムラインが時刻 \(t_c\) に持つ定数値となります。

AudioParam.cancelAndHoldAtTime() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
cancelTime double この時刻以降の以前スケジュールされたパラメーターの変化はキャンセルされます。これは、AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸の時刻です。もし cancelTime が負であるか、有限数でない場合、RangeError 例外が発生します ( MUST )。 cancelTimecurrentTime より小さい場合は、currentTime にクランプされます。
戻り値: AudioParam
cancelScheduledValues(cancelTime)

cancelTime と同じか後ろの時刻にスケジュールされたすべてのパラメーター変化を取り消します。スケジュールされたパラメーター変化を取り消すという事は、スケジュールされたイベントをイベントリストから削除することを意味します。オートメーションイベントの時刻cancelTime 未満の現在動作中のオートメーションも取り消され、( そのオートメーション以前の ) 直前の値が直ちに復元されるため、このような取り消しは不連続を引き起こす可能性があります。cancelAndHoldAtTime() によってスケジュールされたすべてのホールド値で、cancelTime の後ろにホールドの時刻が発生した場合にもまた削除されます。

AudioParam.cancelScheduledValues() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
cancelTime double

この時刻以降で以前にスケジュールされたパラメーター変化はキャンセルされます。これは、AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸の時刻です。もし cancelTime が負であるか、有限数でない場合、RangeError 例外を発生します ( MUST )。 cancelTimecurrentTime より小さい場合は、currentTime にクランプされます。

戻り値: AudioParam
exponentialRampToValueAtTime(value, endTime)

前にスケジュールされているバラメーター値から指定された値まで、指数的に連続して値を変化させる事をスケジュールします。フィルターの周波数や再生スピードなどのパラメーターは人間の聴覚特性のため、指数的変化が適しています。

時間範囲 \(T_0 \leq t < T_1\) (ここで \(T_0\) は前のイベントの時刻で \(T_1\) はこのメソッドに渡された endTime パラメーターです) に対して次のように計算されます:

$$
  v(t) = V_0 \left(\frac{V_1}{V_0}\right)^\frac{t - T_0}{T_1 - T_0}
$$

ここで \(V_0\) は時刻 \(T_0\) での値、\(V_1\) はこのメソッドに渡された value パラメーターです。もし \(V_0\) と \(V_1\) が、逆の符号を持つか \(V_0\) が 0 ならば、\(T_0 \le t \lt T_1\) に対して \(v(t) = V_0\) となります。

これはまた、0 に向かう指数カーブが不可能である事も示しています。setTargetAtTime() で適当な時間定数を選択する事で良い近似を得る事ができます。

もしこの ExponentialRampToValue イベント以降のイベントがない場合 \(t \geq T_1\), \(v(t) = V_1\) となります

もしこのイベントより前にイベントが存在しない場合、指数カーブは setValueAtTime(value, currentTime) が呼び出されたかのように動作します。ここで、value は属性の現在の値で、currentTimeexponentialRampToValueAtTime 呼び出されたときのコンテキストの currentTime です。

もし、前のイベントが SetTarget イベントの場合、\(T_0\) と \(V_0\) は SetTarget オートメーションの現在の時刻と値から選択されます。SetTarget イベントがまだ開始されていない場合、\(T_0\) はイベントの開始時刻であり、\(V_0\) は SetTarget イベントの開始直前の値です。ExponentialRampToValue イベントは実質的に SetTarget イベントを置き換えます。SetTarget イベントが既に開始されている場合、\(T_0\) は現在のコンテキストの時刻であり、\(V_0\) は時刻 \(T_0\) での現在の SetTarget オートメーションの値です。どちらの場合も、オートメーション曲線は連続しています。

AudioParam.exponentialRampToValueAtTime() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
value float パラメーターが指数変化により指定された時刻に到達する値です。この値が 0 の場合、RangeError 例外を発生します ( MUST )。
endTime double AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸で、指数変化が終了する時刻です。 もし endTime が負の値または有限数でない場合 RangeError 例外を発生します ( MUST )。 もし endTimecurrentTime よりも小さい場合、currentTime にクランプされます。
戻り値: AudioParam
linearRampToValueAtTime(value, endTime)

前にスケジュールされているパラメーター値から指定された値まで、直線的に連続して値を変化させる事をスケジュールします。

時間範囲 \(T_0 \leq t < T_1\) (ここで \(T_0\) は前のイベントの時刻、\(T_1\) はこのメソッドで指定された endTime です) の間の値は次のように計算されます:

$$
  v(t) = V_0 + (V_1 - V_0) \frac{t - T_0}{T_1 - T_0}
$$

ここで \(V_0\) は時刻 \(T_0\) での値、\(V_1\) はこのメソッドで指定された value です。

もしこの LinearRampToValue イベント以降にイベントがない場合、\(t \geq T_1\), \(v(t) = V_1\) となります。

もしこのイベントにより前にイベントが存在しない場合、直線変化は setValueAtTime(value, currentTime) が呼び出されたかのように動作します。ここで、value は属性の現在の値で、currentTimelinearRampToValueAtTime が呼び出されたときのコンテキストの currentTime です。

もし、前のイベントが SetTarget イベントの場合、\(T_0\) と \(V_0\) は SetTarget オートメーションの現在の時刻と値から選択されます。つまり、SetTarget イベントがまだ開始されていない場合、\(T_0\) はイベントの開始時刻であり、\(V_0\) は SetTarget イベントの開始直前の値です。この場合、LinearRampToValue イベントは実質的に SetTarget イベントを置き換えます。SetTarget イベントが既に開始されている場合、\(T_0\) は現在のコンテキストの時刻であり、\(V_0\) は時刻 \(T_0\) での現在の SetTarget オートメーションの値です。どちらの場合も、オートメーションの曲線は連続しています。

AudioParam.linearRampToValueAtTime() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
value float 与えられた時刻にパラメーターが直線変化で到達する値です。
endTime double AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸で、オートメーションが終了する時刻です。もし endTime が負の値または有限数でない場合 RangeError 例外を発生します ( MUST )。 もし endTimecurrentTime よりも小さい場合、currentTime にクランプされます。
戻り値: AudioParam
setTargetAtTime(target, startTime, timeConstant)

指定の時刻から、指定の時定数によって指数的に目標の値に漸近を開始します。様々な使い方がありますが、これは ADSR エンベロープの "ディケイ" および "リリース" を実装する際に役立ちます。値は指定の時刻に即、目標値になるのではなく徐々に目標値に向かって変化する事に注意してください。

時間範囲 \(T_0 \leq t\) について、ここで \(T_0\) は startTime パラメーターの時刻として :

$$
  v(t) = V_1 + (V_0 - V_1)\, e^{-\left(\frac{t - T_0}{\tau}\right)}
$$

ここで、\(V_0\) は \(T_0\) ( startTime パラメーター ) での初期値 ( .value 属性の値 )、\(V_1\) は target パラメーターの値、そして \(\tau\) は timeConstant パラメーターです。

LinearRampToValue または ExponentialRampToValue イベントがこのイベントの後に続く場合、その動作はそれぞれ linearRampToValueAtTime() または exponentialRampToValueAtTime() で説明しています。他のすべてのイベントの場合は、SetTarget イベントは次のイベントの時点で終了します。

AudioParam.setTargetAtTime() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
target float パラメーターが指定の時刻から変化を開始する際の目標値です。
startTime double AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸で指数的漸近を開始する時刻です。もし start が負の値または有限数でない場合は RangeError 例外を発生します ( MUST )。 もし、startTimecurrentTime よりも小さい場合、currentTime の値にクランプされます。
timeConstant float 目標値に漸近する一次フィルター ( 指数 ) の時定数です。この値が大きいと変化はゆっくりになります。値は負の値ではならず ( MUST )、そうでない場合 RangeError 例外を発生します ( MUST )。もし timeConstant がゼロの場合、出力値は直ちに最終値にジャンプします。より正確には、timeConstant は、ステップ入力応答 ( 0 から 1 への遷移 ) が与えられた場合、一次線形連続時間不変システムが値 \(1 - 1/e\) ( 約 63.2% ) に達する時間です。
戻り値: AudioParam
setValueAtTime(value, startTime)

指定の時刻になるとパラメーター値を変更するようにスケジュールします。

もしこの SetValue イベントの後にもうイベントがない場合、\(t \geq T_0\) に対して \(v(t) = V\) ここで \(T_0\) は startTime 、そして \(V\) は value パラメーターの値です。別の言い方をすれば、値は定数のまま保持されます。

もしこの SetValue イベントの次のイベント ( 時刻は \(T_1\) ) が LinearRampToValue または ExponentialRampToValue でない場合、\(T_0 \leq t < T_1\) に対して:

$$
  v(t) = V
$$

別の言い方をすれば、値に "ステップ" を作ってこの期間定数のまま保持されます。

この SetValue イベントに続く次のイベントが LinearRampToValue または ExponentialRampToValue の場合、linearRampToValueAtTime() またはexponentialRampToValueAtTime() をそれぞれ参照してください。

AudioParam.setValueAtTime() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
value float 指定の時刻にパラメーターが変化する値です。
startTime double BaseAudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸で与えられた値に変化する時刻です。 もし startTime が負の値または有限数でない場合は RangeError 例外を発生します ( MUST )。 もし startTimecurrentTime よりも小さい場合、currentTime にクランプされます。
戻り値: AudioParam
setValueCurveAtTime(values, startTime, duration)

指定の時刻と期間に対して、任意の値の配列を設定します。値の個数は必要とされる期間に合うようにスケーリングされます。

\(T_0\) を startTime、\(T_D\) を duration、\(V\) を values 配列、\(N\) を values 配列の長さとすると、期間 \(T_0 \le t < T_0 + T_D\) の間、次のようになります

$$
  \begin{align*} k &= \left\lfloor \frac{N - 1}{T_D}(t-T_0) \right\rfloor \\
  \end{align*}
$$

そして \(v(t)\) は \(V[k]\) と \(V[k+1]\) の間で直線補間されます。

曲線の期間が終了した後、(\(t \ge T_0 + T_D\)) に対して値は ( もしあれば ) 別のオートメーションイベントまで、最後の曲線の値を保持します。

時刻 \(T_0 + T_D\) 、値 \(V[N-1]\) として暗黙的な setValueAtTime() の呼び出しが行われ、以後のオートメーションは setValueCurveAtTime() イベントの終わりから開始するようになります。

AudioParam.setValueCurveAtTime() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
values sequence<float> パラメーター値の曲線を表す float 値のシーケンスです。これらの値は、指定された時刻から開始される、指定された期間に割り当てられます。このメソッドが呼び出されると、オートメーションのためにカーブの内部的なコピーが作成されます。そのため、それ以降に渡した配列の中身を変更しても AudioParam に対する効果はありません。この属性の sequence<float> オブジェクトの長さが 2 未満の場合、InvalidStateError が発生します ( MUST )。
startTime double AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸の曲線の適用を開始する時刻です。もし startTime が負の値または有限数でない場合 RangeError 例外を発生します ( MUST )。もし startTimecurrentTime よりも小さい場合、currentTime の値にクランプされます。
duration double ( startTime パラメーターの時刻の後 ) values パラメーターに基づいて値が計算される期間の秒数です。duration( 訳注: 0 を含まない )厳密に正でないか、有限数でない場合、RangeError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: AudioParam

1.6.3. 値の計算

AudioParam には、単純パラメーター複合パラメーター という 2 つの異なる種類があります。単純パラメーター ( デフォルト ) は、AudioNode の最終的なオーディオ出力を計算するために単独で使用されます。複合パラメーターは、他の AudioParam と一緒に合わせて計算された値が、AudioNode の出力を計算するための入力となる AudioParam です。

computedValue はオーディオ DSP を制御する最終的な値であり、オーディオレンダリングスレッドによって、それぞれのレンダリング量子の時刻に計算します。内部的には次のように計算されなくてはなりません ( MUST ):

  1. 固有のパラメーター値は、value 属性に直接値が設定されたとき、あるいは、あらかじめまたはこの時刻に設定された オートメーションイベント があれば、これらのイベントから計算されます。 読み取られると、value 属性は常に現在の時刻の固有値を返します。オートメーションイベントが特定の時間範囲から削除された場合、value 属性が直接設定されるか、時間範囲に対してオートメーションイベントが追加されるまで、固有値は変更されずに以前の値にとどまります。

  2. computedValue は、固有値と 入力 AudioParam バッファー の値の合計です。読み取られた場合、value 属性は常に現在の時刻の computedValue を返します。

  3. もしこの AudioParam複合パラメーター の場合、他の AudioParam と合わせて最終的な値を計算します。

computedValue公称範囲は、このパラメーターが実質的に持つことができる最小値と最大値です。単純パラメーター の場合、computedValue はこのパラメーターの 単純な公称範囲 にクランプされます。複合パラメーター では、複合される別の AudioParam の値と合わせて計算された後、最終的な値が 公称範囲 にクランプされます。

オートメーションメソッドを使用する場合にも、クランプは依然として適用されます。ただし、オートメーション自体はクランプが全くないかのように実行されます。オートメーションの値が出力される際にのみ、上記のクランプが実行されます。

例えば、ノード \(N\) が \([0, 1]\) の公称範囲を有する AudioParam \(p\) を持っているとき、次のオートメーションシーケンスは
N.p.setValueAtTime(0, 0);
N.p.linearRampToValueAtTime(4, 1);
N.p.linearRampToValueAtTime(0, 2);

曲線の最初の勾配は 4 であり、最大値 1 に達すると出力は一定に保たれます。最後に、時刻 2 の近くで、曲線の傾きは -4 になります。これを図示したのが下のグラフで、破線はクリッピングされない場合に何が起こったかを示し、実線は公称範囲へのクリッピングによる audioparam の実際の予想される動作を示しています。

AudioParam automation clipping to nominal
AudioParam のオートメーションの公称範囲によるクリッピング

1.6.4. AudioParam オートメーションの例

AudioParam automation
パラメーターオートメーションの例
var curveLength = 44100;var curve = new Float32Array(curveLength);for (var i = 0; i < curveLength; ++i)  curve[i] = Math.sin(Math.PI * i / curveLength);var t0 = 0;var t1 = 0.1;var t2 = 0.2;var t3 = 0.3;var t4 = 0.325;var t5 = 0.5;var t6 = 0.6;var t7 = 0.7;var t8 = 1.0;var timeConstant = 0.1;param.setValueAtTime(0.2, t0);param.setValueAtTime(0.3, t1);param.setValueAtTime(0.4, t2);param.linearRampToValueAtTime(1, t3);param.linearRampToValueAtTime(0.8, t4);param.setTargetAtTime(.5, t4, timeConstant);// Compute where the setTargetAtTime will be at time t5 so we can make// the following exponential start at the right point so there’s no// jump discontinuity. From the spec, we have// v(t) = 0.5 + (0.8 - 0.5)*exp(-(t-t4)/timeConstant)// Thus v(t5) = 0.5 + (0.8 - 0.5)*exp(-(t5-t4)/timeConstant)param.setValueAtTime(0.5 + (0.8 - 0.5)*Math.exp(-(t5 - t4)/timeConstant), t5);param.exponentialRampToValueAtTime(0.75, t6);param.exponentialRampToValueAtTime(0.05, t7);param.setValueCurveAtTime(curve, t7, t8 - t7);

1.7. AudioScheduledSourceNode インターフェイス

このインターフェイスは、AudioBufferSourceNodeConstantSourceNode、および OscillatorNode などのソースノードの共通の機能を表します。

( start() を呼び出すことによって ) ソースが開始されるより前は、ソースノードは無音 ( 0 ) を出力しなければなりません ( MUST )。( stop() を呼び出すことによって ) ソースが停止した後、ソースは無音 ( 0 ) を出力しなければなりません ( MUST )。

AudioScheduledSourceNode は直接インスタンス化することはできませんが、代わりにソースノードの具体的なインターフェイスに拡張されています。

[Exposed=Window]
interface AudioScheduledSourceNode : AudioNode {
  attribute EventHandler onended;
  void start(optional double when = 0);
  void stop(optional double when = 0);
};

1.7.1. 属性

onended, EventHandler

この属性は AudioScheduledSourceNode 型のノードに送られる ended イベントの EventHandler ( HTML[HTML] で説明されています ) を設定します。( 実体化したノードによって決まる方法で ) ソースノードが再生を停止したとき Event 型のイベント ( HTML [HTML] で説明されています ) がイベントハンドラーに送られます。

すべての AudioScheduledSourceNode は、stop() によって指定された停止時間に達すると onended イベントが送出されます。AudioBufferSourceNode の場合は duration に達するか、バッファー全体を再生し終わったときもイベントが送出されます。

1.7.2. メソッド

start(when)

指定した時刻に音を再生するようにスケジュールします。

このメソッドが呼ばれると以下の手順を実行します:
  1. このノードで stop() が既に呼び出されている場合、または start() が既に呼び出されている場合は、InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

  2. 後述するパラメーターの制約のために発生するエラーがないか調べます。

  3. AudioScheduledSourceNode を開始するための制御メッセージをパラメーターと共にキューに入れます

AudioScheduledSourceNode.start(when) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
when double when パラメーターは、サウンドの再生開始時刻を秒単位で表します。これは、AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸を使用します。AudioScheduledSourceNode が信号を出力する際の開始時刻を示す when は常にサンプルフレーム単位に丸めずに使用されます。この値に 0 が渡された場合、または値が currentTime よりも小さい場合は、サウンドが即時に再生されます。when が負の場合には RangeError 例外が発生します ( MUST )。
戻り値: void
stop(when)

正確な時刻に音の再生を停止するようにスケジュールします。stop がすでに呼び出された後に再度呼び出された場合は、最後の呼び出しだけが適用されます。後続のコールの前にバッファーがすでに停止していない限り、前回の呼び出しで設定された停止時刻は適用されません。バッファーがすでに停止している場合は、さらに stop を呼び出しても効果はありません。スケジュールされた開始時刻よりも前に停止時刻に達すると、音は再生されません。

このメソッドが呼び出されると、以下の手順が実行されます:
  1. まだ start が呼び出されていない場合は InvalidStateError 例外が発生します ( MUST )。

  2. 後述するパラメーターの制約のために発生するエラーがないか調べます。

  3. AudioScheduledSourceNode を停止するための制御メッセージをパラメーターと共にキューに入れます

もしノードが AudioBufferSourceNode の場合、AudioBufferSourceNode を停止する 制御メッセージ を実行することは、再生アルゴリズムhandleStop() 関数を呼び出すことを意味します。
AudioScheduledSourceNode.stop(when) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
when double when パラメーターは、ソースの再生を停止する時間 ( 秒 ) を示します。これは、AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸を使用します。この値に 0 が渡された場合、または値が currentTime よりも小さい場合は、音の再生は即時に停止します。when が負の場合には RangeError 例外を発生します ( MUST )。
戻り値: void

1.8. AnalyserNode インターフェイス

このインターフェイスはリアルタイムの周波数および時間領域の分析を可能にするノードを表します。オーディオストリームは加工されずに入力から出力に渡されます。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1 この出力は接続されずに放置される事もあります。
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No
[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional AnalyserOptions options)]
interface AnalyserNode : AudioNode {
  void getFloatFrequencyData (Float32Array array);
  void getByteFrequencyData (Uint8Array array);
  void getFloatTimeDomainData (Float32Array array);
  void getByteTimeDomainData (Uint8Array array);
  attribute unsigned long fftSize;
  readonly attribute unsigned long frequencyBinCount;
  attribute double minDecibels;
  attribute double maxDecibels;
  attribute double smoothingTimeConstant;
};

1.8.1. コンストラクタ

AnalyserNode(context, options)
AnalyserNode.AnalyserNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext 新しく作成される AnalyserNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options AnalyserOptions この AnalyserNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.8.2. 属性

fftSize, unsigned long

周波数領域の分析に使用する FFT のサイズです。これは 32 から 32768 までの 2 の累乗でなくてはならず ( MUST )、そうでなければ、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。 デフォルトの値は 2048 です。大きな FFT サイズは計算量が増加する事に注意してください。

fftSize が異なる値に変更されると、( getByteFrequencyData() および getFloatFrequencyData() の ) 周波数データの平滑化に関連するすべての状態がリセットされます。つまり、時間の経過による 平滑化 に使用される 前のブロック のデータ、\(\hat{X}_{-1}[k]\) が、すべての \(k\) に対して 0 に設定されます。

frequencyBinCount, unsigned long 型, readonly

FFT サイズの 1/2 の値です。

maxDecibels, double

maxDecibels は FFT 解析データを unsigned byte 値へ変換するスケーリングの際の最大パワー値です。デフォルトの値は -30 です。もしこの属性の値が minDecibels より小さいか同じ値に設定された場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。

minDecibels, double

minDecibels FFT 解析データを unsigned byte値へ変換するスケーリングの際の最少パワー値です。デフォルトの値は -100 です。もしこの属性の値が maxDecibels よりも大きいか同じに設定された場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。

smoothingTimeConstant, double

0 -> 1 の範囲の値で、0 ならば最後の解析フレームに対して時間平均が取られない事を表します。デフォルトの値は 0.8 です。もしこの属性の値が 0 より小さいか 1 より大きい値が設定された場合、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。

1.8.3. メソッド

getByteFrequencyData(array)

渡された unsigned byte 配列に 現在の周波数データ をコピーします。もし配列が frequencyBinCount よりも小さい場合、余った要素は捨てられます。もし配列が frequencyBinCount よりも大きい場合、余剰の要素は無視されます。 最も最近の fftSize フレームが周波数データの計算に使用されます。

以前の呼び出しと同じ レンダリング量子 内で getByteFrequencyData() または getFloatFrequencyData() が再度呼び出された場合、現在の周波数データ は同じデータで更新されず、代わりに、以前に計算されたデータが返されます。

unsigned byte 配列に格納される値は次のように計算されます。FFT 窓関数と スムージング で説明されているように \(Y[k]\) を 現在の周波数データ とします。バイトの値 \(b[k]\) は、

$$
  b[k] = \left\lfloor
      \frac{255}{\mbox{dB}_{max} - \mbox{dB}_{min}}
      \left(Y[k] - \mbox{dB}_{min}\right)
    \right\rfloor
$$

ここで、\(\mbox{dB}_{min}\) は minDecibels、\(\mbox{dB}_{max}\)は maxDecibels です。もし、\(b[k]\) が 0 から 255 の範囲外の場合、\(b[k]\) はこの範囲内にクリップされます。

AnalyserNode.getByteFrequencyData() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
array Uint8Array このパラメーターは周波数領域の分析データをコピーする場所を示します。
戻り値: void
getByteTimeDomainData(array)

渡された unsigned byte 配列に 現在の時間領域データ ( 波形データ ) をコピーします。もし、配列が fftSize よりも小さい場合、余った要素は捨てられます。もし配列が fftSize よりも多くの要素を持つ場合、余剰の要素は無視されます。最も最近の fftSize のフレームがバイトデータの計算に使用されます。

unsigned byte 配列に格納される値は次のように計算されます。\(x[k]\) を時間領域データとします。バイトの値、\(b[k]\) は、

$$
  b[k] = \left\lfloor 128(1 + x[k]) \right\rfloor.
$$

もし \(b[k]\) が 0 から 255 の範囲外の場合、\(b[k]\) は範囲内にクリップされます。

AnalyserNode.getByteTimeDomainData() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
array Uint8Array このパラメーターは時間領域のサンプルデータをコピーする場所を示します。
戻り値: void
getFloatFrequencyData(array)

渡された浮動小数配列に 現在の周波数データ をコピーします。もし配列が frequencyBinCount よりも小さい場合、余った要素は捨てられます。もし配列が frequencyBinCount よりも大きい場合、余剰の要素は無視されます。最も最近の fftSize のフレームが周波数データの計算に使用されます。

以前の呼び出しと同じ レンダリング量子 内で getFloatFrequencyData() または getByteFrequencyData() が再度呼び出された場合、現在の周波数データ は同じデータで更新されず、代わりに、以前に計算されたデータが返されます。

周波数データの単位は dB です。

AnalyserNode.getFloatFrequencyData() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
array Float32Array このパラメーターは周波数領域の分析データをコピーする場所を示します。
戻り値: void
getFloatTimeDomainData(array)

渡された浮動小数配列に、現在の時間領域データ ( 波形データ ) をコピーします。もし配列が fftSize よりも小さい場合、余った要素は捨てられます。もし配列が fftSize よりも大きい場合、余剰の要素は無視されます。最も最近の fftSize のフレームが (ダウンミックスされた後) 返されます。

AnalyserNode.getFloatTimeDomainData() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
array Float32Array このパラメーターは時間領域のサンプルデータをコピーする場所を示します。
戻り値: void

1.8.4. AnalyserOptions

これは AnalyserNode を生成する際に使用するオプションを指定します。すべてのメンバーは省略可能で、もし指定されない場合は通常のデフォルト値がノードの生成に使用されます。

dictionary AnalyserOptions : AudioNodeOptions {
  unsigned long fftSize = 2048;
  double maxDecibels = -30;
  double minDecibels = -100;
  double smoothingTimeConstant = 0.8;
};
1.8.4.1. ディクショナリ AnalyserOptions メンバー
fftSize, unsigned long 型, デフォルトは 2048

周波数領域解析のための FFT サイズとして要求する初期値。

maxDecibels, double 型, デフォルトは -30

FFT 解析の最大パワー (dB) として要求する初期値。

minDecibels, double 型, デフォルトは -100

FFT 解析の最小パワー (dB) として要求する初期値。

smoothingTimeConstant, double 型, デフォルトは 0.8

FFT 解析のスムーズ化定数として要求する初期値。

1.8.5. 時間領域のダウンミックス

現在の時間領域データが計算されるとき、入力信号は channelCount が 1 であり、channelCountMode が "max" であり、channelInterpretation が "speakers" であるかのように、モノラルに ダウンミックス されなければなりません。これは、AnalyserNode 自体の設定とは無関係です。最新の fftSize フレームがこのダウンミックス処理に使用されます。

1.8.6. FFT 窓関数と時間的スムージング

現在の周波数データが計算されたとき、次の処理が行われます:

  1. 現在の時間領域データ を計算します。

  2. 時間領域の入力データに対して ブラックマン窓を適用 します。

  3. 窓関数を通した時間領域の入力データからイマジナリとリアルの周波数データを得るため、フーリエ変換を適用 します。

  4. 周波数領域データに 時間的スムージング の処理を行います

  5. dB への変換 を行います。

次の式では \(N\) をこの AnalyserNodefftSize 属性とします

ブラックマン窓の適用は時間領域の入力に対して次の処理を行います。\(n = 0, \ldots, N - 1\) に対する \(x[n]\) は時間領域のデータです。ブラックマン窓は、
$$
\begin{align*}
  \alpha &= \mbox{0.16} \\ a_0 &= \frac{1-\alpha}{2} \\
  a_1 &= \frac{1}{2} \\
  a_2 &= \frac{\alpha}{2} \\
  w[n] &= a_0 - a_1 \cos\frac{2\pi n}{N} + a_2 \cos\frac{4\pi n}{N}, \mbox{ for } n = 0, \ldots, N - 1
\end{align*}
$$

窓関数を通した信号 \(\hat{x}[n]\) は

$$
  \hat{x}[n] = x[n] w[n], \mbox{ for } n = 0, \ldots, N - 1
$$
フーリエ変換の適用は次のようなフーリエ変換の計算から成ります。\(X[k]\) は周波数領域の複素数データで \(\hat{x}[n]\) は上で計算された窓関数を通した時間領域のデータです。そして、
$$
  X[k] = \frac{1}{N} \sum_{n = 0}^{N - 1} \hat{x}[n]\, e^{\frac{-2\pi i k n}{N}}
$$

ただし、\(k = 0, \dots, N/2-1\).

周波数データの時間的スムージングは次のように処理されます:

そしてスムージングされた値、\(\hat{X}[k]\) は次の式で計算されます

$$
  \hat{X}[k] = \tau\, \hat{X}_{-1}[k] + (1 - \tau)\, |X[k]|
$$

ただし、\(k = 0, \ldots, N - 1\).

dBへの変換は次の処理で行われます。\(\hat{X}[k]\) を時間的スムージング で計算された値として:
$$
  Y[k] = 20\log_{10}\hat{X}[k]
$$

ただし、\(k = 0, \ldots, N-1\).

この配列、\(Y[k]\) は getFloatFrequencyData() によって出力の配列にコピーされます。getByteFrequencyData() に対しては、\(Y[k]\) は minDecibelsmaxDecibels の範囲内にクリップされ、minDecibels が 0、maxDecibels が 255 になるようにスケーリングされます。

1.9. AudioBufferSourceNode インターフェイス

このインターフェイスは AudioBuffer によってメモリー上に保持されているオーディオデータからのオーディオソースを表します。これはオーディオデータの再生に高度なスケジューリングの柔軟性と精度が要求される場合に役立ちます。もしネットワークからあるいはディスクからのデータをサンプル精度で再生する必要がある場合、再生機能の実装には AudioWorkletNode を使用しなくてはなりません。

start() メソッドはいつ再生されるかをスケジュールするために使用されます。start() メソッドを複数回呼び出す事はできません。再生は ( もし loop 属性が false の場合 ) バッファーのオーディオデータがすべて再生されると自動的に、あるいは stop() メソッドが呼び出されて指定された時刻になると停止します。より詳細には start() および stop() を参照してください。

プロパティ 説明
numberOfInputs 0
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No

出力のチャンネル数は常に buffer 属性に指定された AudioBuffer のチャンネル数と同じになります。もし buffer が NULL の場合、チャンネルは無音の 1 チャンネルとなります。

AudioBufferSourceNode再生ヘッド位置は、バッファー内の最初のサンプルフレームの時刻を基準にした秒単位の時間オフセットとして定義される値です。その値はノードの playbackRate および detune パラメーターとは独立したものとして想定されます。一般に、再生ヘッド位置はサブサンプル精度であり、正確なサンプルフレーム位置を参照する必要はありません。その値は 0 とバッファー全体の秒数の間で有効な値を取ります。

playbackRate および detune 属性は、複合パラメーター を形成します。それらは組み合わせて使用され、次のように computedPlaybackRate 値を決定します:

computedPlaybackRate(t) = playbackRate(t) * pow(2, detune(t) / 1200)

この 複合パラメーター公称範囲 は \((-\infty, \infty)\) です。

AudioBufferSourceNode は作成されたときに ブーリアンの内部スロット [[buffer set]] を持っており、初期値は false に設定されています。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional AudioBufferSourceOptions options)]
interface AudioBufferSourceNode : AudioScheduledSourceNode {
  attribute AudioBuffer? buffer;
  readonly attribute AudioParam playbackRate;
  readonly attribute AudioParam detune;
  attribute boolean loop;
  attribute double loopStart;
  attribute double loopEnd;
  void start (optional double when = 0,
              optional double offset,
              optional double duration);
};

1.9.1. コンストラクタ

AudioBufferSourceNode(context, options)

node を新しい AudioBufferSourceNode オブジェクトとして作成、初期化 して返します。

AudioBufferSourceNode.AudioBufferSourceNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext 作成した新しい AudioBufferSourceNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options AudioBufferSourceOptions この AudioBufferSourceNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.9.2. 属性

buffer, AudioBuffer 型, nullable

再生されるオーディオのリソースを指定します。

buffer 属性を設定する際は次の手順が行われます:
  1. 新しいバッファーAudioBuffer または null として、buffer に割り当てます。

  2. もし新しいバッファーnull でなく、[[buffer set]] が true ならば、InvalidStateError 例外を発生してこれらの手順を中止します。

  3. もし新しいバッファーnull でなければ、[[buffer set]] を true に設定します。

  4. 新しいバッファーbuffer 属性に割り当てます。

  5. ものこのノードで start() が既に呼ばれていた場合、buffer内容の取得 処理を実行します。

detune, AudioParam 型, readonly

オーディオストリームをレンダリングする速度を変調する追加のパラメーターで、単位はセントです。このパラメーターは、playbackRate と組み合わせて computedPlaybackRate を計算する 複合パラメーター です。

loop, boolean

オーディオデータの loopStartloopEnd で指定された範囲を繰り返してループ再生するかどうかを指定します。デフォルトは false です。

loopEnd, double

loop 属性が true の場合、ループの終了位置を示すオプションの再生ヘッド位置です。その値そのものはループ範囲に含まれません。そのデフォルトの value は 0 で、通常は 0 から バッファーの長さの範囲の任意の値に設定できます。loopEnd が 0 以下であるか、または loopEnd がバッファーの長さよりも長い場合、ループはバッファーの最後が終了位置になります。

loopStart, double

loop 属性が true の場合にループを開始するオプションの再生ヘッド位置です。そのデフォルトの value は 0 で、0 からバッファーの長さの範囲の任意の値に設定できます。もし loopStart が 0 より小さい場合、ループは 0 から開始します。もし loopStart がバッファーの長さより大きい場合、ループはバッファーの最後から開始します。

playbackRate, AudioParam 型, readonly

オーディオストリームをレンダリングする速度です。これは、detune と組み合わせて computedPlaybackRate が計算される 複合パラメーター です。

1.9.3. メソッド

start(when, offset, duration)

指定の時刻に音の再生開始をスケジュールします。

メソッドが呼び出されたとき、以下の手順が実行されます:
  1. このノードで既に stop が呼び出されている場合、または既に start の呼び出しが発生している場合は、InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

  2. 後述するパラメーターの制約のために発生するエラーがないか調べます。

  3. AudioBufferSourceNode を開始するため、パラメーターと共に 制御メッセージをキューに入れます

AudioBufferSourceNode を開始するための 制御メッセージ の実行は、後述の 再生アルゴリズムhandleStart() 関数を呼び出すことを意味します。
AudioBufferSourceNode.start(when, offset, duration) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
when double when パラメーターは、再生の開始時刻を ( 秒で ) 指定します。これは AudioContextcurrentTime 属性と同じ時間軸の時刻を使用します。もしこの値に 0 、あるいは currentTime よりも小さな値を渡した場合、音は即時に再生されます。もし when が負の値の場合、RangeError 例外を発生します ( MUST )。
offset double offset パラメーターは再生を開始する 再生ヘッド位置 を指定します。もしこの値に 0 が渡された場合、再生はバッファーの先頭から開始されます。もし offset が負の値の場合 RangeError 例外を発生します ( MUST )。もし offsetloopEnd より大きい場合は、再生は loopEnd から始まり (そして即時に loopStart にループし) ます。startTime に到達したとき、offset は [0, duration] の範囲に暗黙的にクランプされます。ここで duration はこの AudioBufferSourceNodebuffer 属性に設定されている AudioBufferduration 属性です。
duration double duration パラメーターは、再生される音の長さ ( 秒 ) を表します。このパラメーターが渡された場合、このメソッドは start(when, offset) に続けて stop(when + duration) を呼び出したのとまったく同じ効果を持ちます。duration が負の場合、RangeError 例外が発生します ( MUST )。
戻り値: void

1.9.4. AudioBufferSourceOptions

AudioBufferSourceNode を生成する際のオプションを指定します。すべてのメンバーは省略可能です。指定されていない場合、通常のデフォルト値がノードの生成に使用されます。

dictionary AudioBufferSourceOptions {
  AudioBuffer? buffer;
  float detune = 0;
  boolean loop = false;
  double loopEnd = 0;
  double loopStart = 0;
  float playbackRate = 1;
};
1.9.4.1. ディクショナリ AudioBufferSourceOptions メンバー
buffer, AudioBuffer 型, nullable

再生するオーディオのデータを指定します。これは bufferAudioBufferSourceNodebuffer 属性に割り当てるのと等価です。

detune, float 型, デフォルトは 0

detune AudioParam の初期値です。

loop, boolean 型, デフォルトは false

loop 属性の初期値です。

loopEnd, double 型, デフォルトは 0

loopEnd 属性の初期値です。

loopStart, double 型, デフォルトは 0

loopStart 属性の初期値です。

playbackRate, float 型, デフォルトは 1

playbackRate 属性の初期値です。

1.9.5. ループ再生

このセクションは非基準情報です。基準としての要件については、再生アルゴリズム を参照してください。

loop 属性を true に設定すると、端点 loopStart および loopEnd によって定義され、その範囲内が再生されると、その後範囲の再生を繰り返します。loop が true である間、ループ再生は次のいずれかが発生するまで続きます:

ループの範囲は loopStart から loopEnd まで、ただし loopEnd そのものは含まない領域を占めているとみなされます。 ループ範囲の再生方向は、ノードの再生速度の符号を考慮します。 再生速度が正の場合、ループは loopStart から loopEnd まで; 再生速度が負の場合は loopEnd から loopStart までのループが発生します。

ループは start()offset 引数の解釈には影響しません。再生は常に指定されたオフセットから開始され、再生中にループ範囲に差し掛かった場合にのみループが開始されます。

有効なループ開始点と終了点は、後述のアルゴリズムで定義されているように、0 から バッファーの長さの間にある必要があります。loopEnd は、loopStart よりも後ろになるようにさらに制約されます。これらの制約のいずれかに沿わない場合は、ループ範囲はバッファー全体を指すとみなされます。

ループの端点はサブサンプルの精度で扱われます。端点が正確なサンプルフレームのオフセットにならない場合、または再生レートが 1 に等しくない場合、ループの再生は、ループの終了点と開始点が一致するように繋ぎ合わされ、それがバッファーの連続した領域のオーディオであるように補間されます。

ループ関連のプロパティは、バッファーの再生中に変化させても良く、一般に次のレンダリング量子から有効となります。 正確な内容については、後述の基準としての再生アルゴリズムによって定義されます。

loopStartloopEnd 属性のデフォルト値はどちらも 0 です。loopEnd の値が 0 である事はバッファー全体の長さと等価であるため、デフォルトのループ範囲はバッファー全体になります。

ループの端点の値は、バッファーのサンプルレートを前提とした時間のオフセットとして表されています。これらの値は再生中に動的に変化可能なノードの playbackRate パラメーターとは無関係であることに注意してください。

1.9.6. AudioBuffer 内容の再生

この基準情報のセクションでは、再生中に動的に変化する可能性がある次の要素の組み合わせの影響を考慮しつつ、バッファー内容の再生について定義します。

AudioBufferSourceNode の出力を生成するための内部のアルゴリズムは、以下の原則に従います:

アルゴリズムの説明は次のとおりです:

let buffer; // AudioBuffer employed by this nodelet context; // AudioContext employed by this node// The following variables capture attribute and AudioParam values for the node.// They are updated on a k-rate basis, prior to each invocation of process().let loop;let detune;let loopStart;let loopEnd;let playbackRate;// Variables for the node’s playback parameterslet start = 0, offset = 0; // Set by start()let stop = Infinity; // Set by stop(), or by start() with a supplied duration// Variables for tracking node’s playback statelet bufferTime = 0, started = false, enteredLoop = false;let dt = 1 / context.sampleRate;// Handle invocation of start method callfunction handleStart(when, pos, duration) {  if (arguments.length >= 1) {    start = when;  }  offset = pos;  if (arguments.length >= 3) {    stop = when + duration;  }}// Handle invocation of stop method callfunction handleStop(when) {  if (arguments.length >= 1) {    stop = when;  } else {    stop = context.currentTime;  }}// Interpolate a multi-channel signal value for some sample frame.// Returns an array of signal values.function playbackSignal(position) {  /*    This function provides the playback signal function for buffer, which is a    function that maps from a playhead position to a set of output signal    values, one for each output channel. If |position| corresponds to the    location of an exact sample frame in the buffer, this function returns    that frame. Otherwise, its return value is determined by a UA-supplied    algorithm that interpolates between sample frames in the neighborhood of    position.    If position is greater than or equal to loopEnd and there is no subsequent    sample frame in buffer, then interpolation should be based on the sequence    of subsequent frames beginning at loopStart.   */   ...}// Generate a single render quantum of audio to be placed// in the channel arrays defined by output. Returns an array// of |numberOfFrames| sample frames to be output.function process(numberOfFrames) {  let currentTime = context.currentTime; // context time of next rendered frame  let output = []; // accumulates rendered sample frames  // Combine the two k-rate parameters affecting playback rate  let computedPlaybackRate = playbackRate * Math.pow(2, detune / 1200);  // Determine loop endpoints as applicable  let actualLoopStart, actualLoopEnd;  if (loop && buffer != null) {    if (loopStart >= 0 && loopEnd > 0 && loopStart < loopEnd) {      actualLoopStart = loopStart;      actualLoopEnd = Math.min(loopEnd, buffer.duration);    } else {      actualLoopStart = 0;      actualLoopEnd = buffer.duration;    }  } else {    // If the loop flag is false, remove any record of the loop having been entered    enteredLoop = false;  }  // Handle null buffer case  if (buffer == null) {    stop = currentTime; // force zero output for all time  }  // Render each sample frame in the quantum  for (let index = 0; index < numberOfFrames; index++) {    // Check that currentTime is within allowable range for playback    if (currentTime < start || currentTime >= stop) {      output.push(0); // this sample frame is silent      currentTime += dt;      continue;    }    if (!started) {      // Take note that buffer has started playing and get initial playhead position.      bufferTime = offset + ((currentTime - start) * computedPlaybackRate);      started = true;    }    // Handle loop-related calculations    if (loop) {      // Determine if looped portion has been entered for the first time      if (!enteredLoop) {        if (offset < actualLoopEnd && bufferTime >= actualLoopStart) {          // playback began before or within loop, and playhead is now past loop start          enteredLoop = true;        }        if (offset >= actualLoopEnd && bufferTime < actualLoopEnd) {          // playback began after loop, and playhead is now prior to the loop end          enteredLoop = true;        }      }      // Wrap loop iterations as needed. Note that enteredLoop      // may become true inside the preceding conditional.      if (enteredLoop) {        while (bufferTime >= actualLoopEnd) {          bufferTime -= actualLoopEnd - actualLoopStart;        }        while (bufferTime < actualLoopStart) {          bufferTime += actualLoopEnd - actualLoopStart;        }      }    }    if (bufferTime >= 0 && bufferTime < buffer.duration) {      output.push(playbackSignal(bufferTime));    } else {      output.push(0); // past end of buffer, so output silent frame    }    bufferTime += dt * computedPlaybackRate;    currentTime += dt;  } // End of render quantum loop  if (currentTime >= stop) {    // end playback state of this node.    // no further invocations of process() will occur.  }  return output;}

次の図 (非基準) は、雑多な主要シナリオでのアルゴリズムの動作を示しています。バッファーのダイナミックリサンプリングは考慮されませんが、ループ位置の時間が変更されない限り、結果の再生には重大な影響はありません。すべての図において、次の規則が適用されます:

この図は、バッファー内の最後のサンプルフレームの後にエンドポイントがある単純なループがあるバッファーの基本的な再生を示しています:

AudioBufferSourceNode basic playback
AudioBufferSourceNode の基本再生

この図は、playbackRate の補間を示し、1 つおきに出力サンプルフレームが補間される、バッファーコンテンツの半分の速度での再生を示しています。特に注目すべき点は、ループされた出力の最後のサンプルフレームで、ループの開始点を使用して補間されます。

AudioBufferSourceNode playbackRate interpolation
AudioBufferSourceNode playbackRate の補間

この図はサンプルレートの補間を示し、サンプルレートがコンテキストのサンプルレートの 50% であるバッファーの再生を示しています。バッファーとコンテキストとの間のサンプルレートの差を補正するために、計算された再生レートは 0.5 となります。結果の出力は前の例と同じですが、理由は異なります。

AudioBufferSourceNode sample rate interpolation
AudioBufferSourceNode サンプルレートの補間

この図は、バッファー内のオフセットがサンプルフレームのちょうど半分で始まるサブサンプルオフセットの再生を示しています。そのため、すべての出力フレームが補間されます。

AudioBufferSourceNode subsample offset playback
AudioBufferSourceNode サブサンプルオフセットの再生

この図は、ループの端点の小数点以下を持つフレームオフセットが、正確なサンプルフレームを参照している場合と同じように、オフセットに従ってバッファー内の補間データポイントにどのようにマップするかを示すサブサンプルループ再生を示しています:

AudioBufferSourceNode subsample loop playback
AudioBufferSourceNode サブサンプルのループの再生

1.10. AudioDestinationNode インターフェイス

これはユーザーが聴く事になる最終的な音の出力地点を表す AudioNode です。それは多くの場合、スピーカーが接続されているオーディオ出力デバイスと考えられます。聴こえるべきすべてのレンダリングされた音は AudioContext のルーティンググラフの"終端点"であるこのノードに導かれます。AudioDestinationNode は 1 つの AudioContext に付き、AudioContextdestination 属性を介して 1 つだけ存在します。

AudioDestinationNode の出力はその 入力を足し合わせる ことによって生成され、AudioContext の出力を例えば MediaStreamAudioDestinationNode、または MediaRecorder ( [mediastream-recording] で説明されています ) で取り込むこともできます。

AudioDestinationNode は、AudioContext または OfflineAudioContext のいずれかの出力先であり、チャンネルのプロパティはコンテキストが何であるかによって異なります。

AudioContext の場合のデフォルトは

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "explicit"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No

channelCount は、maxChannelCount 以下の任意の値に設定できます。この値が有効な範囲内にない場合は、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。 具体的な例を挙げると、オーディオハードウェアが 8 チャンネル出力をサポートする場合、channelCount を 8 に設定する事で 8 チャンネルの出力をレンダリングすることができます。

OfflineAudioContext の場合のデフォルトは

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount numberOfChannels
channelCountMode "explicit"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No

ここで numberOfChannels は、OfflineAudioContext を生成するときに指定されたチャンネルの数です。この値は変更できません。channelCount が別の値に変更された場合、NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

[Exposed=Window]
interface AudioDestinationNode : AudioNode {
  readonly attribute unsigned long maxChannelCount;
};

1.10.1. 属性

maxChannelCount, unsigned long 型, readonly

channelCount 属性に設定できるチャンネルの最大数。( 通常の場合 ) 終点としてオーディオハードウェアを表す AudioDestinationNode は、オーディオハードウェアがマルチチャンネル対応である場合、2 よりも大きなオーディオチャンネルを出力する可能性があります。maxChannelCount は、このハードウェアがサポートできるチャンネルの最大数です。

1.11. AudioListener インターフェイス

このインターフェイスは人がオーディオシーンを聴く位置と方向を表します。すべての PannerNode オブジェクトは BaseAudioContextlistener との関係で空間音響処理を行います。空間音響についての詳細は §7 空間音響/定位 を参照してください。

positionX、positionY、positionZ パラメーターは、3D デカルト座標空間におけるリスナーの位置を表します。PannerNode オブジェクトは、これと個々の音源との相対位置を空間音響に使用します。

forwardX、forwardY、forwardZ パラメーターは、3D 空間内の方向ベクトルを表します。forward ベクトルと up ベクトルの両方が、リスナーの向きを決定するために使用されます。わかりやすく人間で言えば、forwardベクトルは、人の鼻がどの方向を指しているかを表します。upのベクトルは、人の頭の上を指している方向を表します。これらの 2 つのベクトルは線形独立であると考えられます。これらの値がどのように解釈されるかの基準としての要件については、§7 空間音響/パンニング のセクションを参照してください。

[Exposed=Window]
interface AudioListener {
  readonly attribute AudioParam positionX;
  readonly attribute AudioParam positionY;
  readonly attribute AudioParam positionZ;
  readonly attribute AudioParam forwardX;
  readonly attribute AudioParam forwardY;
  readonly attribute AudioParam forwardZ;
  readonly attribute AudioParam upX;
  readonly attribute AudioParam upY;
  readonly attribute AudioParam upZ;
  void setPosition (float x, float y, float z);
  void setOrientation (float x, float y, float z, float xUp, float yUp, float zUp);
};

1.11.1. 属性

forwardX, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内で、リスナーが向いている forward 方向の x 座標成分です。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
forwardY, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内で、リスナーが向いている forward 方向の y 座標成分です。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
forwardZ, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内で、リスナーが向いている forward 方向の z 座標成分です。

パラメーター 説明
defaultValue -1
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
positionX, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内での、オーディオリスナーの位置の x 座標です。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
positionY, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内での、オーディオリスナーの位置の y 座標です。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
positionZ, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内での、オーディオリスナーの位置の z 座標です。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
upX, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内で、リスナーの頭上の up 方向の x 座標成分です。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
upY, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内で、リスナーの頭上の up 方向の y 座標成分です。

パラメーター 説明
defaultValue 1
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
upZ, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間内で、リスナーの頭上の up 方向の z 座標成分です。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"

1.11.2. メソッド

setOrientation(x, y, z, xUp, yUp, zUp)

このメソッドは非推奨 (DEPRECATED) です。 これは forwardX.valueforwardY.valueforwardZ.valueupX.valueupY.valueupZ.value に、与えられた xyzxUpyUpzUp の値をそれぞれ直接設定するのと等価です。

そのため、forwardXforwardYforwardZupXupYupZAudioParam のいずれかに、setValueCurveAtTime() を使用したオートメーションカーブがあるときに、このメソッドを呼び出すと NotSupportedError を発生します ( MUST )。

リスナーが 3D デカルト座標空間でどの方向を指しているかを説明します。front ベクトルと up ベクトルの両方があり、わかりやすく人間で言えば、front ベクトルは、人の鼻がどの方向を向いているかを表します。up ベクトルは、人の頭の上を指している方向を表します。これらの値がどのように解釈されるかの基準としての要件については、§7 空間音響/パンニング のセクションを参照してください。

x、y、z パラメーターは、3D 空間における front 方向ベクトルを表し、デフォルト値は ( 0, 0, -1 ) になります。

xUp、yUp、zUp パラメーターは、3D 空間内の up 方向ベクトルを表し、デフォルト値は ( 0, 1, 0 ) になります。

AudioListener.setOrientation() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
x float
y float
z float
xUp float
yUp float
zUp float
戻り値: void
setPosition(x, y, z)

このメソッドは非推奨 (DEPRECATED) です。これは、positionX.valuepositionY.valuepositionZ.value にそれぞれ与えられた xyz の値を直接設定することと等価です。

そのため、positionXpositionYpositionZAudioParam のいずれかに、setValueCurveAtTime() を使用したオートメーションカーブがあるときに、このメソッドを呼び出すと NotSupportedError を発生します ( MUST )。

リスナーの位置を 3D デカルト座標空間に設定します。PannerNode オブジェクトは、この位置と個々の音源の相対位置を空間音響に使用します。

x、y、z パラメーターは 3D 空間内の位置を表しています

デフォルトの値は (0, 0, 0) です。

AudioListener.setPosition() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
x float
y float
z float

1.12. AudioProcessingEvent インターフェイス - DEPRECATED

これは ScriptProcessorNode ノードにディスパッチされる Event オブジェクトです。置き換えとなる AudioWorkletNode は異なるアプローチを使用するため、ScriptProcessorNode が削除される際には削除されます。

このイベントのハンドラーは inputBuffer 属性を経由してオーディオデータにアクセスすることによって、( もしあれば ) 入力からのオーディオを処理します。処理の結果 ( または入力がない場合は合成したデータ ) であるオーディオデータは、outputBuffer に格納されます。

[Exposed=Window,
 Constructor (DOMString type, AudioProcessingEventInit eventInitDict)]
interface AudioProcessingEvent : Event {
  readonly attribute double playbackTime;
  readonly attribute AudioBuffer inputBuffer;
  readonly attribute AudioBuffer outputBuffer;
};

1.12.1. 属性

inputBuffer, AudioBuffer 型, readonly

入力となるオーディオデータを含む AudioBuffer です。この AudioBuffer は createScriptProcessor() メソッドの numberOfInputChannels パラメーターと等しい数のチャンネルを持っています。この AudioBuffer は、onaudioprocess 関数の範囲内でのみ有効です。このスコープの外では値は意味を持ちません。

outputBuffer, AudioBuffer 型, readonly

出力のオーディオデータを書き込まなくてはならない AudioBuffer です。この AudioBUffer は createScriptProcessor() メソッドの numberOfOutputChannels パラメーターと等しい数のチャンネルを持っています。onaudioprocess 関数のスコープ内のスクリプトコードは、この AudioBuffer のチャンネルデータを表す Float32Array 配列を変更することを期待されています。このスコープの外でのスクリプトによる AudioBuffer の変更では、オーディオに対する効果は発生しません。

playbackTime, double 型, readonly

AudioContextcurrentTime と同じ時間軸でこのオーディオが再生される時刻です。

1.12.2. AudioProcessingEventInit

dictionary AudioProcessingEventInit : EventInit {
  required double playbackTime;
  required AudioBuffer inputBuffer;
  required AudioBuffer outputBuffer;
};
1.12.2.1. ディクショナリ AudioProcessingEventInit メンバー
inputBuffer, AudioBuffer

イベントの inputBuffer 属性に割り当てられる値です。

outputBuffer, AudioBuffer

イベントの outputBuffer 属性に割り当てられる値です。

playbackTime, double

イベントの playbackTime 属性に割り当てられる値です。

1.13. BiquadFilterNode インターフェイス

BiquadFilterNode は非常に一般的な低次フィルターを実装した AudioNode です。

低次フィルターは基本的なトーンコントロール (バス、ミドル、トレブル) やグラフィックイコライザーやより高度なフィルターを構成するブロックです。複数の BiquadFilterNode フィルターを組み合わせてより複雑なフィルターを作る事もできます。フィルターのパラメーターの frequency などを時間と共に変化させてフィルタースイープやその他の効果を得る事もできます。それぞれの BiquadFilterNode は下の IDL で紹介する一般的なフィルターの型のうちの 1 つに設定する事ができます。デフォルトのフィルターの型は "lowpass" です。

frequencydetune はどちらも a-rate パラメーターで computedFrequency の値を決定するために一緒に使用されます:

computedFrequency(t) = frequency(t) * pow(2, detune(t) / 1200)

この 複合パラメーター公称範囲 は [ 0 , ナイキスト周波数 ] です。

パラメーター 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference Yes 入力がゼロでも無音ではない出力を出し続けます。これは IIR フィルターのため、フィルターの処理はゼロではない入力を永遠に生成しますが、実際には、出力が十分にゼロに近くなる有限時間に制限される可能性があります。実際の時間はフィルターの係数に依存します。

出力のチャンネル数は常に入力のチャンネル数と同じになります。

enum BiquadFilterType {
  "lowpass",
  "highpass",
  "bandpass",
  "lowshelf",
  "highshelf",
  "peaking",
  "notch",
  "allpass"
};
列挙値の説明
"lowpass" ローパスフィルター はカットオフ周波数より低い周波数をそのまま通し、カットオフよりも高い周波数を減衰させます。これは標準的な2次のレゾナントローパスフィルターの実装で、12dB / オクターブのロールオフを持ちます。
frequency

カットオフ周波数です。

Q

カットオフ周波数にどれだけピークを付けて共振させるかを制御します。大きな値はより強く共振させます。このフィルタータイプではこの値は伝統的な従来の Q ではなく、デシベルで表される共振の値である事に注意してください。

gain

このフィルターのタイプでは使用しません。

"highpass" ハイパスフィルター はローパスフィルターの反対の機能を持ちます。カットオフ周波数よりも高い周波数をそのまま通し、カットオフよりも低い周波数を減衰させます。これは標準的な2次レゾナントハイパスフィルターの実装で、12dB/オクターブのロールオフを持ちます。
frequency

これより低い周波数を減衰させるカットオフ周波数です。

Q

カットオフ周波数にどれだけピークを付けて共振させるかを制御します。大きな値はより強く共振させます。このフィルタータイプではこの値は伝統的な従来の Q ではなく、デシベルで表される共振の値である事に注意してください。

gain

このフィルターのタイプでは使用しません。

"bandpass" バンドパスフィルター はある範囲の周波数をそのまま通し、この周波数範囲より上または下の周波数を減衰させます。これは 2 次のバンドパスフィルターを実装しています。
frequency

周波数範囲の中心周波数です。

Q

周波数範囲の幅を制御します。この幅は Q の値が増加すると狭くなります。

gain

このフィルターのタイプでは使用しません。

"lowshelf" ローシェルフフィルターはすべての周波数を通しますが、低い周波数だけを増幅 ( または減衰 ) させます。これは2次のローシェルフフィルターを実装しています。
frequency

増幅 ( または減衰 ) させる上限の周波数です。

Q

このフィルターのタイプでは使用しません。

gain

dB で表した増幅率です。もしこの値が負ならばその周波数は減衰されます。

"highshelf" ハイシェルフフィルターはローシェルフフィルターとは反対に、すべての周波数を通しますが高い周波数だけを増幅します。これは2次のハイシェルフフィルターを実装しています。
frequency

増幅 ( または減衰 ) させる下限の周波数です。

Q

このフィルターのタイプでは使用しません。

gain

dB で表した増幅率です。もしこの値が負ならばその周波数は減衰されます。

"peaking" ピーキングフィルターはすべての周波数を通しますが、ある周波数の範囲だけが増幅 ( または減衰 ) されます。
frequency

増幅される中心の周波数です。

Q

増幅される周波数の幅を制御します。値が大きいと幅は狭くなります。

gain

dB で表した増幅率です。もしこの値が負ならばその周波数は減衰されます。

"notch" ノッチフィルター ( バンドストップまたはバンドリジェクション・フィルター とも呼ばれます ) は、バンドパスフィルターの逆の機能です。ある周波数を除くすべての周波数を通します。
frequency

ノッチを適用する中心の周波数です。

Q

減衰させる周波数の幅を制御します。大きな値は幅が狭い事を意味します。

gain

このフィルターのタイプでは使用しません。

"allpass" オールパスフィルターはすべての周波数を通しますが、周波数の変化に対して位相が変化します。これは2次のオールパスフィルターを実装しています。
frequency

位相変化が発生する中心の周波数です。別の見方では 群遅延 が最大になる周波数です。

Q

中心周波数での位相変化がどれくらい急峻であるかを制御します。値が大きいと、より急峻な位相変化で大きな群遅延である事を意味します。

gain

このフィルターのタイプでは使用しません。

BiquadFilterNode の属性はすべて a-rateAudioParam です。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional BiquadFilterOptions options)]
interface BiquadFilterNode : AudioNode {
  attribute BiquadFilterType type;
  readonly attribute AudioParam frequency;
  readonly attribute AudioParam detune;
  readonly attribute AudioParam Q;
  readonly attribute AudioParam gain;
  void getFrequencyResponse (Float32Array frequencyHz, Float32Array magResponse, Float32Array phaseResponse);
};

1.13.1. コンストラクタ

BiquadFilterNode(context, options)

node を新しい BiquadFilterNode オブジェクトとします。node初期化 を行ない、返します。

BiquadFilterNode.BiquadFilterNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい BiquadFilterNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options BiquadFilterOptions この BiquadFilterNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.13.2. 属性

Q, AudioParam 型, readonly

フィルターの Q です。これは、lowshelf または highshelf フィルターでは使用されません。

パラメーター 説明
defaultValue 1
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
detune, AudioParam 型, readonly

周波数のデチューン値で単位はセントです。これは、frequency と組み合わされて 複合パラメーター になります。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
frequency, AudioParam 型, readonly

BiquadFilterNode が効果を持つ周波数で単位は Hz です。これは detune と組み合わされて 複合パラメーター になります。

パラメーター 説明
defaultValue 350
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
gain, AudioParam 型, readonly

フィルターのゲインで、単位は dB です。ゲインは lowshelfhighshelfpeaking 型のフィルターでのみ使用されます。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
type, BiquadFilterType

この BiquadFilterNode のタイプで、デフォルトの値は "lowpass" です。type 属性の値によって他のパラメーターの正確な意味が変わってきます。

1.13.3. メソッド

getFrequencyResponse(frequencyHz, magResponse, phaseResponse)

( 訳注:typo:sychronous ) 現在のフィルターパラメーターの設定から、指定の周波数に対する応答特性を同期的に計算します。3 つのパラメーターは、同じ長さの Float32Array でなければなりません ( MUST )。そうでない場合は InvalidAccessError 例外を発生します ( MUST )。

周波数応答は、現在の処理ブロックに対応した AudioParam によって計算されて返さなくてはなりません ( MUST )。

BiquadFilterNode.getFrequencyResponse() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
frequencyHz Float32Array このパラメーターは応答特性を計算する周波数の配列を指定します。
magResponse Float32Array このパラメーターはリニア振幅特性の値を受け取る配列を指定します。もし frequencyHz パラメーターが [0; sampleRate/2] の範囲にない場合 (ここで sampleRateAudioContextsampleRate 属性の値です)、対応する magResponse 配列の同じインデックスには NaN が格納されなくてはなりません ( MUST )。
phaseResponse Float32Array パラメーターはラジアン単位の位相特性を受け取る配列を指定します。もし frequencyHz パラメーターが [0; sampleRate/2] の範囲にない場合 (ここで sampleRateAudioContextsampleRate 属性の値です)、対応する phaseResponse 配列の同じインデックスには NaN が格納されなくてはなりません ( MUST )。
戻り値: void

1.13.4. BiquadFilterOptions

これは、BiquadFilterNode を作成するときに使用されるオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合は、通常のデフォルト値を使用してノードが作成されます。

dictionary BiquadFilterOptions : AudioNodeOptions {
  BiquadFilterType type = "lowpass";
  float Q = 1;
  float detune = 0;
  float frequency = 350;
  float gain = 0;
};
1.13.4.1. ディクショナリ BiquadFilterOptions メンバー
Q, float 型, デフォルトは 1

Q の初期値として要求する値です。

detune, float 型, デフォルトは 0

detune の初期値として要求する値です。

frequency, float 型, デフォルトは 350

frequency の初期値として要求する値です。

gain, float 型, デフォルトは 0

gain の初期値として要求する値です。

type, BiquadFilterType 型, デフォルトは "lowpass"

フィルターの type の初期値として要求する値です。

1.13.5. フィルター特性

BiquadFilterNode を実装する方法には複数あり、それぞれ非常に異なる特性を持っています。このセクションの式はフィルターのタイプごとの特性を決定するもので、「準拠した実装」 が実装すべきフィルターについて記述しています ( MUST )。これらの式は Audio EQ Cookbook で見られる式を基にしています。

BiquadFilterNode の実装によるフィルターの伝達関数は:

$$
H(z) = \frac{\frac{b_0}{a_0} + \frac{b_1}{a_0}z^{-1} + \frac{b_2}{a_0}z^{-2}}
            {1+\frac{a_1}{a_0}z^{-1}+\frac{a_2}{a_0}z^{-2}}
$$

フィルターの初期状態は 0 です。上記の伝達関数内の係数はそれぞれのノードタイプによって異なります。BiquadFilterNodeAudioParamcomputedValue に基づいて次の中間変数が計算のために必要になります。

各フィルタータイプに対応する 6 つの係数 (\(b_0, b_1, b_2, a_0, a_1, a_2\)) は:

"lowpass"
$$
  \begin{align*}
    b_0 &= \frac{1 - \cos\omega_0}{2} \\
    b_1 &= 1 - \cos\omega_0 \\
    b_2 &= \frac{1 - \cos\omega_0}{2} \\
    a_0 &= 1 + \alpha_{Q_{dB}} \\
    a_1 &= -2 \cos\omega_0 \\
    a_2 &= 1 - \alpha_{Q_{dB}}
  \end{align*}
$$
"highpass"
$$
  \begin{align*}
    b_0 &= \frac{1 + \cos\omega_0}{2} \\
    b_1 &= -(1 + \cos\omega_0) \\
    b_2 &= \frac{1 + \cos\omega_0}{2} \\
    a_0 &= 1 + \alpha_{Q_{dB}} \\
    a_1 &= -2 \cos\omega_0 \\
    a_2 &= 1 - \alpha_{Q_{dB}}
  \end{align*}
$$
"bandpass"
$$
  \begin{align*}
    b_0 &= \alpha_Q \\
    b_1 &= 0 \\
    b_2 &= -\alpha_Q \\
    a_0 &= 1 + \alpha_Q \\
    a_1 &= -2 \cos\omega_0 \\
    a_2 &= 1 - \alpha_Q
  \end{align*}
$$
"notch"
$$
  \begin{align*}
    b_0 &= 1 \\
    b_1 &= -2\cos\omega_0 \\
    b_2 &= 1 \\
    a_0 &= 1 + \alpha_Q \\
    a_1 &= -2 \cos\omega_0 \\
    a_2 &= 1 - \alpha_Q
  \end{align*}
$$
"allpass"
$$
  \begin{align*}
    b_0 &= 1 - \alpha_Q \\
    b_1 &= -2\cos\omega_0 \\
    b_2 &= 1 + \alpha_Q \\
    a_0 &= 1 + \alpha_Q \\
    a_1 &= -2 \cos\omega_0 \\
    a_2 &= 1 - \alpha_Q
  \end{align*}
$$
"peaking"
$$
  \begin{align*}
    b_0 &= 1 + \alpha_Q\, A \\
    b_1 &= -2\cos\omega_0 \\
    b_2 &= 1 - \alpha_Q\,A \\
    a_0 &= 1 + \frac{\alpha_Q}{A} \\
    a_1 &= -2 \cos\omega_0 \\
    a_2 &= 1 - \frac{\alpha_Q}{A}
  \end{align*}
$$
"lowshelf"
$$
  \begin{align*}
    b_0 &= A \left[ (A+1) - (A-1) \cos\omega_0 + 2 \alpha_S \sqrt{A})\right] \\
    b_1 &= 2 A \left[ (A-1) - (A+1) \cos\omega_0 )\right] \\
    b_2 &= A \left[ (A+1) - (A-1) \cos\omega_0 - 2 \alpha_S \sqrt{A}) \right] \\
    a_0 &= (A+1) + (A-1) \cos\omega_0 + 2 \alpha_S \sqrt{A} \\
    a_1 &= -2 \left[ (A-1) + (A+1) \cos\omega_0\right] \\
    a_2 &= (A+1) + (A-1) \cos\omega_0 - 2 \alpha_S \sqrt{A})
  \end{align*}
$$
"highshelf"
$$
  \begin{align*}
    b_0 &= A\left[ (A+1) + (A-1)\cos\omega_0 + 2\alpha_S\sqrt{A} )\right] \\
    b_1 &= -2A\left[ (A-1) + (A+1)\cos\omega_0 )\right] \\
    b_2 &= A\left[ (A+1) + (A-1)\cos\omega_0 - 2\alpha_S\sqrt{A} )\right] \\
    a_0 &= (A+1) - (A-1)\cos\omega_0 + 2\alpha_S\sqrt{A} \\
    a_1 &= 2\left[ (A-1) - (A+1)\cos\omega_0\right] \\
    a_2 &= (A+1) - (A-1)\cos\omega_0 - 2\alpha_S\sqrt{A}
  \end{align*}
$$

1.14. ChannelMergerNode インターフェイス

ChannelMergerNode は高度なアプリケーションで、ChannelSplitterNode と組み合わせて使われます。

プロパティ 説明
numberOfInputs see notes デフォルトは 6 ですが、ChannelMergerOptionsnumberOfInputs、または createChannelMerger で指定された値によって決まります。
numberOfOutputs 1
channelCount 1 channelCount の制約 があります。
channelCountMode "explicit" channelCountMode の制約 があります。
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No

このインターフェイスは複数のオーディオストリームからチャンネルを結合して 1 つのオーディオストリームにする AudioNode を表します。これは可変数の入力 (デフォルトは 6 ) の入力を持ちますが、すべての入力を接続する必要はありません。出力は 1 つでそのオーディオストリームは、接続された入力の数と同じ数のチャンネル数を持ちます。

複数の入力を 1 つの出力にまとめるとき、それぞれの入力は指定のミキシングルールによって 1 チャンネル ( モノラル ) にダウンミックスされます。接続されていない入力も 1 チャンネルの無音としてカウントされて出力されます。入力ストリームを変える事は出力のチャンネルの順序に影響しません

例えば、デフォルトの ChannelMergerNode に 2 つのステレオ入力を接続したとき、結合される前に 1 番目と 2 番目の入力はそれぞれモノラルにダウンミックスされます。出力は 6 チャンネルのストリームで最初の 2 チャンネルが 2 つの (ダウンミックスされた) 入力に割り当てられ、残りのチャンネルは無音になります。

また、ChannelMergerNode は複数のオーディオストリームを例えば 5.1 サラウンドシステムのような決まった順序のマルチチャンネルスピーカー配列に合わせて並べるのに使用する事ができます。マージャーは ( 左、右等のような ) チャンネルの識別を行わず、単純に入力された順序でチャンネルを組み合わせます。

channel merger
チャンネルマージャーの構成図
[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional ChannelMergerOptions options)]
interface ChannelMergerNode : AudioNode {
};

1.14.1. コンストラクタ

ChannelMergerNode(context, options)

node を新しい ChannelMergerNode オブジェクトとします。node初期化 して返します。

ChannelMergerNode.ChannelMergerNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい ChannelMergerNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options ChannelMergerOptions この ChannelMergerNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.14.2. ChannelMergerOptions

dictionary ChannelMergerOptions : AudioNodeOptions {
  unsigned long numberOfInputs = 6;
};
1.14.2.1. ディクショナリ ChannelMergerOptions メンバー
numberOfInputs, unsigned long 型, デフォルトは 6

ChannelMergerNode. の入力の数です。この値に対する制約については、createChannelMerger() を参照してください。

1.15. ChannelSplitterNode インターフェイス

ChannelSplitterNode は高度なアプリケーションで、ChannelMergerNode と組み合わせて使われます。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs see notes デフォルトは 6 ですが、それ以外の場合は ChannelSplitterOptions.numberOfOutputs または createChannelSplitter で指定された値から決定されます。
channelCount numberOfOutputs channelCount の制約 があります。
channelCountMode "explicit" channelCountMode の制約 があります。
channelInterpretation "discrete" channelInterpretation の制約 があります。
tail-time reference No

このインターフェイスはルーティンググラフ中のオーディオストリームの個別のチャンネルにアクセスする AudioNode を表しています。これは 1 つの入力と入力のオーディオストリームのチャンネル数と同じ数の"アクティブ"な出力を持ちます。例えば、ステレオの入力ストリームが ChannelSplitterNode に接続された場合、アクティブな出力は 2 ( 1 つは左チャンネルから、もう 1 つは右チャンネルから ) になります。常に合計 N 個の出力 ( AudioContextcreateChannelSplitter()numberOfOutputs パラメーター ( 訳注:またはコンストラクタのオプション ) で決まります ) があり、この値が渡されない場合のデフォルトの数は 6 になります。"アクティブ"でないすべての出力は無音を出力し、通常はどこにも接続されません。

channel splitter
チャンネルスプリッターの構成図

この例ではスプリッターはチャンネルの ( 例えば左チャンネル、右チャンネルなどの ) 識別はせず、単純に入力チャンネルの順序に従って出力チャンネルを分割する事に注意してください。

ChannelSplitterNode を使うアプリケーションの 1 つは個別のチャンネルのゲインの制御を必要とする "マトリックス・ミキシング" を行うものです。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional ChannelSplitterOptions options)]
interface ChannelSplitterNode : AudioNode {
};

1.15.1. コンストラクタ

ChannelSplitterNode(context, options)

nodeを新しい ChannelSplitterNode オブジェクトとします。node初期化 して返します。

ChannelSplitterNode.ChannelSplitterNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい ChannelSplitterNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options ChannelSplitterOptions この ChannelSplitterNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.15.2. ChannelSplitterOptions

dictionary ChannelSplitterOptions : AudioNodeOptions {
  unsigned long numberOfOutputs = 6;
};
1.15.2.1. ディクショナリ ChannelSplitterOptions メンバー
numberOfOutputs, unsigned long 型, デフォルトは 6

ChannelSplitterNode の出力の数です。この値の制約については、createChannelSplitter() を参照してください。

1.16. ConstantSourceNode インターフェイス

このインターフェイスは、その出力が名目上一定の値である一定のオーディオソースを表します。これは、一般的な定数ソースノードとして便利で、offset をオートメーションするか、別のノードを接続することで、生成可能な AudioParam であるかのように使用できます。

このノードは出力を 1 つだけ持ち、1 つのチャンネル ( モノラル ) で構成されます。

プロパティ 説明
numberOfInputs 0
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No
[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional ConstantSourceOptions options)]
interface ConstantSourceNode : AudioScheduledSourceNode {
  readonly attribute AudioParam offset;
};

1.16.1. コンストラクタ

ConstantSourceNode(context, options)

node を新しい ConstantSourceNode オブジェクトとします。node初期化 し、返します。

ConstantSourceNode.ConstantSourceNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい ConstantSourceNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options ConstantSourceOptions この ConstantSourceNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.16.2. 属性

offset, AudioParam 型, readonly

ソースとなる定数です。

パラメーター 説明
defaultValue 1
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"

1.16.3. ConstantSourceOptions

ConstantSourceNode を生成するオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合、通常のデフォルトがノードの生成に使用されます。

dictionary ConstantSourceOptions {
  float offset = 1;
};
1.16.3.1. ディクショナリ ConstantSourceOptions メンバー
offset, float 型, デフォルトは 1

このノードの offset AudioParam の初期値です。

1.17. ConvolverNode インターフェイス

このインターフェイスはインパルスレスポンスに従って線形コンボリューションエフェクトを適用する処理ノードを表すインターフェイスです。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2 channelCount の制約 があります。
channelCountMode "clamped-max" channelCountMode の制約 があります。
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference Yes 入力が無くても buffer の長さだけ、無音でない音声を出力し続けます。

このノードの入力はモノラル (1 チャンネル) またはステレオ (2 チャンネル) であり増やす事はできません。より多いチャンネル数のノードからの接続は、適宜ダウンミックス されます。

このノードには、channelCount constraints の制約および channelCountMode constraints の制約 があります。これらの制約は、ノードへの入力がモノラルかステレオかを確実にします。

ConvolverNodes は内部フラグ 「buffer set」 を持ち、最初は false に設定されて作成されます。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional ConvolverOptions options)]
interface ConvolverNode : AudioNode {
  attribute AudioBuffer? buffer;
  attribute boolean normalize;
};

1.17.1. コンストラクタ

ConvolverNode(context, options)

node を新しい ConvolverNode オブジェクトとします。node初期化 します。ブーリアン型の内部スロット [[buffer set]]false に設定します。node を返します。

ConvolverNode.ConvolverNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい ConvolverNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options ConvolverOptions この ConvolverNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.17.2. 属性

buffer, AudioBuffer 型, nullable

ConvolverNode で使用される (マルチチャンネルの場合もある) インパルスレスポンスを保持する モノラル、ステレオ、または 4 チャンネルの AudioBuffer です。AudioBuffer は 1、2、または 4 チャンネルでなくてはならず ( MUST )、そうでない場合は NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。 この AudioBufferAudioContext と同じサンプルレートでなくてはなりません ( MUST )。そうでない場合は NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。 この属性が設定される際に buffernormalize 属性の状態によってこのインパルスレスポンスは所定の正規化の後、ConvolverNode の生成に使われます。この属性の初期値は null です。

buffer 属性を設定する際は、次の手順が実行されます:
  1. 新しいバッファーbuffer に割り当てる AudioBuffer とします。

  2. 新しいバッファーnull でなく [[buffer set]] が true の場合、InvalidStateError を発生して、これらの手順を中止します。

  3. 新しいバッファーnull でない場合、[[buffer set]] を true に設定します。

  4. 新しいバッファーbuffer 属性に割り当てます。

注意:ConvolverNode は、入力が 1 チャンネルで、かつ bufferが 1 チャンネルの場合にのみ、モノラル出力を生成します。それ以外のすべてのケースで、出力はステレオになります。特に、buffer が 4 チャンネルであり、2 チャンネルの入力がある場合、ConvolverNode はマトリックス "true" ステレオ畳み込みを実行します。基準となる情報については、チャンネル構成図 を参照してください。

normalize, boolean

buffer 属性がセットされたときに、バッファーのインパルス応答を equal-power による正規化でスケーリングするかどうかを制御します。様々なインパルス応答を読み込んだ場合に、Convolver が、より均一な出力レベルを出せるように、デフォルト値は true になっています。もし normalizefalse に設定されている場合、畳み込みはインパルス応答の前処理/スケーリングなしでレンダリングされます。この値を変更した場合、もう一度 buffer 属性を設定するまで有効になりません。

buffer 属性が設定されたときに normalize 属性が false である場合、ConvolverNode は、buffer 内に保持されているインパルス応答そのままに、線形畳み込みを実行します。

そうでなく、もし、buffer 属性が設定されたときに normalize 属性が true である場合、ConvolverNode は、まず、buffer 内のオーディオデータのスケーリングされた RMS パワー解析を実行して、以下のアルゴリズムにより normalizationScale を計算します:

function calculateNormalizationScale(buffer) {  var GainCalibration = 0.00125;  var GainCalibrationSampleRate = 44100;  var MinPower = 0.000125;  // Normalize by RMS power.  var numberOfChannels = buffer.numberOfChannels;  var length = buffer.length;  var power = 0;  for (var i = 0; i < numberOfChannels; i++) {    var channelPower = 0;    var channelData = buffer.getChannelData(i);    for (var j = 0; j < length; j++) {      var sample = channelData[j];      channelPower += sample * sample;    }    power += channelPower;  }  power = Math.sqrt(power / (numberOfChannels * length));  // Protect against accidental overload.  if (!isFinite(power) || isNaN(power) || power < MinPower)    power = MinPower;  var scale = 1 / power;  // Calibrate to make perceived volume same as unprocessed.  scale *= GainCalibration;  // Scale depends on sample-rate.  if (buffer.sampleRate)    scale *= GainCalibrationSampleRate / buffer.sampleRate;  // True-stereo compensation.  if (numberOfChannels == 4)    scale *= 0.5;  return scale;}

処理の際には、ConvolverNode はこの計算された normalizationScale の値を使い、入力と ( buffer で表される ) インパルス応答との線形畳み込みの結果に乗算して最終的な出力を得ます。または、入力に対して事前に normalizationScale を乗算したり、インパルス応答に normalizationScale を事前に乗算したバージョンを作成しておくなど、数学的に同等の演算を使用してもかまいません。

1.17.3. ConvolverOptions

ConvolverNode を作成する際のオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合、ノードは通常のデフォルトを使用して作成します。

dictionary ConvolverOptions : AudioNodeOptions {
  AudioBuffer? buffer;
  boolean disableNormalization = false;
};
1.17.3.1. ディクショナリ ConvolverOptions メンバー
buffer, AudioBuffer 型, nullable

ConvolverNode に要求するバッファー。このバッファーは、disableNormalization の 値に従って正規化されます。

disableNormalization, boolean 型, デフォルトは false

ConvolverNodenormalize 属性として要求する初期値とは反対の値。

1.17.4. 入力、インパルスレスポンス、出力のチャンネル構成

実装は 1 または 2 チャンネルの入力に対する様々なリバーブエフェクトを実現するために次のような ConvolverNode のインパルスレスポンスのチャンネル構成をサポートしなくてはなりません ( MUST )。

示されている最初の図は一般的なケースで、音源が N 個の入力チャンネル、インパルスレスポンスは K 個のチャンネル、再生システムは M 個の出力チャンネルを持っています (訳注:これに対応する"最初の図"が示されていないようです)。 ConvolverNode は 1 または 2 チャンネルの入力に限られていますので、すべてのケースについて対処できるわけではありません。

単一チャンネルのコンポリューションはモノラルオーディオ入力に対してモノラルインパルスレスポンスを使用してモノラル出力を得ます。残りの図はモノラルおよびステレオ再生で N と M は 1 または 2、K は 1 または 2 または 4 の場合です。開発者がより複雑で任意のマトリックスを必要とするなら ChannelSplitterNode と 複数の単一チャンネルの ConvolverNode および ChannelMergerNode を使用して構成する事もできます。

reverb matrixing
ConvolverNode を使用する際にサポートされる入出力チャンネル数

1.18. DelayNode インターフェイス

ディレイ機能はオーディオアプリケーションの基本的な構成要素です。このインターフェイスは単一の入力と単一の出力を持つ AudioNode です。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference Yes 最大で、ノードの maxDelayTime まで、入力がゼロでも無音ではないオーディオを出力し続けます。

出力のチャンネル数は、常に入力のチャンネル数と同じになります。

これは入力されるオーディオ信号を一定の量だけ遅延させます。具体的には各時刻 t において、入力信号 input(t) に対して、遅延時間 delayTime(t)、出力信号 output(t) とすると 出力は output(t) = input(t - delayTime(t)) となります。デフォルトの delayTime は 0 秒 (遅延なし)です。

DelayNode の入力のチャンネル数を変えたとき (つまり出力チャンネル数もまた変化します)、ノードからまだ出力されておらず内部状態にあるサンプルが残っているかも知れません。すべての内部のディレイ機能のミキシングは単一のチャンネルレイアウトで動作しているため、もしこのような変更前の異なるチャンネル数のサンプルを受け取った場合、それらは新しく受け取られた入力と結合される前にアップミックスまたはダウンミックスされなくてはなりません ( MUST )。

注: 定義により、DelayNode は、遅延の量に等しいオーディオ処理レイテンシーをもたらします。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional DelayOptions options)]
interface DelayNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParam delayTime;
};

1.18.1. コンストラクタ

DelayNode(context, options)

node を新しい DelayNode オブジェクトとします。node初期化 し、返します。

DelayNode.DelayNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい DelayNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options DelayOptions この DelayNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.18.2. 属性

delayTime, AudioParam 型, readonly

適用する遅延 ( 単位は秒 ) の量を表す AudioParam オブジェクトです。デフォルトの value は 0 ( 遅延なし ) です。最小の値は 0 で最大の値は AudioContextcreateDelay() メソッドの引数 ( 訳注:またはコンストラクタのオプション ) maxDelayTime で決定されます。

もし DelayNode循環 の一部である場合、delayTime 属性の値は 1 レンダリング量子 の最小値にクランプされます。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue 0
maxValue maxDelayTime
automationRate "a-rate"

1.18.3. DelayOptions

これは、DelayNode を生成するオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合、ノードは通常のデフォルトを使用して生成されます。

dictionary DelayOptions : AudioNodeOptions {
  double maxDelayTime = 1;
  double delayTime = 0;
};
1.18.3.1. ディクショナリ DelayOptions メンバー
delayTime, double 型, デフォルトは 0

ノードの遅延時間の初期値です。

maxDelayTime, double 型, デフォルトは 1

ノードの最大遅延時間です。制約については createDelay(maxDelayTime) を参照してください。

1.19. DynamicsCompressorNode インターフェイス

DynamicsCompressorNode はダイナミクス・コンプレッション効果を実装した AudioNode です。

ダイナミック・コンプレッションは音楽制作やゲーム・オーディオで非常に良く使用されるものです。これは信号の音量が大きな部分を抑え、音量が小さな部分を持ち上げます。全体として、より大きく、豊かで隙間のない音を作る事ができます。これは特に、多くの個別サウンドを同時に再生するゲームと音楽アプリケーションで、全体の信号レベルを制御してスピーカーへの出力のクリッピング ( 歪み ) を避けるために重要です。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2 channelCount の制約 があります。
channelCountMode "clamped-max" channelCountMode の制約 があります。
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference Yes このノードはルックアヘッド遅延のため、ノードへの入力がゼロでも無音ではないオーディオを出力し続ける tail-time リファレンスを持っています。
[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional DynamicsCompressorOptions options)]
interface DynamicsCompressorNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParam threshold;
  readonly attribute AudioParam knee;
  readonly attribute AudioParam ratio;
  readonly attribute float reduction;
  readonly attribute AudioParam attack;
  readonly attribute AudioParam release;
};

1.19.1. コンストラクタ

DynamicsCompressorNode(context, options)

node を新しい DynamicsCompressorNode オブジェクトとします。node初期化 します。[[internal reduction]] を、単位をデシベルとする浮動小数点数を保持する DynamicsCompressorNode のプライベートスロットとします。[[internal reduction]] を 0.0 に設定します。ノードを返します。

DynamicsCompressorNode.DynamicsCompressorNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい DynamicsCompressorNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options DynamicsCompressorOptions この DynamicsCompressorNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.19.2. 属性

attack, AudioParam 型, readonly

ゲインを 10dB 下げるために必要な時間 ( 単位は秒 ) です。

パラメーター 説明
defaultValue .003
minValue 0
maxValue 1
automationRate "k-rate" オートメーション速度の制約 があります。
knee, AudioParam 型, readonly

スレッショルドより上の一定の範囲を表すデシベル値で、この範囲で "ratio" に曲線で滑らかに移行します。

パラメーター 説明
defaultValue 30
minValue 0
maxValue 40
automationRate "k-rate" オートメーション速度の制約 があります。
ratio, AudioParam 型, readonly

出力が 1dB 変化する事に対する入力の dB 変化量です。

パラメーター 説明
defaultValue 12
minValue 1
maxValue 20
automationRate "k-rate" オートメーション速度の制約 があります。
reduction, float 型, readonly

メーター表示のための読み取り専用のデシベル値であり、コンプレッサーが現在信号に適用しているゲインリダクションの量を表します。信号が入力されていない場合、値は 0 ( ゲイン減少なし ) になります。この属性が読み取られると、プライベートスロット [[internal reduction]] の値を返します。

release, AudioParam 型, readonly

ゲインを 10dB 上げるために必要な時間 ( 単位は秒 ) です。

パラメーター 説明
defaultValue .25
minValue 0
maxValue 1
automationRate "k-rate" オートメーション速度の制約 があります。
threshold, AudioParam 型, readonly

この値以上でコンプレッションを開始する dB 値です。

パラメーター 説明
defaultValue -24
minValue -100
maxValue 0
automationRate "k-rate" オートメーション速度の制約 があります。

1.19.3. DynamicsCompressorOptions

これは、DynamicsCompressorNode の生成に使用するオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合、通常のデフォルトがノードの生成に使用されます。

dictionary DynamicsCompressorOptions : AudioNodeOptions {
  float attack = 0.003;
  float knee = 30;
  float ratio = 12;
  float release = 0.25;
  float threshold = -24;
};
1.19.3.1. ディクショナリ DynamicsCompressorOptions メンバー
attack, float 型, デフォルトは 0.003

attack AudioParam の初期値です。

knee, float 型, デフォルトは 30

knee AudioParam の初期値です。

ratio, float 型, デフォルトは 12

ratio AudioParam の初期値です。

release, float 型, デフォルトは 0.25

releaseAudioParam の初期値です。

threshold, float 型, デフォルトは -24

threshold AudioParam の初期値です。

1.19.4. 処理

ダイナミクスコンプレッションはさまざまな方法で実装できますが、DynamicsCompressorNode は、次の特性を持つダイナミクスプロセッサを実装しています:

この曲線を図示すると次のようになります:

Graphical representation of a compression curve
スレッショルドとニー部分 ( ソフトまたはハード ) を含む典型的な圧縮カーブ

内部的には、DynamicsCompressorNode は、他の AudioNode とゲイン低減値を計算するための特別なアルゴリズムの組み合わせで記述されています。

下の AudioNode グラフが内部で使用されています。inputoutputはそれぞれ、AudioNode の入力と出力、context はこの DynamicsCompressorNodeBaseAudioContext コンテキスト、そしてAudioNode のように動作する特殊オブジェクトをインスタンス化する新しいクラス EnvelopeFollower です:

var delay = new DelayNode(context, {delayTime: 0.006});
var gain = new GainNode(context);
var compression = new EnvelopeFollower();

input.connect(delay).connect(gain).connect(output);
input.connect(compression).connect(gain.gain);
Schema of
	the internal graph used by the DynamicCompressorNode
DynamicsCompressorNode 処理アルゴリズムの一部として使用される内部 AudioNode の図

注: これはプリディレイとゲインリダクションの適用について実装しています。

以下のアルゴリズムは、ゲイン低減値を生成するために入力信号に適用される エンベロープフォロワー オブジェクトによって実行される処理を記述しています。エンベロープフォロワー には、浮動小数点値を保持する 2 つのスロットがあります。これらの値は、このアルゴリズムの呼び出し間で維持されます。

以下のアルゴリズムにより、オーディオのレンダリング量子の入力の各サンプルについて、reduction gain の値を決定することができます。
  1. attackrelease は、それぞれ ( k-rate パラメーターとしての ) 処理時にサンプリングされた attackrelease の値に、この DynamicsCompressorNode関連付け られている BaseAudioContext のサンプルレートを乗算されています。

  2. detector average をスロット [[detector average]] の値とします。

  3. compressor gain をスロット [[compressor gain]] の値とします。

  4. 処理されるレンダリング量子の各サンプル input ごとに、以下の手順を実行します:

    1. target gaincompressor gain よりも大きい場合は、releasingtrue とし、それ以外の場合は false とします。

    2. input の絶対値が 0.0001 未満の場合は、attenuation は 1.0 です。そうでない場合、shaped inputinput の絶対値に 圧縮カーブ を適用した値として、attenuationshaped inputinput の絶対値で割った値になります。

    3. detector curveattenuation に適用した結果を detector rate とします。

    4. detector averageattenuation から減算し、その結果に detector rate を掛けます。そしてこの新しい結果を detector average に加えます。

    5. detector average は最大 1.0 にクランプされます。

    6. envelope rate は、attackrelease の値に基づいて エンベロープ速度の計算 を行った結果とします。

    7. もし、releasingtrue である場合、compressor gaincompressor gainenvelope rate を乗じた値に設定し、最大 1.0 にクランプします。

    8. そうでなく、releasingfalse の場合、gain incrementdetector average から compressor gain を引いたものにします。gain incrementenvelope rate を掛け、その結果を compressor gain に加算します。

    9. compressor gainメイクアップゲインの計算 の戻り値を掛けて、reduction gain を計算します。

    10. metering gain を計算して最終的なゲインとし、デシベルに変換 します。

  5. [[compressor gain]]compressor gainに設定します。

  6. [[detector average]]detector average に設定します。

  7. 内部スロット [[internal reduction]]metering gain の値に アトミック に設定します。

    注:この手順は、ブロックの処理ごとに一度、処理の最後に metering gain を更新します。

メイクアップゲインは、コンプレッサーのレシオ、ニー、およびスレッショルドパラメーターにのみ依存する固定された増幅ステージで入力信号には依存しません。この目的は、コンプレッサーの出力レベルを入力レベルと同程度に高めることです。

メイクアップゲインの計算は以下の手順の実行を意味します:
  1. full range gain は、値 1.0 に 圧縮カーブ を適用することによって返される値とします。

  2. full range makeup gainfull range gain の逆数とします。

  3. 0.6 の full range makeup gain 乗の結果を返します。

エンベロープ速度の計算 は、compressor gaindetector average の比に関数を適用することによって行われます。ユーザーエージェントは、エンベロープ関数の形状を選択することができます。ただし、この関数は次の制約を遵守しなければなりません ( MUST )。

この処理は、この関数を compressor gaindetector average の比に適用して計算された値を返します。

アタックまたはリリース時の変化率にdetector curveを適用すると、適応型リリースの実装が可能になります。関数は次の制約を守らなければなりません ( MUST ):

注:例えば、適用型リリースを実行して、より速くリリースし、コンプレッションが困難なコンプレッサー、あるいは、アタックとリリースのカーブの形状が同じではないコンプレッサーも許されます。

値に圧縮カーブを適用するとは、サンプルが関数に渡され、計算された値が返される事を意味します。この関数は次の特性を持たなくてはなりません ( MUST ):
  1. threshold および knee は、threshold および knee の値をそれぞれ、このブロックの処理時に ( k-rate パラメーターとして ) サンプリングされ、線形単位に変換 したものとします。

  2. ratio は、このブロックの処理時に ( k-rate パラメーターとして ) サンプリングされた ratio の値とします。

  3. この関数は、threshold の値までは直線的で同一 ( すなわち、\(f(x) = x\) ) です。

  4. threshold から threshold + knee までは、ユーザーエージェントは曲線の形状を選択できます。関数全体は単調に増加し続けなければなりません ( MUST )。

    注: knee が 0 の場合、DynamicsCompressorNode はハードニーコンプレッサーと呼ばれます。

  5. この関数は、threshold に続くソフトニーの後、ratio に基づく直線の関数 ( すなわち、\(f(x) = \frac{1}{ratio} \cdot x \) ) となります。

リニアゲイン単位の値 \(v\) からデシベルへの変換は、以下の手順が実行されます:
  1. もし \(v\) が 0 ならば -1000 を返します。

  2. そうでなければ、\( 20 \, \log_{10}{v} \) を返します。

デシベルからリニアゲイン単位の変換は値 \(v\) に対して \(10^\frac{v}{20}\) を返す事を意味します。

1.20. GainNode インターフェイス

オーディオ信号のゲインを変える事はオーディオアプリケーションでは基本的な処理です。GainNodeミキサー の構成ブロックの 1 つとなります。このインターフェイスは 1 つの信号入力と 1 つの信号出力を持つ AudioNode です:

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No

GainNode の入力データの各チャンネルの各サンプルは gain AudioParamcomputedValue が乗じられます ( MUST )。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional GainOptions options)]
interface GainNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParam gain;
};

1.20.1. コンストラクタ

GainNode(context, options)

gain を新しい GainNode オブジェクトとします。gain初期化 し、返します。

GainNode.GainNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい GainNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options GainOptions この GainNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.20.2. 属性

gain, AudioParam 型, readonly

適用される増幅度の大きさを表します。

パラメーター 説明
defaultValue 1
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"

1.20.3. GainOptions

これは、GainNode の作成に使用するオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合は、通常のデフォルトがノードの作成に使用されます。

dictionary GainOptions : AudioNodeOptions {
  float gain = 1.0;
};
1.20.3.1. ディクショナリ GainOptions メンバー
gain, float 型, デフォルトは 1.0

AudioParam gain の初期値です。

1.21. IIRFilterNode インターフェイス

IIRFilterNode は汎用の IIR フィルターを実装した AudioNode です。一般的には高次のフィルターについては次のような理由で BiquadFilterNode を利用するのが最善です。

しかしながら奇数次フィルターは作成できず、もしそのようなフィルターが必要でオートメーションが不要ならば IIR フィルターが適切かもしれません。

一度作成された後、IIR フィルターの係数は変更する事ができません。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference Yes ゼロの入力に対して非ゼロのオーディオを出力し続けます。これは IIR フィルターであるため、ゼロ以外の入力が永続的に生成されますが、実際には、出力が十分にゼロに近くなる有限時間に制限される可能性があります。実際の時間はフィルター係数に依存します。

出力のチャンネル数は常に入力のチャンネル数と同じになります。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, IIRFilterOptions options)]
interface IIRFilterNode : AudioNode {
  void getFrequencyResponse (Float32Array frequencyHz, Float32Array magResponse, Float32Array phaseResponse);
};

1.21.1. コンストラクタ

IIRFilterNode(context, options)
IIRFilterNode.IIRFilterNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい IIRFilterNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options IIRFilterOptions この IIRFilterNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.21.2. メソッド

getFrequencyResponse(frequencyHz, magResponse, phaseResponse)

与えられた現在のフィルターパラメーターの設定で、指定された周波数の周波数応答を同期的に計算します。3 つのパラメーターは、同じ長さの Float32Array でなければならず ( MUST )、そうでなければ InvalidAccessError を発生します ( MUST )。

IIRFilterNode.getFrequencyResponse() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
frequencyHz Float32Array このパラメーターは、応答を計算する周波数の配列を指定します。
magResponse Float32Array このパラメーターは、リニア振幅応答の出力結果を受け取る配列を指定します。もし frequencyHz パラメーターの値が [0; sampleRate / 2] の範囲にない場合 ( ここで sampleRateAudioContextsampleRate プロパティの値です )、magResponse 配列の同じインデックスの対応する値は NaN にならなくてはなりません ( MUST )。
phaseResponse Float32Array このパラメーターは、ラジアンで出力される位相応答値を受け取る配列を指定します。もし frequencyHz パラメーターの値が [0; sampleRate / 2] の範囲にない場合 ( ここで、sampleRateAudioContextsampleRate プロパティの値です )、phaseResponse 配列の同じインデックスの対応する値は NaN にならなくてはなりません ( MUST )。
戻り値: void

1.21.3. IIRFilterOptions

IIRFilterOptions ディクショナリは、IIRFilterNode のフィルター係数を指定するために使用されます。

dictionary IIRFilterOptions : AudioNodeOptions {
  required sequence<double> feedforward;
  required sequence<double> feedback;
};
1.21.3.1. ディクショナリ IIRFilterOptions メンバー
feedforward, sequence<double> 型

IIRFilterNode のフィードフォワード係数です。このメンバーは必須です。もし指定されていない場合は、NotFoundError を発生します ( MUST )。他の制約については、createIIRFilter()feedforward 引数を参照してください。

feedback, sequence<double> 型

IIRFilterNode のフィードバック係数です。このメンバーは必須です。もし指定されていない場合は、NotFoundError を発生します ( MUST )。他の制約については、createIIRFilter()feedback 引数を参照してください。

1.21.4. フィルター定義

createIIRFilter() ( 訳注:またはコンストラクタ ) で指定される feedforward 係数を \(b_m\)、feedback 係数を \(a_n\) とします。すると一般的な IIR フィルターの 伝達関数は次のように与えられます

$$
  H(z) = \frac{\sum_{m=0}^{M} b_m z^{-m}}{\sum_{n=0}^{N} a_n z^{-n}}
$$

ここで \(M + 1\) は \(b\) 配列の長さ、\(N + 1\) は \(a\) 配列の長さです。係数 \(a_0\) は 0 であってはいけません ( MUST ) ( createIIRFilter()フィードバックパラメーターを参照してください )。\(b_m\) の少なくとも 1 つは 非 0 でなくてはなりません ( MUST ) ( createIIRFilter()フィードフォワードパラメーターを参照してください ))。

同じように、時間領域の式については:

$$
  \sum_{k=0}^{N} a_k y(n-k) = \sum_{k=0}^{M} b_k x(n-k)
$$

フィルターの初期状態は、オールゼロ状態です。

1.22. MediaElementAudioSourceNode インターフェイス

このインターフェイスは audio または video 要素からの音声ソースを表します。

プロパティ 説明
numberOfInputs 0
numberOfOutputs 1
tail-time reference No

出力のチャンネル数は HTMLMediaElement で参照されるメディアのチャンネル数に対応します。そのため、メディア要素の src 属性を変更する事によって、このノードの出力のチャンネル数が変化します。

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioContext context, MediaElementAudioSourceOptions options)]
interface MediaElementAudioSourceNode : AudioNode {
  [SameObject] readonly attribute HTMLMediaElement mediaElement;
};

1.22.1. コンストラクタ

MediaElementAudioSourceNode(context, options)

node を新しい MediaElementAudioSourceNode オブジェクトとします。node初期化 し、返します。

MediaElementAudioSourceNode.MediaElementAudioSourceNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context AudioContext この新しい MediaElementAudioSourceNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options MediaElementAudioSourceOptions この MediaElementAudioSourceNode のパラメーター値です。

1.22.2. 属性

mediaElement, HTMLMediaElement 型, readonly

この MediaElementAudioSourceNode を生成する際に使用される HTMLMediaElement です。

MediaElementAudioSourceNode は、AudioContextcreateMediaElementSource() メソッド ( 訳注:またはコンストラクタ ) を使用して HTMLMediaElement を指定して作成されます。

信号の出力は 1 つでチャンネル数は createMediaElementSource() ( 訳注:またはコンストラクタ ) の引数として渡された HTMLMediaElement のオーディオのチャンネル数と同じになります。もしその HTMLMediaElement がオーディオを持っていない場合、1 となります。

HTMLMediaElementMediaElementAudioSourceNode が作成された後、オーディオが直接音として再生されなくなる代わりMediaElementAudioSourceNode からルーティンググラフを通して再生されるようになる事を除けば、MediaElementAudioSourceNodeを使わない場合と全く同じように振る舞わなくてはなりません ( MUST )。つまり、ポーズ、シーク、ボリューム、src 属性の変更、その他 HTMLMediaElement としての見掛けは MediaElementAudioSourceNode を使用していない場合と同様に通常どおり働かなくてはなりません ( MUST )。

var mediaElement = document.getElementById('mediaElementID');
var sourceNode = context.createMediaElementSource(mediaElement);
sourceNode.connect(filterNode);

1.22.3. MediaElementAudioSourceOptions

これは MediaElementAudioSourceNode を生成する際のオプションを指定するために使用されます。

dictionary MediaElementAudioSourceOptions {
  required HTMLMediaElement mediaElement;
};
1.22.3.1. ディクショナリ MediaElementAudioSourceOptions メンバー
mediaElement, HTMLMediaElement

再ルーティングされるメディアエレメントです。この指定は必須です ( MUST )。

1.22.4. MediaElementAudioSourceNode と クロスオリジン・リソース に関するセキュリティ

HTMLMediaElement はクロスオリジン・リソースの再生が可能です。Web Audio はリソースの内容の検査が、( 例えば、MediaElementAudioSourceNodeScriptProcessorNode ( 訳注:AudioWorkletも同様 ) を使ってサンプルを読む事で ) 可能なので、もしある origin からのスクリプトが別の origin からのリソースの内容を検査する事で情報の漏洩が起こり得ます。

これを防ぐため、MediaElementAudioSourceNode は、もしその HTMLMediaElementフェッチアルゴリズム の実行により CORS-cross-origin とラベルが付けられている場合、通常の HTMLMediaElement の出力の代わりに無音を出力しなくてはなりません ( MUST )。

1.23. MediaStreamAudioDestinationNode インターフェイス

このインターフェイスは king"audio" の 1 つの MediaStreamTrack を持つ MediaStream を表すオーディオの出力地点となります。この MediaStream は、ノードが作成された時点で作られ、stream 属性を通じてアクセスする事ができます。このストリームは、getUserMedia() によって得られた MediaStream と同様の方法で使う事ができ、例えば、RTCPeerConnection ( [webrtc] で説明されています ) の addStream() メソッドを使って、リモートピアに送る事ができます。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 0
channelCount 2
channelCountMode "explicit"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No

入力のチャンネル数はデフォルトで 2 (ステレオ)です。

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioContext context, optional AudioNodeOptions options)]
interface MediaStreamAudioDestinationNode : AudioNode {
  readonly attribute MediaStream stream;
};

1.23.1. コンストラクタ

MediaStreamAudioDestinationNode(context, options)

node を新しい MediaStreamAudioDestinationNode オブジェクトとします。node初期化 し、返します。

MediaStreamAudioDestinationNode.MediaStreamAudioDestinationNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context AudioContext この新しい MediaStreamAudioDestinationNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options AudioNodeOptions この MediaStreamAudioDestinationNode. のオプションの初期パラメーター値です。

1.23.2. 属性

stream, MediaStream 型, readonly

ノード自身と同じチャンネル数の 1 つの AudioMediaStreamTrack を持つ MediaStream で、その kind 属性は "audio" です。

1.24. MediaStreamAudioSourceNode インターフェイス

このインターフェイスは、MediaStream からのオーディオソースを表します。オーディオのソースとして使用され、このノードから出力されるトラックは、この MediaStream のトラックを id 属性でアルファベット順にソートして kind 属性の値が "audio" の最初の MediaStreamTrack です。これらのインターフェイスは [mediacapture-streams] に記述されています。

注:歴史的な理由から、出力するトラックを選択するための振る舞いは奇妙なものになっています。MediaStreamTrackAudioSourceNode を代わりに使用するべきです。

プロパティ 説明
numberOfInputs 0
numberOfOutputs 1
tail-time reference No

出力のチャンネル数は、MediaStreamTrack のチャンネル数に対応します。もし有効なオーディオトラックがない場合、出力されるチャンネルの数は 1 で、無音が出力されます。

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioContext context, MediaStreamAudioSourceOptions options)]
interface MediaStreamAudioSourceNode : AudioNode {
  [SameObject] readonly attribute MediaStream mediaStream;
};

1.24.1. コンストラクタ

MediaStreamAudioSourceNode(context, options)

node を新しい MediaStreamAudioSourceNode オブジェクトとします。node初期化 し返します。

MediaStreamAudioSourceNode.MediaStreamAudioSourceNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context AudioContext この新しい MediaStreamAudioSourceNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options MediaStreamAudioSourceOptions この MediaStreamAudioSourceNode の初期パラメーター値です。もし mediaStream パラメーターが kind 属性の値が "audio" である MediaStream を参照していない場合、InvalidStateError を発生します ( MUST )。

1.24.2. 属性

mediaStream, MediaStream 型, readonly

この MediaStreamAudioSourceNode を作成する際に使用される MediaStream です。

1.24.3. MediaStreamAudioSourceOptions

これは MediaStreamAudioSourceNode を作成する際のオプションを指定します。

dictionary MediaStreamAudioSourceOptions {
  required MediaStream mediaStream;
};
1.24.3.1. ディクショナリ MediaStreamAudioSourceOptions メンバー
mediaStream, MediaStream

ソースとして動作するメディアストリームです。この指定は必須です ( MUST )。

1.25. MediaStreamTrackAudioSourceNode インターフェイス

このインターフェイスは、MediaStreamTrack からのオーディオソースを表します。

プロパティ 説明
numberOfInputs 0
numberOfOutputs 1
tail-time reference No

出力のチャンネル数は、MediaStreamTrack のチャンネル数に対応します。

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioContext context, MediaStreamTrackAudioSourceOptions options)]
interface MediaStreamTrackAudioSourceNode : AudioNode {
};

1.25.1. コンストラクタ

MediaStreamTrackAudioSourceNode(context, options)

node を新しい MediaStreamTrackAudioSourceNode オブジェクトとします。node初期化 して返します。

MediaStreamTrackAudioSourceNode.MediaStreamTrackAudioSourceNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context AudioContext この新しい MediaStreamTrackAudioSourceNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options MediaStreamTrackAudioSourceOptions この MediaStreamTrackAudioSourceNode の初期パラメーター値です。

1.25.2. MediaStreamTrackAudioSourceOptions

これは MediaStreamTrackAudioSourceNode を生成するためのオプションを指定します。この指定は必須です。

dictionary MediaStreamTrackAudioSourceOptions {
  required MediaStreamTrack mediaStreamTrack;
};
1.25.2.1. ディクショナリ MediaStreamTrackAudioSourceOptions メンバー
mediaStreamTrack, MediaStreamTrack

ソースとして機能するメディアストリームトラックです。この MediaStreamTrackkind 属性が "audio" でない場合、InvalidStateError を発生します ( MUST )。

1.26. OscillatorNode インターフェイス

OscillatorNode は周期的な波形を発生するオーディオソースを表しています。これは一般的に使われるいくつかの波形に設定する事ができます。さらにこれは PeriodicWave オブジェクトを使って任意の周期波形に設定する事が可能です。

オシレーターは音の合成において一般的な基本構成ブロックです。OscillatorNode は start() メソッドで指定された時刻に音の発生を開始します。

数学的に言えば、連続した時間の周期波形は周波数領域で考えた場合、非常に高い ( あるいは無限に高い ) 周波数情報を持つ事ができます。この波形があるサンプルレートの離散時間のデジタルオーディオ信号としてサンプリングされる場合、波形をデジタル化する前に ナイキスト周波数 よりも高い高周波数成分の除去 ( フィルターで取り除く事 ) を考慮しなくてはなりません ( MUST )。これを行わない場合、( ナイキスト周波数 よりも ) 高い周波数のエイリアスナイキスト周波数 よりも低い周波数に鏡像として折り返されます。多くの場合、これは音として聴こえる好ましくないノイズを引き起こします。これはオーディオ DSP における基本的で良く知られている原理です。

このエイリアスを避けるため、実装に使う事のできるいくつかの実践的な手段があります。しかしこれらの手段によらず、理想的な離散時間のデジタルオーディオ信号は数学的には完全に定義されます。( CPU の負荷という意味で) 実装のコスト対、理想への忠実性というトレードオフが実装上の問題になります。

実装はこの理想を達成するためにいくらかの考慮をする事が期待されますが、ローエンド・ハードウェアでは低品質ローコストな手段を考慮する事も合理的です。

frequencydetune はどちらも a-rate パラメーターで、複合パラメーター となります。これらは computedOscFrequency の値を決定するために組み合わされて使用されます:

computedOscFrequency(t) = frequency(t) * pow(2, detune(t) / 1200)

OscillatorNode の各時刻での瞬間的な位相は、ノードの正確なスタート時刻において位相角をゼロとして、computedOscFrequency を時間で積分したものになります。 computedOscFrequency の 公称範囲 は [ -Nyquist frequency , Nyquist frequency ] となります。

プロパティ 説明
numberOfInputs 0
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No
enum OscillatorType {
  "sine",
  "square",
  "sawtooth",
  "triangle",
  "custom"
};
列挙値の説明
"sine" サイン波
"square" デューティ比 0.5 の矩形波
"sawtooth" 鋸歯状波
"triangle" 三角波
"custom" カスタム周期波形
[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional OscillatorOptions options)]
interface OscillatorNode : AudioScheduledSourceNode {
  attribute OscillatorType type;
  readonly attribute AudioParam frequency;
  readonly attribute AudioParam detune;
  void setPeriodicWave (PeriodicWave periodicWave);
};

1.27. コンストラクタ

OscillatorNode(context, options)

node を新しい OscillatorNode オブジェクトとします。node初期化 し、返します。

OscillatorNode.OscillatorNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい OscillatorNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options OscillatorOptions この OscillatorNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.27.1. 属性

detune, AudioParam 型, readonly

( セントで表される ) デチューン値で、これは frequency を与えられた量だけオフセットします。デフォルトの value は 0 です。このパラメーターは a-rate です。これは frequency と組み合わせて 複合パラメーター となります。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate"
frequency, AudioParam 型, readonly

( Hz:ヘルツで表される ) 周期波形の周波数で、そのデフォルトの value は 440 です。このパラメーターは a-rate です。これは、detune と組み合わされて 複合パラメーター となります。その 公称範囲 は [ -ナイキスト周波数 , ナイキスト周波数 ] です。

type, OscillatorType

周期波形の形状です。"custom" 以外の波形の定数値は直接設定する事ができます。( 訳注: "custom" を直接設定しようとすると ) そうすると InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。 カスタム波形を設定するには setPeriodicWave() メソッドを使用する事ができ、それによってこの属性は "custom" に設定されます。デフォルト値は "sine" です。属性が設定されたとき、オシレーターの位相は保存されなくてはなりません ( MUST )。

1.27.2. メソッド

setPeriodicWave(periodicWave)

PeriodicWave で与えられる任意のカスタム周期波形を設定します。

OscillatorNode.setPeriodicWave() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
periodicWave PeriodicWave
戻り値: void

1.27.3. OscillatorOptions

これは、OscillatorNode を作成するときに使用されるオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合、通常のデフォルト値がオシレーターの作成に使用されます。

dictionary OscillatorOptions : AudioNodeOptions {
  OscillatorType type = "sine";
  float frequency = 440;
  float detune = 0;
  PeriodicWave periodicWave;
};
1.27.3.1. ディクショナリ OscillatorOptions メンバー
detune, float 型, デフォルトは 0

OscillatorNode の detune の初期値です。

frequency, float 型, デフォルトは 440

OscillatorNode の frequency の初期値です。

periodicWave, PeriodicWave

OscillatorNodePeriodicWave です。もしこれが指定されているならば、type に設定された有効な値は無視され、"custom" が指定されたように処理されます。

type, OscillatorType 型, デフォルトは "sine"

生成するオシレーターのタイプです。これが periodicWave を指定せずに "custom" に設定されている場合、InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。 periodicWave が指定されている場合、type の有効な値は無視され、"custom" に設定されているかのように扱われます。

1.27.4. 基本波形の位相

様々なオシレーターのタイプのための理想的な数学的波形をここで定義します。概要としてはすべての波形は時間 0 のときに正の傾きを持つ奇関数として数学的に定義されます。実際にオシレーターで生成される波形はエイリアシングの影響を避けるため少し異なったものになります。

オシレーターは、適切な フーリエ級数 によって、正規化が有効になっている PeriodicWave を使用してこれらの基本波形を作成した場合と同じ結果を生成しなくてはなりません ( MUST )。

"sine"

サイン波のオシレーター波形は:

$$
  x(t) = \sin t
$$
"square"

矩形波のオシレーター波形は:

$$
  x(t) = \begin{cases}
         1 & \mbox{for } 0≤ t < \pi \\
         -1 & \mbox{for } -\pi < t < 0.
         \end{cases}
$$

これは、波形が周期 \(2\pi\) の奇関数であることを利用して、すべての \(t\) に拡張されます。

"sawtooth"

鋸歯状波オシレーターの波形は上昇波形です:

$$
  x(t) = \frac{t}{\pi} \mbox{ for } -\pi < t ≤ \pi;
$$

これは、波形が周期 \(2\pi\) の奇関数であることを利用して、すべての \(t\) に拡張されます。

"triangle"

三角波オシレーターの波形は:

$$
  x(t) = \begin{cases}
           \frac{2}{\pi} t & \mbox{for } 0 ≤ t ≤ \frac{\pi}{2} \\
           1-\frac{2}{\pi} (t-\frac{\pi}{2}) & \mbox{for }
           \frac{\pi}{2} < t ≤ \pi.
         \end{cases}
$$

これは、波形が周期 \(2\pi\) の奇関数であることを利用して、すべての \(t\) に拡張されます。

1.28. PannerNode インターフェイス

このインターフェイスは、入力オーディオストリームを 3 次元空間に 配置 / 空間化 する処理ノードを表します。空間化は、AudioContextAudioListener ( listener 属性 ) に関連しています。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2 channelCount の制約 があります。
channelCountMode "clamped-max" channelCountMode の制約 があります。
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference Maybe もし panningModel が "HRTF" に設定されている場合、ノードは頭部応答の固有の処理のために無音入力に対して非無音の出力を生成します。 そうでなければ、テールタイム参照はありません。

このノードの入力は、モノラル ( 1 チャンネル ) またはステレオ ( 2 チャンネル ) のいずれかであり、増加させることはできません。より少ないまたは多いチャンネルを持つノードからの接続は、適切に アップミックスまたはダウンミックス されます。

このノードの出力はステレオ ( 2 チャンネル ) にハードコードされており、変更することはできません。

PanningModelType 列挙値は 3D 空間でのオーディオの定位のアルゴリズムを決定します。デフォルトは "equalpower" です。

enum PanningModelType {
    "equalpower",
    "HRTF"
};
列挙値の説明
"equalpower" 単純で効率的な空間音響アルゴリズムで、等価パワーによるパンニングを行います。

注:このパンニングモデルを使用すると、このノードの出力を計算するために使用されるすべての AudioParama-rate になります。

"HRTF" より高品質な空間音響アルゴリズムで、人体を使ったインパルスレスポンス測定からのコンボリューション処理を使用します。このパンニング方法はステレオ出力にレンダリングされます。

注:このパンニングモデルを使用すると、このノードの出力を計算するために使用されるすべての AudioParamk-rate になります。

PannerNodeAudioParam有効なオートメーション速度AudioParampanningModelautomationRate によって決まります。panningModel が "HRTF" の場合、有効なオートメーション速度automationRate の設定とは無関係に "k-rate" です。それ以外の場合、有効なオートメーション速度automationRate の値になります。

DistanceModelType 列挙値は 音源がリスナーから離れていったとき、音量を減衰させるためにどのアルゴリズムを使用するかを決定します。デフォルトは "inverse" です。

次のそれぞれの距離モデルの説明で、\(d\) はリスナーとパンナーの距離、\(d_{ref}\) は refDistance 属性の値、\(d_{max}\) は maxDistance 属性の値、\(f\) は rolloffFactor の値です。

enum DistanceModelType {
  "linear",
  "inverse",
  "exponential"
};
列挙値の説明
"linear" distanceGain を次のように計算する直線距離モデルです:
$$
  1 - f\frac{\max(\min(d, d’_{max}), d’_{ref}) - d’_{ref}}{d’_{max} - d’_{ref}}
$$

ここで \(d’_{ref} = \min(d_{ref}, d_{max})\) および \(d’_{max} = \max(d_{ref}, d_{max})\) とします。 \(d’_{ref} = d’_{max}\) の場合、このリニアモデルが取る値は \(1-f\) になります。

\(d\) は \([d’_{ref},\, d’_{max}]\) の範囲に制限される事に注意してください。

"inverse" distanceGain を次のように計算する、距離の逆数モデルです:
$$
  \frac{d_{ref}}{d_{ref} + f (\max(d, d_{ref}) - d_{ref})}
$$

ここで、\(d\) は \([d_{ref},\,\infty)\) の範囲に制限されます。 もし、\(d_{ref} = 0\) であれば、距離の逆数モデルの値は、\(d\) と \(f\) の値とは無関係に 0 になります。

"exponential" distanceGain を次のように計算する指数距離モデルです:
$$
  \left(\frac{\max(d, d_{ref})}{d_{ref}}\right)^{-f}
$$

ここで、\(d\) は \([d_{ref},\,\infty)\) の範囲に制限されます。 もし \(d_{ref} = 0\) の場合、指数距離モデルの値は \(d\) と \(f\) の値とは無関係に 0 になります。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional PannerOptions options)]
interface PannerNode : AudioNode {
  attribute PanningModelType panningModel;
  readonly attribute AudioParam positionX;
  readonly attribute AudioParam positionY;
  readonly attribute AudioParam positionZ;
  readonly attribute AudioParam orientationX;
  readonly attribute AudioParam orientationY;
  readonly attribute AudioParam orientationZ;
  attribute DistanceModelType distanceModel;
  attribute double refDistance;
  attribute double maxDistance;
  attribute double rolloffFactor;
  attribute double coneInnerAngle;
  attribute double coneOuterAngle;
  attribute double coneOuterGain;
  void setPosition (float x, float y, float z);
  void setOrientation (float x, float y, float z);
};

1.28.1. コンストラクタ

PannerNode(context, options)

node を新しい PannerNode オブジェクトとします。node初期化 し、返します。

PannerNode.PannerNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい PannerNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options PannerOptions この PannerNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.28.2. 属性

coneInnerAngle, double

音源の指向性パラメーターで、度で表す角度です。この角度の内部では音量減衰が生じません。デフォルトの値は 360 で、角度が [0, 360] の範囲外の場合の動作は未定義です。

coneOuterAngle, double

音源の指向性パラメーターで、度で表す角度です。この角度の外部では音量は coneOuterGain の一定値に減衰します。デフォルト値は360です。角度が [0,360] の範囲外の場合の動作は未定義です。

coneOuterGain, double

音源の指向性パラメーターで、角度が coneOuterAngle の外側の場合の減衰率です。デフォルト値は 0 です。これは、( dB 値ではなく ) [0、1] の範囲の線形値です。パラメーターがこの範囲外の場合は、InvalidStateError を発生します ( MUST )。

distanceModel, DistanceModelType

この PannerNode によって使用される距離モデルを指定します。デフォルトは "inverse" です。

maxDistance, double

音源とリスナーの間の最大距離で、これ以上距離が離れても音量はそれ以上減衰しません。デフォルト値は 10000 です。これが正の値に設定されていない場合、RangeError 例外を発生します ( MUST )。

orientationX, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間で音源が向いている方向のベクトルの x 成分を表します。( cone 属性によって制御される ) 音の指向性に基づいて、リスナーから離れたところにある音は、非常に小さくなったり完全に無音になったりします。

パラメーター 説明
defaultValue 1
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate" オートメーション速度の制約 があります。
orientationY, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間で音源が向いている方向のベクトルの y 成分を表します。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate" オートメーション速度の制約 があります。
orientationZ, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間で音源が向いている方向のベクトルの z 成分を表します。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate" オートメーション速度の制約 があります。
panningModel, PanningModelType

この PannerNode. で使用されるバンニングモデルを指定します。デフォルトは "equalpower" です。

positionX, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間で音源の位置の x 座標を表します。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate" オートメーション速度の制約 があります。
positionY, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間で音源の位置の y 座標を表します。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate" オートメーション速度の制約 があります。
positionZ, AudioParam 型, readonly

3D デカルト座標空間で音源の位置の z 座標を表します。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue most-negative-single-float 約 -3.4028235e38
maxValue most-positive-single-float 約 3.4028235e38
automationRate "a-rate" オートメーション速度の制約 があります。
refDistance, double

音源がリスナーから離れていったときの音量減衰の基準となる距離です。デフォルトの値は 1 です。もしこの値を正の値以外に設定すると RangeError 例外を発生します ( MUST )。

rolloffFactor, double

音源がリスナーが離れていったときの音量減衰の速さを表します。デフォルトの値は 1 です。もしこの値が負の値の場合は RangeError 例外を発生します ( MUST )。

rolloffFactor の公称範囲は、rolloffFactor が持つことができる最小値と最大値です。値が範囲外の場合はこの範囲内におさまるようにクランプされます。公称範囲は、distanceModel によって以下のように依存します:

"linear"

公称範囲は \([0, 1]\) です。

"inverse"

公称範囲は \([0, \infty)\) です。

"exponential"

公称範囲は \([0, \infty)\) です。

1.28.3. メソッド

setOrientation(x, y, z)

このメソッドは非推奨 (DEPRECATED) です。これは orientationX.valueorientationY.value、および orientationZ.value 属性をそれぞれ xyz パラメーターで直接設定することと等価です。

したがって、orientationXorientationY、および orientationZAudioParam のいずれかに、このメソッドが呼び出された時点で setValueCurveAtTime() を使用してオートメーションカーブが設定されている場合は、NotSupportedError を発生します ( MUST )。

音源が 3D デカルト座標空間でどの方向を指しているかを示します。( cone 属性によって制御される ) 音の指向性に応じて、リスナーから離れたところにある音は、非常に小さくなったり完全に無音になったりすることがあります。

x, y, z パラメーターは 3D 空間内での方向ベクトルを表します。

デフォルトの値は ( 1, 0, 0 ) です。

PannerNode.setOrientation() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
x float
y float
z float
戻り値: void
setPosition(x, y, z)

このメソッドは非推奨 (DEPRECATED) です。これは positionX.valuepositionY.valuepositionZ.value 属性をそれぞれ xyz パラメーターで直接設定することと等価です。

したがって、positionXpositionYpositionZ のいずれかの AudioParam に、このメソッドが呼び出された時点で setValueCurveAtTime() を使用して設定されたオートメーションカーブがある場合、NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

listener 属性を基準にして音源の位置を設定します。座標系は 3D デカルト座標系が使用されます。

x, y, z パラメーターは 3D 空間内の座標を表します。

デフォルトの値は (0, 0, 0) です。

PannerNode.setPosition() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
x float
y float
z float
戻り値: void

1.28.4. PannerOptions

PannerNode を生成する際のオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合、通常のデフォルトがノードの生成に使用されます。

dictionary PannerOptions : AudioNodeOptions {
  PanningModelType panningModel = "equalpower";
  DistanceModelType distanceModel = "inverse";
  float positionX = 0;
  float positionY = 0;
  float positionZ = 0;
  float orientationX = 1;
  float orientationY = 0;
  float orientationZ = 0;
  double refDistance = 1;
  double maxDistance = 10000;
  double rolloffFactor = 1;
  double coneInnerAngle = 360;
  double coneOuterAngle = 360;
  double coneOuterGain = 0;
};
1.28.4.1. ディクショナリ PannerOptions メンバー
coneInnerAngle, double 型, デフォルトは 360

ノードの coneInnerAngle 属性の初期値です。

coneOuterAngle, double 型, デフォルトは 360

ノードの coneOuterAngle 属性の初期値です。

coneOuterGain, double 型, デフォルトは 0

ノードの coneOuterGain 属性の初期値です。

distanceModel, DistanceModelType 型, デフォルトは "inverse"

ノードが使用する距離モデルです。

maxDistance, double 型, デフォルトは 10000

ノードの maxDistance 属性の初期値です。

orientationX, float 型, デフォルトは 1

orientationX AudioParam の X の初期値です。

orientationY, float 型, デフォルトは 0

orientationY AudioParam の Y の初期値です。

orientationZ, float 型, デフォルトは 0

orientationZ AudioParam の Z の初期値です。

panningModel, PanningModelType 型, デフォルトは "equalpower"

ノードが使用するパンニングモデルです。

positionX, float 型, デフォルトは 0

positionX AudioParam の X の初期値です。

positionY, float 型, デフォルトは 0

positionY AudioParam の Y の初期値です。

positionZ, float 型, デフォルトは 0

positionZ AudioParam の Z の初期値です。

refDistance, double 型, デフォルトは 1

ノードの refDistance 属性の初期値です。

rolloffFactor, double 型, デフォルトは 1

ノードの rolloffFactor 属性の初期値です。

1.28.5. チャンネルの制限

StereoPannerNodeチャンネルの制限 が、PannerNode にも適用されます。

1.29. PeriodicWave インターフェイス

PeriodicWaveOscillatorNode で使用される任意の周期波形を表します。

準拠した実装 は少なくとも 8192 要素までの PeriodicWave をサポートしなければなりません ( MUST )。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional PeriodicWaveOptions options)]
interface PeriodicWave {
};

1.29.1. コンストラクタ

PeriodicWave(context, options)
  1. p を新しい PeriodicWave オブジェクトとします。[[associated context]] を、このコンストラクタの最初の引数として渡された BaseAudioContext への参照とします。

  2. PeriodicWaveOptionsreal パラメーターと imag パラメーターが同じ長さでない場合は、IndexSizeError 例外を発生します ( MUST )。

  3. もし、オプションが渡されていない場合は、[[real]][[imag]]Float32Array 型で長さが 2 の 2 つの内部スロットとします。そして [[imag]] 配列の 2 番目の要素を 1 に設定します。

    注:この PeriodicWaveOscillatorNode に設定する事は、組み込みタイプ "sine" を使用するのと同じです。

  4. そうでない場合は、[[real]][[imag]] を、渡された PeriodicWaveOptionsreal 属性と imag 属性の最大長に等しい長さの Float32Array 型の 2 つの内部スロットとします。 それぞれの内部スロットにそれらの配列の 複製を作成 します。

  5. [[normalize]]PeriodicWave の内部スロットとし、PeriodicWaveOptions 上の PeriodicWaveConstraintsdisableNormalization 属性の逆の値に初期化します。

  6. p を返します。

PeriodicWave.PeriodicWave() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい PeriodicWave関連付け られる BaseAudioContext です。AudioBuffer とは異なり、PeriodicWaveAudioContext または OfflineAudioContext をまたいで共有することはできません。これは特定の BaseAudioContext に関連付けられています。
options PeriodicWaveOptions この PeriodicWave のオプションの初期パラメーター値です。

1.29.2. PeriodicWaveConstraints

PeriodicWaveConstraints ディクショナリは、波形の正規化を指定するために使用されます。

dictionary PeriodicWaveConstraints {
  boolean disableNormalization = false;
};
1.29.2.1. ディクショナリ PeriodicWaveConstraints メンバー
disableNormalization, boolean 型, デフォルトは false

周期波形が正規化されるかどうかを制御します。もし true の場合、波形は正規化されません。それ以外の場合、波形は正規化されます。

1.29.3. PeriodicWaveOptions

PeriodicWaveOptions ディクショナリは、波形の構成方法を指定するために使用されます。real または imag のいずれかだけが指定されている場合。もう片方は、ディクショナリメンバーの説明 で後述するように、同じ長さのすべてのゼロの配列であるかのように扱われます。どちらも指定されていない場合は、"sine" タイプOscillatorNode と等価な PeriodicWave が作成されなくてはなりません ( MUST )。両方を指定する場合、それらのシーケンスは同じ長さでなければなりません。それ以外の場合は NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

dictionary PeriodicWaveOptions : PeriodicWaveConstraints {
  sequence<float> real;
  sequence<float> imag;
};
1.29.3.1. ディクショナリ PeriodicWaveOptions メンバー
imag, sequence<float> 型

imag パラメーターは sine 項の配列を表します。最初の要素 ( インデックス 0 ) はフーリエ級数には存在しません。実装は、波形を計算するときに、これをゼロにセットしなければなりません ( MUST )。2 番目の要素 ( インデックス 1 ) は基本周波数を表します。3 番目の要素は最初の倍音を表し、以下同様に続きます。

real が与えられた場合のデフォルトは real と同じ長さのすべてのゼロのシーケンスになります。

real, sequence<float> 型

real パラメーターは cosine 項の配列を表します。最初の要素 ( インデックス 0 ) は周期波形の DC オフセットです。実装は、波形を計算するときに、これをゼロに設定しなくてはなりません ( MUST )。2 番目の要素 ( インデックス 1 ) は基本周波数を表します。3 番目の要素は最初の倍音を表し、以下同様に続きます。

imag が与えられた場合のデフォルトは imag と同じ長さのすべてゼロのシーケンスになります。

1.29.4. 波形の生成

createPeriodicWave() メソッドは PeriodicWave のフーリエ係数を指定する2つの配列を引数とします。\(a\) と \(b\) を長さ \(L\) のリアルとイマジナリの配列とします。そして時間領域の基本的な波形、\(x(t)\) は次のように計算されます:

$$
  x(t) = \sum_{k=1}^{L-1} \left(a[k]\cos2\pi k t + b[k]\sin2\pi k t\right)
$$

これが基本的な (正規化されていない) 波形になります。

1.29.5. 波形の正規化

この PeriodicWave の内部スロット [[normalize]]true ( デフォルト ) の場合、前のセクションで定義した波形は最大値が 1 になるように正規化されます。正規化は次のように行われます。

以下を求めます

$$
  \tilde{x}(n) = \sum_{k=1}^{L-1} \left(a[k]\cos\frac{2\pi k n}{N} + b[k]\sin\frac{2\pi k n}{N}\right)
$$

ここで、\(N\) は2の累乗です。( 注: \(\tilde{x}(n)\) は便宜上、逆 FFT を使用して計算できます ) 固定値の正規化係数 \(f\) は次のように計算されます:

$$
  f = \max_{n = 0, \ldots, N - 1} |\tilde{x}(n)|
$$

結果、実際の正規化された波形 \(\hat{x}(n)\) は:

$$
  \hat{x}(n) = \frac{\tilde{x}(n)}{f}
$$

固定値の正規化係数は、すべての生成された波形に適用しなくてはなりません ( MUST )。

1.29.6. オシレーター係数

組み込み済みのオシレータータイプは PeriodicWave オブジェクトを使用して作られます。完全性のため、それぞれの組み込みオシレータータイプのための PeriodicWave の係数をここに定めます。これは、正規化を行わない組み込み型が欲しい場合に有用です。

次の記述において、\(a\) は createPeriodicWave() で使用するリアル係数の配列で \(b\) はイマジナリ係数の配列です。すべてのケースで波形は奇関数のため、すべての \(n\) に対して \(a[n] = 0\) となります。また、すべてのケースで \(b[0] = 0\) です。そのため、\(n \ge 1\) の \(b[n]\) だけが以下に規定されています。

"sine"
$$
  b[n] = \begin{cases}
           1 & \mbox{for } n = 1 \\
           0 & \mbox{otherwise}
         \end{cases}
$$
"square"
$$
  b[n] = \frac{2}{n\pi}\left[1 - (-1)^n\right]
$$
"sawtooth"
$$
  b[n] = (-1)^{n+1} \dfrac{2}{n\pi}
$$
"triangle"
$$
  b[n] = \frac{8\sin\dfrac{n\pi}{2}}{(\pi n)^2}
$$

1.30. ScriptProcessorNode インターフェイス - DEPRECATED

このインターフェイスは、スクリプトを使用して直接オーディオを生成、処理、または分析できる AudioNode です。このノードタイプは廃止予定で、AudioWorkletNode に置き換えられました。この文章は、実装がこのノードタイプを削除するまでの参考としてのみここに記載されています。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount numberOfInputChannels これは、このノードを生成するときに指定されたチャネルの数です。channelCount の制約 があります。
channelCountMode "explicit" channelCountMode の制約 があります。
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No

ScriptProcessorNodebufferSize として次の値のどれかで作成されます ( MUST ) : 256, 512, 1024, 2048, 4096, 8192, 16384 。この値は、onaudioprocess イベントがディスパッチされる周期とそれぞれの呼び出しで処理が必要なサンプルフレームの数を制御します。onaudioprocess イベントは、ScriptProcessorNode が少なくとも 1 つの入力または 1 つの出力が接続されている場合にのみディスパッチされます。bufferSize の数値が小さいほど、レイテンシー は低く ( 良く ) なります。オーディオの途切れや グリッジ を避けるには、より大きい値が必要になります。この値は、createScriptProcessor() に bufferSize 引数が渡されなかった場合、または 0 に設定されている場合、実装によって自動的に選択されます。

numberOfInputChannelsnumberOfOutputChannels は入力と出力のチャンネル数を決定します。numberOfInputChannelsnumberOfOutputChannels の両方が 0 になるのは不正になります。

[Exposed=Window]
interface ScriptProcessorNode : AudioNode {
  attribute EventHandler onaudioprocess;
  readonly attribute long bufferSize;
};

1.30.1. 属性

bufferSize, long 型, readonly

onaudioprocess が呼び出されるたびに処理される必要のあるバッファーのサイズ ( 単位はサンプルフレーム ) です。有効な値は ( 256, 512, 1024, 2048, 4096, 8192, 16384 ) です。

onaudioprocess, EventHandler

ScriptProcessorNode ノードに送出される onaudioprocess イベントの EventHandler ( HTML[HTML] で説明されています ) を設定するために使用されるプロパティです。AudioProcessingEvent 型のイベントがイベントハンドラーにディスパッチされます。

1.31. StereoPannerNode インターフェイス

入力されるオーディオストリームに対してローコストな イコールパワー・バンニングアルゴリズム によりステレオでの定位処理を行うノードを表します。このバンニング効果はステレオストリームでの定位を行う方法として一般的なものです。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2 channelCount の制約 があります。
channelCountMode "clamped-max" channelCountMode の制約 があります。
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference No

このノードの入力はステレオ ( 2 チャンネル ) であり増やす事はできません。より少ない、あるいは多いチャンネル数のノードから接続された場合は 適切にチャンネル・アップミックスまたはダウン・ミックス されます。

このノードの出力はステレオ ( 2 チャンネル ) にハードコードされており、構成を変える事はできません。

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional StereoPannerOptions options)]
interface StereoPannerNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParam pan;
};

1.31.1. コンストラクタ

StereoPannerNode(context, options)

node を新しい StereoPannerNode オブジェクトとします。node初期化 し、返します。

StereoPannerNode.StereoPannerNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい StereoPannerNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options StereoPannerOptions この StereoPannerNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.31.2. 属性

pan, AudioParam 型, readonly

出力されるステレオイメージ中での入力信号の位置を指定します。-1ならば完全な左、+1ならば完全な右になります。

パラメーター 説明
defaultValue 0
minValue -1
maxValue 1
automationRate "a-rate"

1.31.3. StereoPannerOptions

これは、StereoPannerNode の生成に使用するオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合、通常のデフォルトがノードの生成に使用されます。

dictionary StereoPannerOptions : AudioNodeOptions {
  float pan = 0;
};
1.31.3.1. ディクショナリ StereoPannerOptions メンバー
pan, float 型, デフォルトは 0

pan AudioParam の初期値です。

1.31.4. チャンネルの制限

処理について上記のような制約があるため、StereoPannerNode の処理は 2 チャンネルまでのオーディオのミキシングと 2 チャンネルのオーディオの生成に限られています。( 訳注:それ以上のチャンネル数を扱いたい場合 ) ChannelSplitterNode を使用し、GainNode などによるサブグラフでの中間的な処理を行って ChannelMergerNode を通して再度結合するような処理によって任意のバンニング/ミキシングを実現する事は可能です。

1.32. WaveShaperNode インターフェイス

WaveShaperNode は非線形の歪み効果を実装した AudioNode です。

非線形ウェーブシェイピング歪み、は微妙な非線形ウォーミングやはっきりしたディストーションの両方のエフェクトで一般的に使用されています。任意の非線形シェイピング曲線を指定する事ができます。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference Maybe oversample 属性が "2x" または "4x" に設定されている場合にのみ、テールタイム参照 があります。この テールタイム の実際の持続時間は実装によって異なります。

出力のチャンネル数は常に入力のチャンネル数に同じです。

WaveShaperNodes は初期値が false の内部フラグ [[curve set]]と共に作成されます。

enum OverSampleType {
  "none",
  "2x",
  "4x"
};
列挙値の説明
"none" オーバーサンプリングを行いません
"2x" 2 倍オーバーサンプリングを行います
"4x" 4 倍オーバーサンプリングを行います
[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional WaveShaperOptions options)]
interface WaveShaperNode : AudioNode {
  attribute Float32Array? curve;
  attribute OverSampleType oversample;
};

1.32.1. コンストラクタ

WaveShaperNode(context, options)

nodeを新しい WaveShaperNode オブジェクトとします。node を初期化します。ブーリアンの内部スロット [[curve set]] をセットし false に初期化します。nodeを返します。

WaveShaperNode.WaveShaperNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext この新しい WaveShaperNode関連付け られる BaseAudioContext です。
options WaveShaperOptions この WaveShaperNode のオプションの初期パラメーター値です。

1.32.2. 属性

curve, Float32Array 型, nullable

ウェーブシェイピング・エフェクトで使用されるシェイピング曲線です。入力信号は名目上 [-1; 1] の範囲内になります。この範囲内のそれぞれの入力サンプルはシェイピング曲線にインデックスされ、信号レベル 0 が配列の要素が奇数個の場合は中央の値、そうでなく要素が偶数個の場合は、配列内のもっとも中心に近い 2 つの値が補間された値になります。-1 より小さいサンプル値は、カーブ配列の最初の値に対応します。+1 より大きいサンプル値は、カーブ配列の最後の値に対応します。

実装は曲線の配列の隣接した値から直線補間を行わなくてはなりません ( MUST )。curve 属性の初期値は null で、これは WaveShaperNode は入力を変更せずにそのまま出力する事を意味します。

曲線の値は [-1; 1] の範囲に広がっています。これは curve の値が偶数個の場合は信号 0 に対応する値を持っていない事を意味し、curve が奇数個の値の場合は信号 0 に対応する値を持っている事を意味します。

もしこの属性に length が 2 より小さい Float32Array を設定すると InvalidStateError 例外を発生します ( MUST )。

この属性が設定されたとき、WaveShaperNode によって曲線の内部的なコピーが作成されます。それ以降、属性の設定に使用した配列を変更しても効果は反映されません: 曲線を変更するには属性を再度設定する必要があります ( MUST )。

curve 属性の設定は、次の手順を実行します:
  1. new curvecurve 属性に割り当てる Float32Array 配列とします。

  2. もし、new curvenull でなく、[[curve set]] が true の場合、InvalidStateError 例外を発生し、これらの手順を中止します。

  3. もし new curvenull でなければ、[[curve set]] を true にセットします。

  4. new curvecurve 属性に割り当てます。

oversample, OverSampleType

シェイピング曲線に ( 行うならば ) どのようなオーバーサンプリングを行うかを指定します。デフォルト値は "none" で、曲線は直接入力サンプルに適用される事を意味します。値、"2x" または "4x" はエイリアシングを避けて処理の品質を向上させ、"4x" が最も良い品質となります。アプリケーションによっては非常に高精度なシェイピング曲線を得るためにオーバーサンプリングを使用しない方が良い場合もあります。

値が "2x" または "4x" の場合は次のステップを実行しなくてはならない事を意味します ( MUST ):
  1. 入力のサンプルを AudioContext のサンプルレートの 2x または 4x にアップサンプリングします。そのため、それぞれの レンダリング量子 は 128 サンプルから 256 ( 2x の場合 ) または 512 ( 4x の場合 ) サンプルになります。

  2. シェイピング曲線を適用します。

  3. 結果を AudioContext のサンプルレートにダウンサンプリングして戻します。つまり処理された 256 ( または 512 ) のサンプルから 最終的な結果の 128 サンプルを生成します。

正確なアップサンプリングおよびダウンサンプリングフィルターは定められておらず、( 低エイリアシング等の ) 音の品質、低レイテンシー、パフォーマンス等をチューニングする事もできます。

注: オーバーサンプリングを使用すると、アップサンプリングとダウンサンプリングのフィルターにより、ある程度のオーディオ処理レイテンシーが発生します。このレイテンシーの量は、実装ごとに異なります。

1.32.3. WaveShaperOptions

WaveShaperNode を作成するためのオプションを指定します。すべてのメンバーはオプションです。指定されていない場合、通常のデフォルトがノードの作成に使用されます。

dictionary WaveShaperOptions : AudioNodeOptions {
  sequence<float> curve;
  OverSampleType oversample = "none";
};
1.32.3.1. ディクショナリ WaveShaperOptions メンバー
curve, sequence<float> 型

ウェーブシェイピング効果で使用するシェイピング曲線です。

oversample, OverSampleType 型, デフォルトは "none"

シェイピングの際に使用するオーバーサンプリングのタイプです。

1.33. AudioWorklet インターフェイス

[Exposed=Window, SecureContext]
interface AudioWorklet : Worklet {
};

1.33.1. 概念

AudioWorklet オブジェクトを使用すると、開発者は レンダリングスレッド でオーディオを処理するための ( JavaScript や WebAssembly コードのような ) スクリプトを提供する独自の AudioNode をサポートできます。この処理メカニズムにより、オーディオグラフ内の他の組み込み AudioNode とのスクリプトコードの同期実行が保証されます。

このメカニズムを実現するためには、AudioWorkletNodeAudioWorkletProcessor という関連するオブジェクトのペアを定義しなければなりません ( MUST )。 前者は、他の AudioNode オブジェクトと同様に、メインのグローバルスコープのインターフェイスを表し、後者は、AudioWorkletGlobalScope という名前の特殊なスコープ内で内部的なオーディオ処理を実装します。

AudioWorklet concept
AudioWorkletNode AudioWorkletProcessor

BaseAudioContext は、AudioWorklet を 1 つだけ保持します。この AudioWorklet を使用してインポートされたスクリプトは、1 つまたはそれ以上の AudioWorkletGlobalScope グローバルスコープ内で実行されます。このスコープは、オーディオを処理するためにその BaseAudioContext に関連付けられて作成されます。

import(moduleUrl) メソッドを使用してスクリプトをインポートすると、AudioWorkletGlobalScope の下に AudioWorkletProcessor のクラス定義が登録されます。 内部にはインポートされたクラス定義と、定義から作成されたアクティブなインスタンスの 2 つの記憶領域があります。

「ノード名-プロセッサー定義マップ」

AudioWorkletGlobalScope に属します。このマップは、対応する AudioWorkletProcessor の定義に文字列のキーを関連付けます。最初はこのマップは空であり、registerProcessor() メソッドが呼び出されたときに項目が追加されます。

「ノード名-パラメーター記述子マップ」

BaseAudioContext に属します。このマップにはparameterDescriptors の値に関連付けられた、「ノード名-プロセッサー定義マップ」 と同じ一意に識別可能な一連の文字列キーが含まれています。この内部ストレージは registerProcessor() メソッドを呼び出した結果として、レンダリングスレッド で生成されます。この生成は、コンテキストの audioWorklet 上の addModule() によって返される promise をリゾルブする前に完了することが保証されています。

// bypass-processor.js script file, runs on AudioWorkletGlobalScope
class BypassProcessor extends AudioWorkletProcessor {
  process (inputs, outputs) {
    // Single input, single channel.
    let input = inputs[0];
    let output = outputs[0];
    output[0].set(input[0]);

    // Process only while there are inputs.
    return false;
  }
});

registerProcessor('bypass-processor', BypassProcessor);
// The main global scope
let context = new AudioContext();
context.audioWorklet.addModule('bypass-processor.js').then(() => {
  let bypassNode = new AudioWorkletNode(context, 'bypass-processor');
});

メイングローバルスコープ内で AudioWorkletNode のインスタンス化を行うと、対応する AudioWorkletProcessorAudioWorkletGlobalScope 内に作成されます。これらの 2 つのオブジェクトは、§2 処理モデル で説明する非同期メッセージ通信を介して通信します。

1.33.2. AudioWorkletGlobalScope インターフェイス

この特別な実行コンテキストは、オーディオの レンダリングスレッド で、スクリプトを使用したオーディオデータの直接的な生成、処理、および分析が可能になるように設計されています。ユーザーが供給するスクリプトコードは、このスコープ内で評価され、1 つまたは複数の AudioWorkletProcessor サブクラスを定義します。このサブクラスは、AudioWorkletProcessor のインスタンス化に使用され、メインスコープ内の AudioWorkletNode と1対1に関連付けられます。

1 つ以上の AudioWorkletNode を含む各 AudioContext ごとに、少なくとも 1 つの AudioWorkletGlobalScope が存在します。インポートされたスクリプトは [worklets-1] で定義されているように UA によって実行されます。即ち、すべてのスクリプトは各グローバルスコープに矛盾なく適用され、すべてのスコープは同じように振舞います。これらを保証する事以外には、グローバルスコープの作成はプログラマーにとっては透過的であり、メインウィンドウのスコープから見ることはできません。

AudioWorkletGlobalScope には「ノード名-プロセッサ定義マップ」があります。このマップは、AudioWorkletProcessor の定義を関連付けられた文字列キーとともに格納します。これは最初は空であり、registerProcessor() メソッドが呼び出されると項目が追加されますが、この格納領域は内部的なものでありユーザーには直接公開されません。

注: AudioWorkletGlobalScope には、これらのインスタンスによって共有されるその他のデータとコードも含まれます。例えば、複数のプロセッサがウェーブテーブルやインパルス応答を定義する ArrayBuffer を共有する事もあります。

注:AudioWorkletGlobalScope は、単一の BaseAudioContext と、そのコンテキストの単一のオーディオレンダリングスレッドに関連付けられています。これにより、グローバルスコープ内のコードが並列スレッドで実行されてデータ競合が発生する事を防止します。

[Global=(Worklet, AudioWorklet), Exposed=AudioWorklet]
interface AudioWorkletGlobalScope : WorkletGlobalScope {
  void registerProcessor (DOMString name, VoidFunction processorCtor);
  readonly attribute unsigned long long currentFrame;
  readonly attribute double currentTime;
  readonly attribute float sampleRate;
};
1.33.2.1. 属性
currentFrame, unsigned long long 型, readonly

現在処理中のオーディオブロックのフレーム。これは、BaseAudioContext の内部スロット、[[current frame]] の値と等しくなければなりません。

currentTime, double 型, readonly

現在処理中のオーディオブロックのコンテキストの時間。定義により、これは 制御スレッド で直近に観測された BaseAudioContextcurrentTime 属性の値と等しくなります。

sampleRate, float 型, readonly

関連付けられた BaseAudioContext のサンプルレートです。

1.33.2.2. メソッド
registerProcessor(name, processorCtor)

AudioWorkletProcessor から派生したクラス定義を登録します。

registerProcessor(name, processorCtor) メソッドが呼び出されたとき、ユーザーエージェントは以下の手順を実行しなくてはなりません ( MUST ):
  1. name が空文字列の場合は有効なキーではないため、NotSupportedError 例外を発生し、これらの手順を中止します。
  2. name が「ノード名-プロセッサ定義マップ」のキーとして存在する場合、重複したキーを持つ定義の登録は許可されないため、NotSupportedError 例外を発生してこれらの手順を中止します。
  3. IsConstructor(argument=processorCtor))の結果が false の場合、TypeError 例外は発生し、これらの手順を中止します。
  4. prototype Get(O=processorCtor, P="prototype") の結果とします。
  5. Type(argument=prototype) の結果が Object でない場合は、TypeError 例外を発生し、これらの手順を中止します。
  6. IsCallable(argument=Get(O=prototype,P="process")) の結果が false の場合は、throw a TypeError 例外を発生してこれらの手順を中止します。
  7. descriptors Get(O=processorCtor,P="parameterDescriptors") の結果とします。
  8. descriptors が配列でも undefined でもない場合は、throw a TypeError 例外を発生してこれらの手順を中止します。
  9. definition を次のように新しい AudioWorkletProcessor の定義とします:
    • ノード名は name

    • プロセッサクラスのコンストラクタは processorCtor

  10. 関連する AudioWorkletGlobalScope の「ノード名-プロセッサ定義マップ」に、キーと値のペア ( name - definition ) を追加します。
  11. 制御スレッド で、関連する BaseAudioContext の「ノード名-パラメーター記述子マップ」にキーと値のペア ( name - descriptors ) を追加するタスクをキューに入れます。

注: クラスのコンストラクタを参照するのは一度だけのため、その定義を動的に変更する事はできません。

AudioWorkletGlobalScope.registerProcessor(name, processorCtor) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
name DOMString 登録されるクラス定義を表す文字列キー。このキーは、AudioWorkletNode の生成時に AudioWorkletProcessor のコンストラクタを参照するために使用されます。
processorCtor VoidFunction AudioWorkletProcessor を拡張したクラス定義。
戻り値: void

1.33.3. AudioWorkletNode インターフェイス

このインターフェイスは、制御スレッド 上に存在するユーザー定義の AudioNode を表します。ユーザーは、BaseAudioContext から AudioWorkletNode を作成することができ、そのノードは他の組み込み AudioNode と接続してオーディオグラフを形成することができます。

プロパティ 説明
numberOfInputs 1
numberOfOutputs 1
channelCount 2
channelCountMode "max"
channelInterpretation "speakers"
tail-time reference 注釈を参照 tail-time はノード自身が管理します。

AudioWorkletNode は対応するプロセッサ参照を持ち、最初は null で、このノードの処理を管理する AudioWorkletProcessor を参照します。

すべての AudioWorkletProcessor には、初期値が trueアクティブソースフラグが関連付けられています。このフラグは、入力へのコネクションが 1 つもない場合、ノードをメモリーに保持してオーディオ処理を実行させます。

[Exposed=Window]
interface AudioParamMap {
  readonly maplike<DOMString, AudioParam>;
};

このインターフェイスは readonly maplike によって "entries"、"forEach"、"get"、"has"、"keys"、"values"、@@iterator メソッド、"size" ゲッター のメソッドを持ちます。

[Exposed=Window,
 SecureContext,
 Constructor (BaseAudioContext context, DOMString name, optional AudioWorkletNodeOptions options)]
interface AudioWorkletNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParamMap parameters;
  readonly attribute MessagePort port;
  attribute EventHandler onprocessorerror;
};
1.33.3.1. コンストラクタ
AudioWorkletNode(context, name, options)

node を新しい AudioWorkletNode オブジェクトとし、node初期化 します。AudioWorkletNode および対応する AudioWorkletProcessor オブジェクトの コンストラクタ手順 を実行し、node を返します。

AudioWorkletNode.AudioWorkletNode() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
context BaseAudioContext 新しく作成される AudioWorkletNode が関連付けられる BaseAudioContext
name DOMString BaseAudioContext の「ノード名-パラメーター記述子マップ」のキーとして使用可能な文字列。
options AudioWorkletNodeOptions この AudioWorkletNode の初期パラメーター値オプション。
1.33.3.2. 属性
onprocessorerror, EventHandler

プロセッサの constructorprocess メソッド、または任意のユーザー定義のクラスメソッドで例外が発生すると、プロセッサは onprocessorerror イベントをノードに送信するタスクを制御スレッドのキューに入れます。例外が発生すると、プロセッサはそのライフタイムを通して無音を出力することに注意してください。

parameters, AudioParamMap 型, readonly

parameters 属性は、関連付けられた名前を持つ AudioParam オブジェクトのコレクションです。この maplike オブジェクトは、インスタンス化の際に AudioWorkletProcessor クラス定義内の AudioParamDescriptor のリストから生成されます。

port, MessagePort 型, readonly

すべての AudioWorkletNode には、MessagePort 型の port が関連付けられています。これは対応する AudioWorkletProcessor オブジェクトのポートに接続され、AudioWorkletNodeAudioWorkletProcessor のペア間の双方向通信を可能にします。

1.33.3.3. AudioWorkletNodeOptions

AudioWorkletNodeOptions ディクショナリは、AudioWorkletNode コンストラクタの AudioNode 属性の初期化をカスタマイズするために使用できます。

dictionary AudioWorkletNodeOptions : AudioNodeOptions {
  unsigned long numberOfInputs = 1;
  unsigned long numberOfOutputs = 1;
  sequence<unsigned long> outputChannelCount;
  record<DOMString, double> parameterData;
  object? processorOptions = null;
};
1.33.3.3.1. ディクショナリ AudioWorkletNodeOptions メンバー
numberOfInputs, unsigned long 型, デフォルトは 1

これは、AudioNodenumberOfInputs 属性の値を初期化するために使用されます。

numberOfOutputs, unsigned long 型, デフォルトは 1

これは、AudioNodenumberOfOutputs 属性の値を初期化するために使用されます。

outputChannelCount, sequence<unsigned long>

この配列は、各出力のチャンネル数を設定するために使用されます。たとえば、outputChannelCount: [n, m] は、最初の出力を n に、2番目の出力を m にそれぞれ指定します。シーケンスの長さが numberOfOutputs と一致しない場合は、IndexSizeError が発生します ( MUST )。チャンネル数が AudioNode の channelCount の有効範囲にない場合、NotSupportedError 例外が発生します ( MUST )。

parameterData, record<DOMString, double>

AudioWorkletNodeAudioParam の値を初期化するために使用されるユーザー定義のキーと値のペアのリストです。リスト内のエントリの文字列キーがノード内の AudioParam オブジェクトの名前と一致しない場合は無視されます。

processorOptions, object 型, nullable, デフォルトは null

これは、この AudioWorkletNode に対応する AudioWorkletProcessor を初期化するために使用される任意の追加ユーザー定義データを保持します。

1.33.3.3.2. AudioWorkletNodeOptions によるチャンネルの設定

numberOfInputsnumberOfOutputs、および outputChannelCount の組み合わせによってさまざまなチャンネル構成を作る事ができます。

numberOfInputs = 0, numberOfOutputs = 0

NotSupportedError が発生します ( MUST )。

numberOfInputs = 1, numberOfOutputs = 1

outputChannelCount が指定されていない場合、出力チャンネル数は入力からの computedNumberOfChannels と同じになります。

その他の場合

outputChannelCount が指定されていない場合は、すべての出力はモノラルになります。

1.33.4. AudioWorkletProcessor インターフェイス

このインターフェイスは、オーディオ レンダリングスレッド で実行されるオーディオ処理コードを表します。それは AudioWorkletGlobalScope 内に存在し、クラスの定義は、カスタムオーディオノードの実際のオーディオ処理メカニズムを明示します。AudioWorkletProcessor は、AudioWorkletNode のインスタンスの生成によってのみインスタンス化できます。各 AudioWorkletProcessor は、関連するノード参照を持っており、最初は null になっています。

[Exposed=AudioWorklet,
Constructor (optional AudioWorkletNodeOptions options)]
interface AudioWorkletProcessor {
  readonly attribute MessagePort port;
};
1.33.4.1. コンストラクタ
AudioWorkletProcessor(options)

AudioWorkletProcessor のコンストラクタが呼び出されると、次の手順が実行されます:

  1. NewTarget の値を active function object と比較します。2 つが等しい場合は、TypeError 例外が発生します。

    注:このチェックは、JavaScript からコンストラクタを直接呼び出す事を防ぎます。インターフェイスオブジェクトは、UA によって内部的にのみ呼び出されます。

  2. AudioWorkletNode のコンストラクタに渡された options ディクショナリの内容を使用して、AudioWorkletProcessor を初期化します。このディクショナリの内容は、AudioWorkletProcessor をインスタンス化するアルゴリズムに従ってシリアル化およびデシリアライズされます。

    注意AudioWorkletProcessor の基本的な実装では、options ディクショナリの値は検査されません。しかし、AudioWorkletProcessor を拡張するプロセッサクラスは、このディクショナリの特定のノードタイプに関するオプションに基づいて初期化を行います。

AudioWorkletProcessor.AudioWorkletProcessor() メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
options AudioWorkletNodeOptions 初期化のカスタマイズのためのユーザー指定のディクショナリ。
1.33.4.2. 属性
port, MessagePort 型, readonly

すべての AudioWorkletProcessor には、MessagePort 型の関連付けられた port を持っています。これは対応する AudioWorkletProcessor オブジェクトのポートに接続され、AudioWorkletNodeAudioWorkletProcessor のペア間の双方向通信を可能にします。

1.33.4.3. メソッド

ユーザーは、AudioWorkletProcessor を拡張することによって、独自のオーディオプロセッサを定義できます。このサブクラスは、オーディオ処理アルゴリズムを実装したprocess() という名前のメソッドと、 parameterDescriptors という名前の有効な静的プロパティを定義しなくてはなりません ( MUST )。これは、AudioParamDescriptor のイテラブルで、AudioWorkletProcessor のコンストラクタによって、ノード内の maplike ストレージ、parametersAudioParam のインスタンスを作成するために参照されます。 registerProcessor()プロトタイプ型チェックステッププロセスメソッド呼び出し可能チェックステップ は与えられた AudioWorkletProcessor サブクラスの有効性を保証するためのステップです。

process(inputs, outputs, parameters)

AudioWorkletProcessor のオーディオ処理アルゴリズムを実装します。

process() メソッドは、次のアクティブな処理条件のいずれかが真である場合、レンダリング量子 ごとにオーディオ レンダリングスレッド によって同期的に呼び出されます:

  1. 対応する AudioWorkletProcessorアクティブソース フラグが true

  2. AudioWorkletNode に、1 つ以上の接続された入力がある

このメソッドの戻り値は、AudioWorkletProcessor と対になる AudioWorkletNode のライフタイムを制御します。process() メソッドの各呼び出しの終わりに、ToBoolean ( [ECMASCRIPT] で説明 ) が戻り値に適用され、その結果が関連付けられた AudioWorkletProcessor の アクティブソース フラグに割り当てられます。これは、その後の process() の呼び出しが発生するかどうかに影響し、ノードのライフタイムに影響を与えます。 このフラグの変化を伝播するため、制御スレッドで、対応する AudioWorkletNodestate プロパティを更新するタスクをキューに入れます

このライフタイムポリシーは、次のような組み込みノードに見られるさまざまなアプローチをサポートします:
  • 入力された信号を変換するノードで、接続された入力またはスクリプト参照が存在する間だけアクティブなノード。このようなノードではprocess()から false を返します。これによって、接続された入力の有無によってアクティブな処理が起こるかどうかを決定します。

  • 入力された信号を変換するが、入力が切断された後も tail-time の間だけアクティブのままになるノード。この場合、process() は、inputs がゼロのチャンネルが含まれていることが判明してからしばらくの間、true を返さなくてはなりません。このテールタイム間隔の開始と終了を測定するために、現在の時間をグローバルスコープの currentTime から取得するか、またはプロセッサの内部状態に応じて動的に時間間隔を計算することができます。

  • 出力のソースとして機能するノードの場合、通常はライフタイムを持っています。そのようなノードでは、process() から出力を生成しなくなるまで true を返します。

前述の定義は、process() の実装が戻り値を返さない場合、false を返すことと同じであることを示しています ( 実効的に戻り値が undefined になるので )。これは、アクティブな入力がある場合にのみアクティブになる AudioWorkletProcessor としては妥当な動作になります。

一定区間のレンダリング量子で適用可能な アクティブな処理条件 がなく、process() が呼び出されない場合、結果としてはプロセッサがこの期間にわたって無音を出力したかのようになります。

AudioWorkletProcessor.process(inputs, outputs, parameters)) メソッドの引数
パラメーター Null可 省略可 説明
inputs ユーザーエージェントによって供給される入力接続からの入力オーディオバッファーです。<sequence<sequence<Float32Array>> ( 訳注: 先頭の<は不要です ) の型を持ちます。inputs[n][m] は、\(n\) 番目の入力の \(m\) 番目のチャンネルのオーディオサンプルの Float32Array です。入力の数はコンストラクト時に固定されますが、チャンネルの数は computedNumberOfChannels に基づいて動的に変更できます。

現在のレンダリング量子の間、ノードの \(n\) 番目の入力に接続が存在しない場合、inputs[n] の内容は空の配列であり、0 チャンネルの入力が利用可能であることを示します。これは、inputs[n] の要素数をゼロにすることができる唯一の状況です。

outputs ユーザーエージェントが消費する出力オーディオバッファーです。<sequence<sequence<Float32Array>> ( 訳注: 先頭の<は不要です ) の型を持ちます。outputs[n][m] は、\(n\) 番目の出力の \(m\) 番目のチャンネルのオーディオサンプルを含む Float32Array オブジェクトです。ノードが単一の出力を持つ場合にのみ、出力のチャンネル数は computedNumberOfChannels と一致します。
parameters 文字列キーと関連付いた Float32Array のマップです。parameters["name"] は、"name" という名前の AudioParam のオートメーション値に対応します。

それぞれの配列は、レンダリング量子 内のすべてのフレームに対応する computedValue またはパラメーターが格納されます。ただし、このレンダリング量子の間にオートメーションがスケジューリングされていない場合、レンダリング量子 内の AudioParam の定数値を持つ長さ 1 の配列になります。

戻り値: boolean
1.33.4.4. AudioParamDescriptor

AudioParamDescriptor ディクショナリは、AudioWorkletNode で使用される AudioParam オブジェクトのプロパティを指定するために使用されます。

dictionary AudioParamDescriptor {
  required DOMString name;
  float defaultValue = 0;
  float minValue = -3.4028235e38;
  float maxValue = 3.4028235e38;
  AutomationRate automationRate = "a-rate";
};
1.33.4.4.1. ディクショナリ AudioParamDescriptor メンバー
automationRate, AutomationRate 型, デフォルトは "a-rate"

デフォルトのオートメーション速度を表します。

defaultValue, float 型, デフォルトは 0

パラメーターのデフォルト値を表します。この値が float データ型の範囲外または minValue および maxValue で定義された範囲外の場合、NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。

maxValue, float 型, デフォルトは 3.4028235e38

最大値を表します。この値が float データ型の範囲外であるか、minValue より小さい場合、NotSupportedError 例外を発生します ( MUST )。この値 ( 訳注:デフォルト値 ) は、正の最大単精度浮動小数点数です。

minValue, float 型, デフォルトは -3.4028235e38

最小値を表します。この値が float データ型の範囲外であるか、maxValue より大きい場合、NotSupportedError 例外が発生します ( MUST )。この値 ( 訳注:デフォルト値 ) は、負の最大単精度浮動小数点数です。

name, DOMString

パラメーターの名前を表します。クラス定義を登録する際に重複した名前が見つかると、NotSupportedError 例外が発生します ( MUST )。

1.33.5. AudioWorkletNode AudioWorkletProcessor のインスタンス化

AudioWorkletNode のコンストラクタがメイングローバルスコープで呼び出されると、対応する AudioWorkletProcessor のインスタンスが AudioWorkletGlobalScope に自動的に作成されます。生成後、AudioWorkletNode インスタンスが破棄されるまで、内部参照は互いに維持されます。

これらの 2 つのオブジェクトのインスタンス化は、制御スレッドとレンダリングスレッドにまたがることに注意してください。

AudioWorkletNode(context, nodeName, options) コンストラクタが呼び出されると、ユーザーエージェントはコンストラクタが呼び出された制御スレッド上で次の手順を実行しなければなりません ( MUST )。
  1. nodeAudioWorkletNode またはそのサブクラスのコンストラクタによって作成されるインスタンスとします。

  2. nodeNameBaseAudioContext の 「ノード名-パラメーター記述子マップ」のキーとして存在しない場合は、NotSupportedError 例外を発生し、これらの手順を中止します。

  3. messageChannel を新しい MessageChannel とします。

  4. nodePortmessageChannelport1 属性の値とします。

  5. processorPortOnThisSidemessageChannelport2 属性の値とします。

  6. processorPortSerializationStructuredSerializeWithTransfer(processorPortOnThisSide, « processorPortOnThisSide ») とします。

  7. optionsSerializationStructuredSerialize ( options ) とします。

  8. nodeportnodePort に設定します。

  9. parameterDescriptors を 「ノード名-パラメーター記述子マップ」 から nodeName を取得した結果とします:

    1. audioParamMap を新しい AudioParamMap オブジェクトとします。

    2. parameterDescriptors の各 descriptor について:

      1. paramNamedescriptorname の値とします。

      2. audioParam を新しい AudioParam のインスタンスとします。

      3. audioParamMap のエントリに (paramName, audioParam) を追加します。

    3. paramNameInOptionoptionsvalue について:

      1. audioParamMap 内に paramNameInOption と等しい name メンバーを持つエントリが存在する場合、その AudioParam の値を value に設定します。

      2. paramNameInOption は次の場合、無視されます:

        • audioParamMap には、同じ名前のメンバーを持つエントリはありません。

        • valueNumber 型ではないか、AudioParamDescriptor で指定されている範囲外です。

    4. nodeparametersaudioParamMap に設定します。

  10. 与えられた nodeNameprocessorPortSerializationoptionsSerialization、および node を使用して、AudioWorkletProcessor を作成するための制御メッセージをキューに入れます

  11. node を返します。

文字列 nodeName、シリアル化レコード processorPortSerializationAudioWorkletNode node を指定して AudioWorkletProcessor を生成するための制御メッセージを処理するには、次の手順を レンダリングスレッド で実行します。 これらのステップのいずれかで例外が ( 明示的または暗黙的に ) 発生すると、残りのステップを中止し、タスクを 制御スレッド のキューに入れて、onprocessorerror イベントを node に送信します。
  1. processorPortStructuredDeserializeWithTransfer(processorPortSerialization, currentRealm) とします。

  2. optionsStructuredDeserialize(optionsSerialization, currentRealm)とします。

  3. processorConstructor を、AudioWorkletGlobalScope の「ノード名-プロセッサ定義マップ」で nodeName を参照した結果とします。

  4. processorConstructorundefined の場合は、NotSupportedError DOM 例外を発生します。

  5. processor を Construct(processorConstructor, « options ») の結果とします。

  6. processorAudioWorkletProcessor インターフェイスを実装していない場合は、InvalidStateError DOM 例外を発生します。

  7. processorportprocessorPort に設定します。

  8. processorノード参照node に設定します。

  9. nodeプロセッサー参照processor に設定します。

  10. タスクを 制御スレッド のキューに入れ、関連付けられた AudioWorkletNode の状態を running 設定し、その後 statechange イベントを発生させます。

1.33.6. AudioWorklet Sequence of Events

次の図は、AudioWorklet に関連して発生する理想的なイベントのシーケンスを示しています:

AudioWorklet シーケンス

この図に示す手順は、AudioContext および関連する AudioWorkletGlobalScope の作成、それに続く AudioWorkletNode およびその関連する AudioWorkletProcessor の作成を含む 1 つの可能なイベントシーケンスです。

  1. AudioContext が作成されます。

  2. メインスコープでは、context.audioWorklet にスクリプトモジュールの追加が要求されます。

  3. AudioWorkletGlobalScope がまだ存在しないため、新しくコンテキストに関連付けられて作成されます。これは、AudioWorkletProcessor クラスの定義が評価されるグローバルスコープになります。( その後の呼び出しでは、このあらかじめ作成されたスコープが使用されます )。

  4. インポートされたスクリプトは、新しく作成されたグローバルスコープで実行されます。

  5. インポートされたスクリプトの実行の一環として、AudioWorkletProcessor は、AudioWorkletGlobalScope 内のキー ( 上図の「"custom"」 ) の下に登録されます。これにより、グローバルスコープと AudioContext の両方にマップが設定されます。

  6. addModule() 呼び出しの promise 約束が解決されます。

  7. メインスコープでは、AudioWorkletNode がユーザーが指定したキーとオプションのディクショナリを使って作成されます。

  8. ノードの作成の一環として、このキーはインスタンス化のために正しい AudioWorkletProcessor サブクラスを参照するために使用されます。

  9. AudioWorkletProcessor サブクラスのインスタンスは、同じオプションディクショナリの構造化された複製を持ってインスタンス化されます。このインスタンスは、既に作成された AudioWorkletNode とペアになっています。

1.33.7. AudioWorklet の例

1.33.7.1. ビットクラッシャーノード

ビットクラッシャーは、サンプル値を量子化する ( 低いビット深度をシミュレートする ) こと、および時間分解能を量子化すること ( より低いサンプルレートをシミュレートする ) の両方によってオーディオストリームの品質を低下させるメカニズムです。この例では、AudioWorkletProcessor 内で AudioParam ( この場合、a-rate として扱います ) を使用する方法を示します。

let context = new AudioContext();context.audioWorklet.addModule('bitcrusher.js').then(() => {  let context = new AudioContext();  let osc = new OscillatorNode(context);  let amp = new GainNode(context);  // Create a worklet node. 'BitCrusher' identifies the  // AudioWorkletProcessor previously registered when  // bitcrusher.js was imported. The options automatically  // initialize the correspondingly named AudioParams.  let bitcrusher = new AudioWorkletNode(context, 'BitCrusher', {    bitDepth: 8,    frequencyReduction: 0.5  });  osc.connect(bitcrusher).connect(amp).connect(context.destination);  osc.start();});
registerProcessor('BitCrusher', class extends AudioWorkletProcessor {  static get parameterDescriptors () {    return [{      name: 'bitDepth',      defaultValue: 12,      minValue: 1,      maxValue: 16    }, {      name: 'frequencyReduction',      defaultValue: 0.5,      minValue: 0,      maxValue: 1    }];  }  constructor (options) {    // We don’t need to look at options: only AudioParams are initialized,    // which were taken care of by the node.    super(options);    this._phase = 0;    this._lastSampleValue = 0;  }  process (inputs, outputs, parameters) {    let input = inputs[0];    let output = outputs[0];    let bitDepthLength = parameters.bitDepth.length;    let reductionLength = parameters.frequencyReduction.length;    if (bitDepthLength > 1) {      // General case      for (let channel = 0; channel < output.length; ++channel) {        for (let i = 0; i < output[channel].length; ++i) {          let step = Math.pow(0.5, bitDepth[i]);          // Use modulo for indexing to handle the case where          // the length of the frequencyReduction array is 1.          this._phase += frequencyReduction[i % reductionLength];          if (this._phase >= 1.0) {            this._phase -= 1.0;            this._lastSampleValue =              step * Math.floor(input[channel][i] / step + 0.5);          }          output[channel][i] = this._lastSampleValue;        }      }    } else {      // Because we know bitDepth is constant for this call,      // we can lift the computation of step outside the loop,      // saving many operations.      let step = Math.pow(0.5, bitDepth[0]);      for (let channel = 0; channel < output.length; ++channel) {        for (let i = 0; i < output[channel].length; ++i) {          this._phase += frequencyReduction[i % reductionLength];          if (this._phase >= 1.0) {            this._phase -= 1.0;            this._lastSampleValue =              step * Math.floor(input[channel][i] / step + 0.5);          }          output[channel][i] = this._lastSampleValue;        }      }    }    // No need to return a value; this node’s lifetime is dependent only on its    // input connections.  }});

注意:AudioWorkletProcessor クラスの定義では、プログラマーが提供するコンストラクタが JavaScript のリターンオーバーライド機能を使用したり、または super() を正しく呼び出さないと InvalidStateError 例外が発生します。

1.33.7.2. VU メーターノード

この単純なサウンドレベルメーターの例は、ネイティブ AudioNode のように動作し、コンストラクターオプションを受け入れ、AudioWorkletNodeAudioWorkletProcessor の間のスレッド間通信 ( 非同期 ) をカプセル化する AudioWorkletNode サブクラスを作成する方法を示しています。このノードは出力を使用しません。

class VUMeterNode extends AudioWorkletNode {  constructor (context, options) {    // Setting default values for the input, the output and the channel count.    options.numberOfInputs = 1;    options.numberOfOutputs = 0;    options.channelCount = 1;    options.updatingInterval = options.hasOwnProperty('updatingInterval')      ? options.updatingInterval      : 100;    super(context, 'VUMeter', options);    // States in AudioWorkletNode    this._updatingInterval = options.updatingInterval;    this._volume = 0;    // Handles updated values from AudioWorkletProcessor    this.port.onmessage = event => {      if (event.data.volume)        this._volume = event.data.volume;    }    this.port.start();  }  get updatingInterval() {    return this._updatingInterval;  }  set updatingInterval (intervalValue) {    this._updatingInterval = intervalValue;    this.port.postMessage({ updatingInterval: intervalValue });  }  draw () {    /* Draw the meter based on the volume value. */  }}// The application can use the node when this promise resolves.let context = new AudioContext();let importAudioWorkletNode = context.audioWorklet.addModule('vumeterprocessor.js');
registerProcessor('VUMeter', class extends AudioWorkletProcessor {  static meterSmoothingFactor = 0.9;  static meterMinimum = 0.00001;  constructor (options) {    super(options);    this._volume = 0;    this._updatingInterval = options.updatingInterval;    this._nextUpdateFrames = this.interval;    this.port.onmessage = event => {      if (event.data.updatingInterval)        this._updatingInterval = event.data.updatingInterval;    }    this.port.start();  }  get interval () {    return this._updatingInterval / 1000 * sampleRate;  }  process (inputs, outputs, parameters) {    // Note that the input will be down-mixed to mono; however, if no inputs are    // connected then zero channels will be passed in.    if (inputs[0].length > 0) {      let buffer = inputs[0][0];      let bufferLength = buffer.length;      let sum = 0, x = 0, rms = 0;      // Calculated the squared-sum.      for (let i = 0; i < bufferLength; ++i) {        x = buffer[i];        sum += x * x;      }      // Calculate the RMS level and update the volume.      rms = Math.sqrt(sum / bufferLength);      this.volume = Math.max(rms, this._volume * meterSmoothingFactor);      // Update and sync the volume property with the main thread.      this._nextUpdateFrame -= bufferLength;      if (this._nextUpdateFrame < 0) {        this._nextUpdateFrame += this.interval;        this.port.postMessage({ volume: this._volume });      }    }    // Keep on processing if the volume is above a threshold, so that    // disconnecting inputs does not immediately cause the meter to stop    // computing its smoothed value.    return this._volume >= meterMinimum;  }});
<script src="vumeternode.js"></script><script>  importAudioWorkletNode.then(() => {    let context = new AudioContext();    let oscillator = new Oscillator(context);    let vuMeterNode = new VUMeterNode(context, { updatingInterval: 50 });    oscillator.connect(vuMeterNode);    function drawMeter () {      vuMeterNode.draw();      requestAnimationFrame(drawMeter);    }    drawMeter();  });</script>

2. 処理モデル

2.1. 背景

低レイテンシーを必要とするリアルタイムオーディオシステムでは、しばしばコールバック関数を使用して実装されることがあります。コールバック関数は、再生が中断されないように、オーディオを処理する必要がある場合にオペレーティングシステムがプログラムを呼び出します。このようなコールバックは、優先度の高いスレッド ( 多くの場合、システム上で最優先 ) で呼び出されます。つまり、オーディオを扱うプログラムは、このコールバックからのみ実行され、レンダリングスレッドとコールバックの間のバッファリングによって必然的にレイテンシーが増加され、そうしないとシステムのグリッチに対する耐性が低下します。

この理由で、スレッドが連続的に実行されていない Web プラットフォーム上の伝統的な非同期処理の実行方法、つまりイベントループはここでは有効ではありません。さらに、従来の実行コンテキスト ( Window や Worker ) では、多くの不必要で潜在的なブロッキング操作が利用できますが、これは許容できるレベルのパフォーマンスを実現するには望ましい事ではありません。

さらに、Worker モデルではスクリプトの実行コンテキストがそれぞれ必要な専用スレッドを作成しますが、すべての AudioNode は通常同じ実行コンテキストを共有します。

注:このセクションでは、どのように実装しなくてはならないかではなく、最終的な結果がどのように見えるかを指定します。特に、メモリー処理の順序が入れ変わってしまわない限り、実装はメッセージキューを使用する代わりに、スレッド間の共有メモリーを使用してかまいません。

2.2. 制御スレッドとレンダリングスレッド

Web Audio APIは、制御スレッドレンダリングスレッド を使用して実装しなければなりません ( MUST )。

制御スレッドは、AudioContext がインスタンス化されるスレッドであり、開発者はオーディオグラフを操作します。つまり、BaseAudioContext の操作が呼び出される場所です。レンダリングスレッドは、制御スレッド からの呼び出しに応じて実際のオーディオ出力が処理されるスレッドです。これは、AudioContext のオーディオを処理する場合はリアルタイムのコールバックベースのオーディオスレッドであり、OfflineAudioContext を使用してレンダリングおよびオーディオグラフ処理をオフラインで行う場合は通常のスレッドになります。

制御スレッド は、[HTML] で説明されているような伝統的なイベントループを使用します。

レンダリングスレッド は、このセクションの オーディオグラフのレンダリング で説明されている特殊なレンダリングループを使用します。

制御スレッド から レンダリングスレッド への通信は、制御メッセージの受け渡しを使用して行われます。逆方向の通信は、通常のイベントループタスクを使用して行われます。

AudioContext には、制御スレッド で実行中の制御メッセージのリストである単一の制御メッセージキューがあります。

制御メッセージをキューに入れる事は、AudioContext制御メッセージキュー の最後にメッセージを追加することを意味します。

制御メッセージキュー 内の 制御メッセージ は、挿入した時間順に並んでいます。したがって、最も古いメッセージは、制御メッセージキュー の先頭にあるメッセージです。

制御メッセージキュー QA を別の制御メッセージキュー QB入れ替えることは、以下の手順を実行することを意味します:
  1. QC を新しい空の 制御メッセージキュー とします。

  2. QA のすべての 制御メッセージQC に移動します。

  3. QB のすべての 制御メッセージQA に移動します。

  4. QC のすべての制御メッセージQB に移動します。

注:たとえば、AudioBufferSourceNode sourcestart() の呼び出しに成功すると、AudioContext source.context制御メッセージキュー制御メッセージ が追加されます。

2.3. 非同期処理

AudioNode のメソッドを呼び出すことは事実上非同期であり、同期部分と非同期部分の 2 つのフェーズで行わなければなりません ( MUST )。各メソッドについて、実行の一部は 制御スレッド で発生します ( たとえば、パラメーターが無効な場合は例外を発生します )。また一部は レンダリングスレッド で ( たとえば AudioParam の値を変更するなど ) 発生します。

AudioNodeAudioContext の各処理の説明では、同期処理のセクションには ⌛ が付いています。他のすべての処理は、[HTML] で説明されているように、 並列 に実行されます。

同期セクションは 制御スレッド 上で、直ちに実行されます。もし失敗した場合は、メソッドの実行が中止され、おそらく例外を発生します。成功した場合は、レンダリングスレッド 上で実行される処理を指示する 制御メッセージ が、この レンダリングスレッド制御メッセージキュー に入れられます。

同期および非同期セクションの他のイベントに対する順序は同じでなくてはなりません ( MUST ): つまり 2 つの処理 AB がそれぞれ同期と非同期のセクション ASyncAAsyncBSyncBAsync を持っている場合、AB より先に発生したのであれば ASyncBSync の前に発生し、AAsyncBAsync の前に発生します。言い換えれば、同期セクションと非同期セクションの入れ替えはできません。

2.4. オーディオグラフのレンダリング

オーディオグラフのレンダリングは、128 サンプルフレームのブロック単位で行われます。128 サンプルフレームのブロックは、レンダリング量子と呼ばれ、レンダリング量子のサイズは 128 です。

特定のスレッドでアトミックに発生する処理は、別のスレッドで他の アトミック 処理が実行されていない場合にのみ実行できます。

制御メッセージキュー Q を持った AudioContext G からのオーディオブロックをレンダリングするためのアルゴリズムは、複数のステップから構成されます。これは グラフをレンダリング するアルゴリズムにおいて、後でさらに詳細に説明します。

実際には、AudioContext レンダリングスレッド は、アイソクロナス方式で実行されるシステムレベルのオーディオコールバックから実行されることがよくあります。このコールバックは、出力されるオーディオで満たされなければならないバッファーを渡します。バッファーのサイズは、しばしばレンダリング量子よりも大きくなります。この場合、レンダリングアルゴリズムの複数の呼び出しは、同じコールバック内で急速に連続して呼び出されてから返されます。しばらくすると、元のオーディオシステムが再びコールバックを呼び出し、アルゴリズムが再び実行されます。これは、レイテンシーへの影響を除けば、観測のできない実装の詳細です。

OfflineAudioContext では、lengthで指定されたフレーム数がレンダリングされるまで、アルゴリズムを連続的に実行します。

システムレベルのオーディオコールバックは、制御メッセージキュー 内のタスクとしてキューに入れられます。UA は、次のアルゴリズムを実行して、要求されたバッファーサイズを満たすことによって必要なレンダリングを処理するタスクを実行しなければなりません ( MUST )。プライマリメッセージキューに加えて、レンダリングスレッド には、AudioWorkletGlobalScopePromise の解決など、マイクロタスク処理のためのマイクロタスク用の別のタスクキューがあります。

レンダリングのループが始まる前に、次の手順を一度実行する必要があります ( MUST )。
  1. BaseAudioContext の内部スロット [[current frame]] を 0 に設定します。また、currentTime を 0 に設定します。

  1. render resultfalse にします。

  2. 制御メッセージキュー を処理します。

    1. Qrendering を空の 制御メッセージキュー とします。Qrendering を現在の 制御メッセージキューアトミックスワップ します。

    2. Qrendering にメッセージがある間、次の手順を実行します:

      1. Qrendering最も古いメッセージ の非同期セクションを実行します。

      2. Qrendering最も古いメッセージ を削除します。

  3. レンダリング量子を処理します。

    1. AudioContextレンダリングスレッドの状態running でない場合は false を返します。

    2. 処理される AudioContextAudioNode に指示します。

      1. ordered node listAudioNode の空のリストにします。ここにはこのオーダリングアルゴリズムが終了すると、AudioNode の順序付きリストが格納されます。

      2. nodes を、この AudioContext によって作成され、まだ生きているすべてのノードのセットとします。

      3. cycle breakersDelayNode の空のセットにします。ここには循環の一部になっているすべての DelayNode が含まれます。

      4. nodes 内の各AudioNode node に対して:

        1. もしノードが循環の一部である DelayNode の場合は、そのノードを cycle breakers に追加し、nodes から除去します。

      5. もし nodes に循環が含まれている場合、この循環に含まれるすべての AudioNodeミュート し、nodes から削除します。

      6. nodes にマークされていない AudioNode がある間:

        1. nodes 内の AudioNode ノードを選択します。

        2. ノードを 巡回 します。

        ノードの巡回 は次のステップの実行を意味します:
        1. もしノードがマークされていたならば、この手順を中止します。

        2. ノードをマークします。

        3. ノードの入力に接続されている各 AudioNode巡回 します。

      7. ノードを ordered node list の先頭に加えます。

      8. ordered node list の順序を反転します。

    3. 循環内の各 DelayNode に対して、DelayNode バッファーからオーディオブロックを 読み込み可能 にします。

    4. このブロックの AudioListenerAudioParam値を計算 します。

    5. AudioNode について、以前に決定された順序で:

      1. この AudioNodeAudioParam に対して、以下の手順を実行します:

        1. この AudioParamAudioNode が接続されている場合は、この AudioParam に接続されているすべての AudioNode読み込み可能 なバッファーを 合計 し、得られたバッファーをモノラルチャンネルに ダウンミックス し、このバッファーを 入力 AudioParam バッファーとして呼び出します。

        2. このブロックでのこの AudioParam値を計算 します。

        3. この AudioParam[[current value]] スロットを前のステップで計算された最後の値に設定する制御メッセージをキューに入れます

      2. この AudioNode に入力に AudioNode が接続されている場合は、この AudioNode に接続されているすべての AudioNode読み込み可能 なバッファーを 合計 します。結果のバッファーは入力バッファーと呼ばれます。この AudioNode の入力チャンネル数が一致する場合は、それを アップまたはダウンミックス します。

      3. この AudioNodeソースノード である場合は、オーディオブロックを計算 し、読み込み可能 にします。

      4. この AudioNodeAudioWorkletNode の場合、関連する AudioWorkletProcessorprocess() メソッドを呼び出して、入力バッファー、出力バッファー、および入力 AudioParam バッファー の引数で オーディオブロックを計算 します。

        1. プロセスメソッドの実行中に解決された Promise は、AudioWorkletGlobalScope のマイクロタスクキューに入れられます。

      5. そうでなければ、この AudioNodeデスティネーションノード であれば、この AudioNode入力を記録 する。

      6. それ以外の場合は、入力バッファー処理 し、結果のバッファーを 読み込み可能 にします。

    6. 次の手順を アトミック に実行します:

      1. レンダリング量子サイズ[[current frame]] をインクリメントします。

      2. currentTime[[current frame]]sampleRate で割った値に設定します。

    7. render resulttrue にセットします。

  4. >マイクロタスクのチェックポイント を実行します。

  5. render result を返します。

AudioNodeミュートするということは、このオーディオブロックのレンダリングで、その出力が無音になることを意味します ( MUST )。

AudioNode からバッファーを読み込み可能にすることは、この AudioNode に接続されている他の AudioNode から安全に読み込める状態にすることを意味します。

注:たとえば、実装では新しいバッファーを割り当てるか、現在使用されていない既存のバッファーを再利用してより精巧なメカニズムを選択することもできます。

AudioNode入力を記録することは、この AudioNode の入力データを将来の使用のためにコピーすることを意味します。

オーディオブロックを計算するということは、この AudioNode のアルゴリズムを実行して 128 のサンプルフレームを生成することを意味します。

入力バッファーを処理するということは、このアルゴリズムの入力としてこの AudioNodeAudioParam の値と 入力バッファー を使用して AudioNode のアルゴリズムを実行することを意味します。

3. ミキサーゲイン構成

3.1. 背景

オーディオ処理グラフについて考えるときに重要な事の一つが、各ポイントにおけるゲイン ( 音量 ) をどのように調整するかです。例えば、標準的なミキサー卓モデルの場合、それぞれの入力バスは、プリゲイン、ポストゲイン、センドゲインを持っています。サブミックスとマスター出力バスもまたゲインコントロールを持っています。ここで述べるゲインコントロールは他のアーキテクチャーと同じように標準的なミキサー卓に使用する事ができます。

3.2. Summing Inputs

AudioNode の入力は複数の出力からの接続を受け付ける能力を持っています。入力はそれぞれの出力を他と足し合わせる、ユニティー・ゲインのサミング接続として振舞います ( 訳注:複数の信号をそのまま足し合わせる事を指します )。:

unity gain summing junction
ソース 1 とソース 2 がディスティネーションの入力で足し合わされて出力されるグラフ

各出力のチャンネルレイアウトが一致しない場合は、ミキシング規則 に従ってミックス ( 通常はアップミックス ) が行われます。

オーディオグラフ中ではダイナミックレンジを最大化するため AudioNode の入力または出力にはクリッピングは適用されません。

3.3. ゲインコントロール

多くの場合、それぞれの出力信号のゲインを制御できる事が重要です。GainNode によってこのコントロールが可能です:

それぞれのボイスに音量制御を付加したグラフ

ユニティー・ゲイン・サミング接続と GainNode という 2 つの概念を使う事で、簡単な、あるいは複雑なミキシングのシナリオを構成する事が可能です。

3.4. 例: センドバス付ミキサー

複数のセンドとサブミックスを含むルーティングのシナリオでは、ミキサーへのそれぞれの接続について音量または "ゲイン" のわかりやすい制御が必要です。基本的なレコーディングスタジオに置かれている電子機器の一番単純なものでさえ、そのようなルーティング・トポロジーは非常に一般的に使われます。

これは 2 つのセンド・ミキサーと 1 つののメインミキサーの例です。単純化のため、プリゲインコントロールとインサート・エフェクトは、可能ではありますが図示していません。:

センドバス付きミキサーの全体のグラフ

この図では省略した書き方を使っています。"send 1"、"send 2"、"main bus" は実際には AudioNode に入力されますがここではサミングバスとして書かれており、交点にある g2_1、g3_1、などが、あるミキサー上のあるソースの "ゲイン" または音量を表します。このゲインをコントロールするために GainNode が使われます。:

上の図を JavaScript で構築したものがこれになります:

var context = 0;var compressor = 0;var reverb = 0;var delay = 0;var s1 = 0;var s2 = 0;var source1 = 0;var source2 = 0;var g1_1 = 0;var g2_1 = 0;var g3_1 = 0;var g1_2 = 0;var g2_2 = 0;var g3_2 = 0;// Setup routing graphfunction setupRoutingGraph() {    context = new AudioContext();    compressor = context.createDynamicsCompressor();    // Send1 effect    reverb = context.createConvolver();    // Convolver impulse response may be set here or later    // Send2 effect    delay = context.createDelay();    // Connect final compressor to final destination    compressor.connect(context.destination);    // Connect sends 1 & 2 through effects to main mixer    s1 = context.createGain();    reverb.connect(s1);    s1.connect(compressor);    s2 = context.createGain();    delay.connect(s2);    s2.connect(compressor);    // Create a couple of sources    source1 = context.createBufferSource();    source2 = context.createBufferSource();    source1.buffer = manTalkingBuffer;    source2.buffer = footstepsBuffer;    // Connect source1    g1_1 = context.createGain();    g2_1 = context.createGain();    g3_1 = context.createGain();    source1.connect(g1_1);    source1.connect(g2_1);    source1.connect(g3_1);    g1_1.connect(compressor);    g2_1.connect(reverb);    g3_1.connect(delay);    // Connect source2    g1_2 = context.createGain();    g2_2 = context.createGain();    g3_2 = context.createGain();    source2.connect(g1_2);    source2.connect(g2_2);    source2.connect(g3_2);    g1_2.connect(compressor);    g2_2.connect(reverb);    g3_2.connect(delay);    // We now have explicit control over all the volumes g1_1, g2_1, ..., s1, s2    g2_1.gain.value = 0.2; // For example, set source1 reverb gain    // Because g2_1.gain is an "AudioParam",    // an automation curve could also be attached to it.    // A "mixing board" UI could be created in canvas or WebGL controlling these gains.}

4. 動的ライフタイム

4.1. 背景

このセクションは非基準情報です。基準情報としての要求事項については AudioContext のライフタイム および AudioNode のライフタイム を参照してください。

静的なルーティング設定の構築が可能である事に加えて、動的に割り当てられて限られたライフタイムを持つ「ボイス」に対して特別なエフェクトのルーティングを行う事が可能である必要があります。この議論のためにこれらの短期間だけ存在する音を "ノート" と呼びます。多くのオーディオアプリケーションがこのノートという考え方を組み込んでおり、例として、ドラムマシン、シーケンサー、多くのワンショットの音がゲームプレイに従ってトリガーされる 3D ゲームがあります。

従来のソフトウェアシンセサイザーでは、ノートは使用可能なリソースのプールから動的に割り当てられ、解放されます。ノートは MIDI ノートオン・メッセージを受信すると割り当てられます。それはそのノートが発音を終了するか、( もしループ再生でなければ ) サンプルデータの終わりに達したときに解放されます。それは、エンベロープで値が 0 のサスティンフェーズに達したり、MIDI ノートオフ・メッセージによってエンベロープのリリースフェーズに達したりする事で発生します。MIDI ノートオフの場合には、そのノートは即時ではなく、リリースエンベロープが終了した時点で解放されます。どの時間においても、多数のノートが再生中であり、常に新しいノートがルーティンググラフに追加され、古いノートが解放されながらそのノートの組は常に変化しています。

オーディオシステムはそれぞれの "ノート" イベントに対して、ルーティンググラフの一部分の切り落としを自動的に行います。1 つの "ノート" は 1 つの AudioBufferSourceNode で表され、それは直接、他の処理ノードに接続さする事ができます。ノートが再生を終了したとき、コンテキストは自動的にその AudioBufferSourceNode への参照を解放します。それによって、そのノードが接続されていた先のすべてのノードへの参照が解放され、という風に続きます。そのノードは自動的にグラフから切断され、すべての参照が無くなった時点で破棄されます。グラフ内の、長時間存在して動的なボイスから共有されるノードは明示的に管理する事ができます。複雑なように聞こえますが、これらはすべて、特別なハンドリングをする必要はなく、自動的に行われます。

4.2.

dynamic allocation
一部分だけが先にリリースされるグラフ

ローパスフィルター、パンナー、2 番目のゲインノードがワンショットの音から直接接続されています。そのため再生が終わったとき、コンテキストは自動的にそれら (点線内のすべて) を解放します。もしワンショットの音とそれに接続されているノードへの参照がもう無ければ、それらはすぐにグラフから外され破棄されます。ストリーミングのソースはグローバルな参照を持っており、それが明示的に切断されるまで接続されたままで残ります。JavaScript ではどうなるのかをここに示します:

var context = 0;var compressor = 0;var gainNode1 = 0;var streamingAudioSource = 0;// Initial setup of the "long-lived" part of the routing graphfunction setupAudioContext() {    context = new AudioContext();    compressor = context.createDynamicsCompressor();    gainNode1 = context.createGain();    // Create a streaming audio source.    var audioElement = document.getElementById('audioTagID');    streamingAudioSource = context.createMediaElementSource(audioElement);    streamingAudioSource.connect(gainNode1);    gainNode1.connect(compressor);    compressor.connect(context.destination);}// Later in response to some user action (typically mouse or key event)// a one-shot sound can be played.function playSound() {    var oneShotSound = context.createBufferSource();    oneShotSound.buffer = dogBarkingBuffer;    // Create a filter, panner, and gain node.    var lowpass = context.createBiquadFilter();    var panner = context.createPanner();    var gainNode2 = context.createGain();    // Make connections    oneShotSound.connect(lowpass);    lowpass.connect(panner);    panner.connect(gainNode2);    gainNode2.connect(compressor);    // Play 0.75 seconds from now (to play immediately pass in 0)    oneShotSound.start(context.currentTime + 0.75);}

5. チャンネルのアップミックスとダウンミックス

このセクションは基準情報です。

§3 ミキサーゲイン構成 では、AudioNode の入力が 1 つ以上の AudioNode の出力からどのように 接続されるかを記述しています。これらの出力からの接続のそれぞれは、0 以外の特定のチャンネル数を持っています。入力はそれらすべての接続のチャンネルを組み合わせるための、ミキシング規則を持っています。単純な例としては、もし入力がモノラル出力とステレオ出力から接続されている場合、そのモノラル接続は通常、ステレオにアップミックスされ、ステレオ接続と加算されます。しかしもちろん、すべての AudioNode のすべての入力について、その正確なミキシング規則を定義する事が重要です。すべての入力に対するデフォルトのミキシング規則は、特に非常に良く使われるモノラルとステレオのストリームに対しては、あまり詳細について煩わされる事なく "ちゃんと動作する" ように選ばれます。しかしもちろん、高度な使用例、特にマルチチャンネルの場合にはその規則は変更する事が可能です。

いくつかの用語の定義として、アップミックスは、小さなチャンネル数のストリームを受け取り、大きなチャンネル数のストリームに変換する処理を指します。ダウンミックスは、大きなチャンネル数のストリームを受け取り、小さなチャンネル数のストリームに変換する処理を指します。

AudioNode の入力はすべての出力からの接続をミックスする必要があります。この処理の一部として、任意の時刻における、入力の実際のチャンネル数を表す内部的な値、computedNumberOfChannels を計算します:

AudioNode のそれぞれの入力の実装は次のようにしなくてはなりません ( MUST ):
  1. computedNumberOfChannels を計算します。

  2. 入力へのそれぞれの接続に対して:

    1. 接続を、ノードの channelInterpretation 属性で与えられる ChannelInterpretation に従って computedNumberOfChannels にアップミックスまたはダウンミックスします。

    2. ( 他の接続からの ) ミックスされたストリームとミックスします。これは各接続の対応するそれぞれのチャンネルをそのままミックスします。

5.1. スピーカーチャンネル配置

channelInterpretation が "speakers" の場合、特定のチャンネル配置に対してのアップミックスおよびダウンミックスが定義されます。

モノラル ( 1 チャンネル )、ステレオ ( 2 チャンネル )、クワッド ( 4 チャンネル )、そして 5.1 ( 6 チャンネル ) がサポートされなくてはなりません ( MUST )。それ以外のチャンネル配置についてはこの仕様の将来のバージョンでサポートされるかもしれません。

5.2. チャンネルの順序

チャンネルの順序は次の表で定義されます。個々のマルチチャンネルのフォーマットには、間にあるすべてのチャンネルをサポートしていないものがあります ( MAY )。実装は、供給されたチャンネルを、以下に定義された順序で、存在しないチャンネルをスキップして割り当てなければなりません ( MUST )。

Order Label Mono Stereo Quad 5.1
0 SPEAKER_FRONT_LEFT 0 0 0 0
1 SPEAKER_FRONT_RIGHT 1 1 1
2 SPEAKER_FRONT_CENTER 2
3 SPEAKER_LOW_FREQUENCY 3
4 SPEAKER_BACK_LEFT 2 4
5 SPEAKER_BACK_RIGHT 3 5
6 SPEAKER_FRONT_LEFT_OF_CENTER
7 SPEAKER_FRONT_RIGHT_OF_CENTER
8 SPEAKER_BACK_CENTER
9 SPEAKER_SIDE_LEFT
10 SPEAKER_SIDE_RIGHT
11 SPEAKER_TOP_CENTER
12 SPEAKER_TOP_FRONT_LEFT
13 SPEAKER_TOP_FRONT_CENTER
14 SPEAKER_TOP_FRONT_RIGHT
15 SPEAKER_TOP_BACK_LEFT
16 SPEAKER_TOP_BACK_CENTER
17 SPEAKER_TOP_BACK_RIGHT

5.3. アップミックスのスピーカー配置

Mono up-mix:

  1 -> 2 : up-mix from mono to stereo
    output.L = input;
    output.R = input;

  1 -> 4 : up-mix from mono to quad
    output.L = input;
    output.R = input;
    output.SL = 0;
    output.SR = 0;

  1 -> 5.1 : up-mix from mono to 5.1
    output.L = 0;
    output.R = 0;
    output.C = input; // put in center channel
    output.LFE = 0;
    output.SL = 0;
    output.SR = 0;

Stereo up-mix:

  2 -> 4 : up-mix from stereo to quad
    output.L = input.L;
    output.R = input.R;
    output.SL = 0;
    output.SR = 0;

  2 -> 5.1 : up-mix from stereo to 5.1
    output.L = input.L;
    output.R = input.R;
    output.C = 0;
    output.LFE = 0;
    output.SL = 0;
    output.SR = 0;

Quad up-mix:

  4 -> 5.1 : up-mix from quad to 5.1
    output.L = input.L;
    output.R = input.R;
    output.C = 0;
    output.LFE = 0;
    output.SL = input.SL;
    output.SR = input.SR;

5.4. ダウンミックスのスピーカー配置

ダウンミックスは例えば 5.1 素材を処理しているが、ステレオで再生している場合などに必要になります。

Mono down-mix:

  2 -> 1 : stereo to mono
    output = 0.5 * (input.L + input.R);

  4 -> 1 : quad to mono
    output = 0.25 * (input.L + input.R + input.SL + input.SR);

  5.1 -> 1 : 5.1 to mono
    output = sqrt(0.5) * (input.L + input.R) + input.C + 0.5 * (input.SL + input.SR)

Stereo down-mix:

  4 -> 2 : quad to stereo
    output.L = 0.5 * (input.L + input.SL);
    output.R = 0.5 * (input.R + input.SR);

  5.1 -> 2 : 5.1 to stereo
    output.L = L + sqrt(0.5) * (input.C + input.SL)
    output.R = R + sqrt(0.5) * (input.C + input.SR)

Quad down-mix:

  5.1 -> 4 : 5.1 to quad
    output.L = L + sqrt(0.5) * input.C
    output.R = R + sqrt(0.5) * input.C
    output.SL = input.SL
    output.SR = input.SR

5.5. チャンネル規則の例

// Set gain node to explicit 2-channels (stereo).gain.channelCount = 2;gain.channelCountMode = "explicit";gain.channelInterpretation = "speakers";// Set "hardware output" to 4-channels for DJ-app with two stereo output busses.context.destination.channelCount = 4;context.destination.channelCountMode = "explicit";context.destination.channelInterpretation = "discrete";// Set "hardware output" to 8-channels for custom multi-channel speaker array// with custom matrix mixing.context.destination.channelCount = 8;context.destination.channelCountMode = "explicit";context.destination.channelInterpretation = "discrete";// Set "hardware output" to 5.1 to play an HTMLAudioElement.context.destination.channelCount = 6;context.destination.channelCountMode = "explicit";context.destination.channelInterpretation = "speakers";// Explicitly down-mix to mono.gain.channelCount = 1;gain.channelCountMode = "explicit";gain.channelInterpretation = "speakers";

6. オーディオ信号の値

どのようなオーディオグラフでも destination ノードにおけるすべてのオーディオ信号の公称範囲は [-1, 1] です。この範囲外の値の信号、あるいは NaN、正の無限値、負の無限値のオーディオレンダリングはこの仕様では定義されていません。

7. 空間音響 / パンニング

7.1. 背景

近年の 3D ゲームで良く要求される機能として、動的な空間音響と複数の音源の 3D 空間での移動があります。OpenAL、FMOD、クリエイティブ社の EAX、マイクロソフト社の XACT Audio などのようなゲームオーディオエンジンはこの機能を持っています。

PannerNode を使って、オーディオストリームを AudioListener に対する相対的な空間位置に配置し、定位させる事ができます。AudioContext は単一の AudioListener を持っています。パンナーとリスナーはどちらも右手系デカルト座標の 3D 空間内の位置を持っています。エフェクトの計算で使われる座標系は、メートルやフィートのような特別な単位とは独立した不変の座標系になっているため、座標空間で使用される単位は定められておらず、その必要もありません。( ソースストリームの ) PannerNode オブジェクトは音が放出される方向を示す orientation ベクトルを持っています。加えてそれらは音の指向性の強さを示すサウンドコーンを持っています。例えば、音が無指向性であれば、方向には関係なくどこからでも聴こえますが、指向性が強い場合、それがリスナーの方向を向いている場合にだけ聴こえます。( 人間の耳を表す ) AudioListener オブジェクトは人間が向いている方向を表すために orientation ( 訳注:"forward" ) と up のベクトルを持っています。

レンダリングの間、PannerNodeazimuthelevation を計算します。これらの値は空間音響をレンダリングするために実装によって内部的に使用されます。これらの値がどのように使われるかの詳細については、パンニングアルゴリズム セクションを参照してください。

7.2. アジマスとエレベーション

PannerNodeazimuthelevation を計算するために次のアルゴリズムが使用されなくてはなりません ( MUST ):

// Let |context| be a BaseAudioContext and let |panner| be a// PannerNode created in |context|.// Calculate the source-listener vector.let listener = context.listener;let sourcePosition = new Vec3(panner.positionX.value, panner.positionY.value,                              panner.positionZ.value);let listenerPosition =    new Vec3(listener.positionX.value, listener.positionY.value,             listener.positionZ.value);let sourceListener = sourcePosition.diff(listenerPosition).normalize();if (sourceListener.magnitude == 0) {  // Handle degenerate case if source and listener are at the same point.  azimuth = 0;  elevation = 0;  return;}// Align axes.let listenerForward = new Vec3(listener.forwardX.value, listener.forwardY.value,                               listener.forwardZ.value);let listenerUp =    new Vec3(listener.upX.value, listener.upY.value, listener.upZ.value);let listenerRight = listenerForward.cross(listenerUp);if (listenerRight.magnitude == 0) {  // Handle the case where listener’s 'up' and 'forward' vectors are linearly  // dependent, in which case 'right' cannot be determined  azimuth = 0;  elevation = 0;  return;}// Determine a unit vector orthogonal to listener’s right, forwardlet listenerRightNorm = listenerRight.normalize();let listenerForwardNorm = listenerForward.normalize();let up = listenerRightNorm.cross(listenerForwardNorm);let upProjection = sourceListener.dot(up);let projectedSource = sourceListener.diff(up.scale(upProjection)).normalize();azimuth = 180 * Math.acos(projectedSource.dot(listenerRightNorm)) / Math.PI;// Source in front or behind the listener.let frontBack = projectedSource.dot(listenerForwardNorm);if (frontBack < 0)  azimuth = 360 - azimuth;// Make azimuth relative to "front" and not "right" listener vector.if ((azimuth >= 0) && (azimuth <= 270))  azimuth = 90 - azimuth;else  azimuth = 450 - azimuth;elevation = 90 - 180 * Math.acos(sourceListener.dot(up)) / Math.PI;if (elevation > 90)  elevation = 180 - elevation;else if (elevation < -90)  elevation = -180 - elevation;

7.3. パンニングアルゴリズム

モノラルからステレオステレオからステレオ のバンニングがサポートされなくてはなりません ( MUST )。モノラルからステレオ の処理は入力への接続がすべてモノラルの場合に使用されます。そうでない場合、は ステレオからステレオ の処理が使用されます。

7.3.1. PannerNode の "equalpower" パンニング

これは基本的な、簡単で比較的コストの低いアルゴリズムですが、妥当な結果が得られます。これは PannerNodepanningModel 属性が "equalpower" に設定されている場合に使用され、elevation の値は無視されます。このアルゴリズムは a-rate パラメーターを使って実装されなくてはなりません ( MUST )。

  1. この AudioNode で処理される各サンプルごとに:

    1. azimuthアジマスとエレベーション セクションで説明されているとおりに計算します。

    2. azimuth の値は、まず以下の式に従って [ -90 , 90 ] の範囲内に変換します。

      // First, clamp azimuth to allowed range of [-180, 180].
      azimuth = max(-180, azimuth);
      azimuth = min(180, azimuth);
      
      // Then wrap to range [-90, 90].
      if (azimuth < -90)
        azimuth = -180 - azimuth;
      else if (azimuth > 90)
        azimuth = 180 - azimuth;
      
    3. モノラル入力に対して、正規化された値 x は、azimuth から次のように計算されます:

      x = (azimuth + 90) / 180;
      

      また、ステレオ入力に対しては:

      if (azimuth <= 0) { // -90 -> 0
        // Transform the azimuth value from [-90, 0] degrees into the range [-90, 90].
        x = (azimuth + 90) / 90;
      } else { // 0 -> 90
        // Transform the azimuth value from [0, 90] degrees into the range [-90, 90].
        x = azimuth / 90;
      }
      
    4. 左および右のゲイン値は次のように計算されます:

      gainL = cos(x * Math.PI / 2);
      gainR = sin(x * Math.PI / 2);
      
    5. またはモノラル入力の場合のステレオ出力は次のように計算されます:

      outputL = input * gainL;
      outputR = input * gainR;
      

      また、ステレオ入力でステレオ出力の場合の計算は:

      if (azimuth <= 0) {
        outputL = inputL + inputR * gainL;
        outputR = inputR * gainR;
      } else {
        outputL = inputL * gainL;
        outputR = inputR + inputL * gainR;
      }
      

7.3.2. PannerNode の "HRTF" パンニング (ステレオのみ)

この処理には様々な azimuth と elevation で記録された HRTF (Head-related Transfer Function) インパルスレスポンスのセットが必要です。実装には高度に最適化されたコンボリューション機能が必要になります。これは "equalpower" よりもコストが必要ですが、より空間的な音を得る事ができます。

HRTF を用いたバンニング処理の図

7.3.3. StereoPannerNode のパンニング

StereoPannerNode の場合、以下のアルゴリズムを実装しなければなりません ( MUST )。
  1. この AudioNode で計算される各サンプルに対して

    1. pan をこの StereoPannerNodepan AudioParamcomputedValue とします。

    2. pan を [-1, 1] の範囲にクランプします。

      pan = max(-1, pan);
      pan = min(1, pan);
      
    3. pan の値を [ 0 , 1 ] に正規化して x を計算します。モノラル入力の場合:

      x = (pan + 1) / 2;
      

      ステレオ入力の場合は:

      if (pan <= 0)
        x = pan + 1;
      else
        x = pan;
      
    4. 左および右のゲイン値を以下のように計算します:

      gainL = cos(x * Math.PI / 2);
      gainR = sin(x * Math.PI / 2);
      
    5. モノラル入力でステレオ出力の場合の計算は:

      outputL = input * gainL;
      outputR = input * gainR;
      

      また、ステレオ入力でステレオ出力の場合の計算は:

      if (pan <= 0) {
        outputL = inputL + inputR * gainL;
        outputR = inputR * gainR;
      } else {
        outputL = inputL * gainL;
        outputR = inputR + inputL * gainR;
      }
      

7.4. 距離効果

近くの音は大きく、遠くの音は小さくなります。リスナーからの距離に対して正確にどれだけ音量が変化するのかは、distanceModel 属性に依存します。

オーディオレンダリングの間、distance 値がパンナーとリスナーの位置を基に次のように計算されます:

function distance(panner) {  let pannerPosition = new Vec3(panner.positionX.value, panner.positionY.value,                                panner.positionZ.value);  let listener = context.listener;  let listenerPosition =      new Vec3(listener.positionX.value, listener.positionY.value,               listener.positionZ.value);  return pannerPosition.diff(listenerPosition).magnitude;}

そして、distance を使って distanceModel 属性に依存した distanceGain が計算されます。それぞれの距離モデルについて、これがどのように計算されるかの詳細は DistanceModelType セクションを参照してください。DistanceModelType の式によって計算された値は [ 0 , 1 ] の範囲に制限されます。

この処理の一部として、PannerNode は入力されるオーディオ信号を distanceGain でスケーリング/増幅し、遠くの音は小さく近ければ大きくします。

7.5. サウンドコーン

リスナーとそれぞれの音源はそれがどの方向を向いているかを表す方向ベクトルを持っています。それぞれの音源の音の放射特性は、音源の方向ベクトルに対してソース/リスナー間の角度の関数で音の大きさを表した内部および外部の "コーン" で表現されます。つまり、直接リスナーの方を向いた音源は、違う方向を向いた音源よりも大きく聴こえます。音源はまた、無指向性に設定する事も可能です。

あるソース( PannerNode )とリスナーに対して、コーンの効果によるゲインへの影響を計算するためには、次のアルゴリズムを使用しなくてはなりません ( MUST ):

function coneGain() {  let sourceOrientation =      new Vec3(source.orientationX, source.orientationY, source.orientationZ);  if (sourceOrientation.magnitude == 0 ||      ((source.coneInnerAngle == 360) && (source.coneOuterAngle == 360)))    return 1; // no cone specified - unity gain  // Normalized source-listener vector  let sourcePosition = new Vec3(panner.positionX.value, panner.positionY.value,                                panner.positionZ.value);  let listenerPosition =      new Vec3(listener.positionX.value, listener.positionY.value,               listener.positionZ.value);  let sourceToListener = sourcePosition.diff(listenerPosition).normalize();  let normalizedSourceOrientation = sourceOrientation.normalize();  // Angle between the source orientation vector and the source-listener vector  let angle = 180 *              Math.acos(sourceToListener.dot(normalizedSourceOrientation)) /              Math.PI;  let absAngle = Math.abs(angle);  // Divide by 2 here since API is entire angle (not half-angle)  let absInnerAngle = Math.abs(source.coneInnerAngle) / 2;  let absOuterAngle = Math.abs(source.coneOuterAngle) / 2;  let gain = 1;  if (absAngle <= absInnerAngle) {    // No attenuation    gain = 1;  } else if (absAngle >= absOuterAngle) {    // Max attenuation    gain = source.coneOuterGain;  } else {    // Between inner and outer cones    // inner -> outer, x goes from 0 -> 1    var x = (absAngle - absInnerAngle) / (absOuterAngle - absInnerAngle);    gain = (1 - x) + source.coneOuterGain * x;  }  return gain;}

8. パフォーマンスについての考察

8.1. レイテンシー

latency
レイテンシーが重要となるユースケース

Web アプリケーションでは、マウスとキーボードのイベント (keydown、mousedown 等) と聴こえる音の間のディレイタイムは重要です。

この時間の遅れはレイテンシーと呼ばれ、いくつかの要因 (入力デバイスのレイテンシー、内部バッファーのレイテンシー、DSP 処理のレイテンシー、出力デバイスのレイテンシー、スピーカーとユーザーの耳の距離、など) によって引き起こされ、累積されてゆきます。レイテンシーが大きいとユーザー体験の満足度は下がります。極端な場合、それは音楽制作やゲームプレイを不可能にする事もあります。ある程度のレベルになるとそれはタイミングに影響し、音が遅れている、あるいはゲームが反応しないなどの印象を与えます。音楽アプリケーションではタイミングの問題はリズムに影響します。ゲームではタイミングの問題はゲームプレイの精度に影響します。インタラクティブなアプリケーションでは、それは一般的にアニメーションのフレームレートがとても低いのと同じようにユーザー体験を非常に安っぽくします。満足できるレイテンシーはアプリケーションによって異なり、3 ~ 6 ミリ秒から 25 ~ 50 ミリ秒程度です。

実装は一般的に全体的なレイテンシーを最小化する事を目指します。

全体的なレイテンシーの最小化とあわせて、実装は一般的に AudioContextcurrentTimeAudioProcessingEventplaybackTime の差を最小化する事を目指します。ScriptProcessorNode が廃止予定となった事でこの考慮はその内問題とならなくなるでしょう。

さらに、AudioNode の中には、オーディオグラフのいくつかのパスに遅延を追加するものがあります。特に:

8.2. オーディオバッファーのコピー

AudioBuffer に対して 内容の取得 処理が行われるとき、処理全体は通常チャンネルデータのコピーをする事なく実装する事ができます。特に、最後のステップは次の getChannelData() の呼び出しまで先延ばしにするべきです(SHOULD)。それは (例えば、複数の AudioBufferSourceNode が同じ AudioBuffer を再生するような) 絶え間ない getChannelData() による、連続した 内容の取得処理 がアロケーションやコピーをする事なく実装できる事を意味します。

実装はさらに追加の最適化をする事も可能です: AudioBuffer に新しい ArrayBuffer が割り当てられておらず、しかし以前の AudioBuffer に対する 内容の取得処理 の呼び出し元のすべてが AudioBuffer のデータ使用を止めている場合に、その AudioBuffer に対する getChannelData() 呼び出しがあったとき、再割り当てやチャンネルデータのコピーを避けてデータバッファーの再利用が可能です。

8.3. AudioParam の遷移

AudioParamvalue属性に直接値を設定した際、自動的な平滑化が行われない一方で、いくつかのパラメーターは直接的な値の設定に対して滑らかな変化が望まれます。

setTargetAtTime() メソッドを低い timeConstant で使う事で開発者は滑らかな変化を実現する事ができます。

8.4. オーディオグリッジ

オーディオグリッジは正常な連続したオーディオストリームが途切れる事で発生し、大きなクリックノイズやポップノイズを引き起こします。それはマルチメディアシステムでは最悪の失敗と考えられ、絶対に避けなければなりません ( MUST )。それは適切な優先度を持っていなかったり時間的制約から起こるスケジューリングの遅延のような事が原因で、オーディオストリームをハードウェアに供給するスレッドの反応速度の問題によって引き起こされる事があります。また、それはオーディオDSPが与えられた CPU の速度ではリアルタイムで処理できないような多量の仕事をしようとする事で起こる場合もあります。

9. セキュリティとプライバシーの考察

W3C TAG は、仕様の編集者向けの参考情報として Self-Review Questionnaire: Security and Privacy を開発中です。

考慮すべき質問 について

  1. この仕様は個人を特定できる情報を扱いますか?

    Web Audio API を使用して聴力検査を行うことができ、個人に対して聞こえる周波数の範囲を明らかにすることができます ( これは年齢とともに減少します )。アクティブな参加を必要とするため、ユーザーの認識と同意なしにこれを行うことは困難です。

  2. この仕様は高価値のデータを処理しますか?

    いいえ。クレジットカード情報などは Web Audio では使用されていません。Web Audio を使用して、プライバシーに関する懸案事項であるかもしれない音声データを処理または分析することは可能ですが、ユーザーのマイクへのアクセスは getUserMedia を介する許可ベースになります。

  3. この仕様では、オリジンのためにブラウズセッションをまたいで保持される新しいステータスが導入されていますか?

    いいえ、AudioWorklet はブラウズセッションをまたいで保持されません。

  4. この仕様は、永続的なクロスオリジンなステータスを Web に公開していますか?

    はい、サポートされているオーディオサンプルレートと出力デバイスのチャンネル数が公開されています。

  5. この仕様は、現在アクセスしていないオリジンに何か他のデータを公開していますか?

    はい。利用可能な AudioNode に関するさまざまな情報を提供する場合、Web Audio API は、AudioNode インターフェイスを使用するページにクライアントの特徴的な機能に関する情報 ( オーディオハードウェアのサンプルレートなど ) を公開する可能性があります。さらに、タイミング情報は、AnalyserNode または ScriptProcessorNode インターフェイスを通じて収集することができます。その後、この情報を使用してクライアントのフィンガープリントを作成することができます。

    Princeton の研究 CITP の Web Transparency and Accountability Project は DynamicsCompressorNodeOscillatorNode を使用して、クライアントからエントロピーを収集してデバイスのフィンガープリントを行うことができることを示しました。これは、DSP アーキテクチャー、リサンプリング戦略、および異なる実装間のトレードオフの小規模で、通常は聞き取れない違いによるものです。正確なコンパイラーフラグと CPU アーキテクチャ ( Arm vs. x86 ) もこのエントロピーに貢献します。

    しかし実際には、これは単に "これは x86 上で実行されている Chrome" のように、簡単な手段 ( ユーザーエージェント文字列 ) で既に読み込み可能な情報の推論だけです。

    クロックスキューによるフィンガープリントは、Steven J MurdochとSebastian Zanderによって記述されています。これは getOutputTimestamp から判断することができます。スキューベースのフィンガープリンティングは、 by Nakibly et. al. for HTML でも実証されています。クロック分解能とドリフトの詳細については、 Security & Privacy appending of High Resolution Time を参照してください。

    レイテンシーによるフィンガープリンティングも可能です。これを baseLatencyoutputLatency から推論することは可能かもしれません。軽減策にはジッター ( ディザリング ) と量子化を追加して、正確なスキューについて正しくない報告をするようにします。ただし、ほとんどのオーディオシステムでは、WebAudio によって生成されたオーディオを他のオーディオまたはビデオソース、またはビジュアルキュー ( ゲーム、オーディオ録音、音楽制作環境など ) と同期させるために、低いレイテンシー を目指しています。過度の待ち時間はユーザビリティを低下させ、アクセシビリティの問題になる可能性があります。

  6. この仕様は、新しいスクリプトの実行/読み込みのメカニズムを有効にしますか?

    いいえ、worker script をその仕様で定義されている実行メソッドで使用します。( 訳注:worklet です )

  7. この仕様は、オリジンがユーザーの場所へのアクセスする事を可能にしますか?

    いいえ。

  8. この仕様は、ユーザーのデバイス上のセンサにオリジンがアクセスする事を許可していますか?

    直接的にはありません。現在、オーディオ入力はこのドキュメントでは規定されていませんが、クライアントマシンのオーディオ入力またはマイクにアクセスする事を含んでいます。これは、おそらく getUserMedia() API を介して、ユーザーに適切な方法で許可を求める必要があります。

  9. この仕様は、オリジンがユーザーのローカルコンピューティング環境の側面にアクセスすることを可能にしますか? ( 訳注:パラグラフが乱れています ) 直接的にはありません。要求されたすべてのサンプルレートがサポートされ、必要に応じてアップサンプリングが行われます。MediaTrackSupportedConstraints を使用して、Media Capture および Streams を使用して、サポートされているオーディオサンプルレートを調べることができます。これには明示的なユーザー同意が必要です。これは、フィンガープリントの小さな測定を提供します。しかし、実際には、ほとんどの民生機器とプロスペクター機器は、44.1kHz ( 本来は CD で使用 ) と 48kHz ( もともとは DAT で使用 ) の 2 つの標準化されたサンプルレートのいずれかを使用します。高度にリソースが制約されたデバイスは、音声品質の 11kHz のサンプルレートをサポートし、ハイエンドデバイスは、88.2、96、またはオーディオファイル 192kHz のレートをサポートすることがあります。

    すべての実装が 48kHz などの単一サポートされたレートにアップサンプリングするように要求すると、特別なメリットがなく CPU コストが増加し、ハイエンドデバイスに低速なレートを使用させるのは、プロフェッショナル向けには不適切です。

  10. この仕様は、オリジンが他の装置へアクセスする事を可能にしますか?

    通常、他のネットワーク機器へのアクセスは許可されていません ( ハイエンドの録音スタジオでの例外は、Dante ネットワーク機器である場合がありますが、通常は別個の専用ネットワークを使用します )。これは、必要に応じて、ユーザーのオーディオ出力デバイスまたはコンピューターへの個別のユニットであるデバイスへのアクセスを可能にしています。

    音声またはサウンドで作動するデバイスであれば、Web Audio API を使用して他のデバイスを制御することができるかも知れません。さらに、音操作デバイスが超音波周波数に敏感である場合、そのような制御は聞こえないかも知れません。この可能性は、<audio> 要素を介して HTML にも存在します。一般的なオーディオサンプリングレートでは、( 設計上 ) 多くの超音波情報のためのヘッドルームが不十分です

    人間の聴力の限界は通常 20kHz と言われています。44.1kHz のサンプリングレートの場合、ナイキスト限界は 22.05kHz です。真のブリックウォールフィルターを物理的に実現することができない場合、20kHz 〜 22.05kHz の間の空間は、ナイキストより上のすべての周波数を強く減衰させる高速ロールオフフィルターに使用されます。

    48kHz のサンプリングレートでも、20kHz 〜 24kHz の帯域で急激な減衰があります ( ただし、通過帯域の位相リップルエラーを回避する方が簡単です )。

  11. この仕様は、オリジンが、ユーザーエージェントのネイティブ UI をある程度制御可能ですか?

    UI に音声アシスタントやスクリーンリーダーなどのオーディオコンポーネントがある場合、Web Audio API を使用して、ネイティブ UI をエミュレートして、攻撃をローカルシステムイベントのように見せることができます。この可能性は、<audio> 要素を介する事で HTML にも存在します。

  12. この仕様では、Web に一時的な ID が公開されていますか?

    いいえ。

  13. この仕様では、ファーストパーティのコンテキストとサードパーティのコンテキストの動作を区別していますか?

    いいえ。

  14. この仕様は、ユーザーエージェントの "incognito" モードのコンテキストでどのように動作しますか?

    違いはありません。

  15. この仕様はユーザーのローカルデバイスにデータを保持しますか?

    いいえ。

  16. この仕様には「セキュリティに関する考慮事項」と「プライバシーに関する考慮事項」のセクションがありますか?

    はい ( あなたは今それを読んでいます )。

  17. この仕様では、デフォルトのセキュリティ特性をダウングレードできますか?

    いいえ。

10. 要件とユースケース

[webaudio-usecases] を参照してください。

11. 仕様のコードのための共通定義

このセクションでは、この仕様で使用される JavaScript コードで使用される一般的な関数とクラスについて説明します。

// Three dimensional vector class.class Vec3 {  // Construct from 3 coordinates.  constructor(x, y, z) {    this.x = x;    this.y = y;    this.z = z;  }  // Dot product with another vector.  dot(v) {    return (this.x * v.x) + (this.y * v.y) + (this.z * v.z);  }  // Cross product with another vector.  cross(v) {    return new Vec3((this.y * v.z) - (this.z * v.y),      (this.z * v.x) - (this.x * v.z),      (this.x * v.y) - (this.y * v.x));  }  // Difference with another vector.  diff(v) {    return new Vec3(this.x - v.x, this.y - v.y, this.z - v.z);  }  // Get the magnitude of this vector.  get magnitude() {    return Math.sqrt(dot(this));  }  // Get a copy of this vector multiplied by a scalar.  scale(s) {    return new Vec3(this.x * s, this.y * s, this.z * s);  }  // Get a normalized copy of this vector.  normalize() {    let m = magnitude;    if (m == 0) {      return new Vec3(0, 0, 0);    }    return scale(1 / m);  }}

12. 変更履歴

12.1. 2015年12月08日ワーキングドラフト以降

13. 承認

この仕様は W3C Audio Working Group 集合著作物です。

Members and former members of the Working Group and contributors to the specification are (at the time of writing, and by alphabetical order):
Adenot, Paul (Mozilla Foundation) - Specification Co-editor; Akhgari, Ehsan (Mozilla Foundation); Berkovitz, Joe (Invited Expert, affiliated with Noteflight/Hal Leonard, WG Chair from September 2013 to December 2017); Bossart, Pierre (Intel Corporation); Buffa, Michel (NSAU;) Caceres, Marcos (Invited Expert); Cardoso, Gabriel (INRIA); Carlson, Eric (Apple, Inc.); Chen, Bin (Baidu, Inc.); Choi, Hongchan (Google, Inc.); Geelnard, Marcus (Opera Software); Gehring, Todd (Dolby Laboratories); Goode, Adam (Google, Inc.); Gregan, Matthew (Mozilla Foundation); Hofmann, Bill (Dolby Laboratories); Jägenstedt, Philip (Opera Software); Kalliokoski, Jussi (Invited Expert); Kawai, Ryoya (AMEI); Lilley, Chris (W3C Staff); Lowis, Chris (Invited Expert. WG co-chair from December 2012 to September 2013, affiliated with British Broadcasting Corporation); MacDonald, Alistair (W3C Invited Experts) — WG co-chair from March 2011 to July 2012; Mandyam, Giridhar (Qualcomm Innovation Center, Inc); Michel, Thierry (W3C/ERCIM); Noble, Jer (Apple, Inc.); O’Callahan, Robert(Mozilla Foundation); Onumonu, Anthony (British Broadcasting Corporation); Paradis, Matthew (British Broadcasting Corporation) - WG Chair from September 2013 to present; Raman, T.V. (Google, Inc.); Rogers, Chris (Google, Inc.) – Specification Editor until August 2013; Schepers, Doug (W3C/MIT); Shires, Glen (Google, Inc.); Smith, Michael (W3C/Keio); Thereaux, Olivier (British Broadcasting Corporation); Toy, Raymond (Google, Inc.) - WG Chair from December 2017 - Present, Specification Co-editor; Verdie, Jean-Charles (MStar Semiconductor, Inc.); Wei, James (Intel Corporation); Weitnauer, Michael (IRT); Wilson, Chris (Google,Inc.) - Specification Co-editor; ZERGAOUI, Mohamed (INNOVIMAX)

準拠

文書の表記規則

適合要件は、記述アサーションと RFC 2119 用語の組み合わせで表現されます。基準部分のドキュメントにおいて、キーワード "MUST"、"MUST NOT"、"REQUIRED"、"SHALL"、"SHALL NOT"、"SHOULD"、"SHOULD NOT"、"RECOMMENDED"、"MAY"、"OPTIONAL" は RFC 2119 に記述されているように解釈されます。ただし、読みやすくするために、これらの言葉はすべてこの大文字では表示されません。

非基準情報、例、注、として明示的にマークされたセクションを除いて、この仕様の本文はすべて基準となります。[RFC2119]

この仕様では、「例」は、"例えば" という言葉で導入されているか、class="example" で標準のテキストとは別に設定されています。次のようになります:

これは例です。

参考としての注釈は "注"という単語で始まり、、class="note" という標準のテキストとは別に設定されています。次のようになります:

注: これは注釈です。

準拠の手順

アルゴリズムの導入で、アルゴリズムに必須の要件 ( たとえば、"先頭のスペース文字を取り除く" または "false を返してこれらを打ち切るステップ" など ) は、キーワード ( "must"、"should"、"may" など ) の意味で解釈されます。

アルゴリズムまたは特定のステップとして表現された適合要件は、最終結果が同等である限り、どのような方法でも実装できます。特に、本明細書で定義されたアルゴリズムは、理解しやすいように意図されており、実行可能であることを意図していません。実装者は最適化することが推奨されます。

準拠クラス

準拠したユーザーエージェントは、この仕様にリストされているユーザーエージェントに適用可能なすべての要件を実装する必要があります。

準拠したサーバーは、この仕様にリストされているサーバーに適用可能なすべての要件を実装する必要があります。

索引

この仕様で定義された用語

リファレンスで定義された用語

リファレンス

基準リファレンス

[DOM]
Anne van Kesteren. DOM Standard. Living Standard. URL: https://dom.spec.whatwg.org/
[ECMASCRIPT]
ECMAScript Language Specification. URL: https://tc39.github.io/ecma262/
[HR-TIME-2]
Ilya Grigorik; James Simonsen; Jatinder Mann. High Resolution Time Level 2. 1 March 2018. CR. URL: https://www.w3.org/TR/hr-time-2/
[HTML]
Anne van Kesteren; et al. HTML Standard. Living Standard. URL: https://html.spec.whatwg.org/multipage/
[MEDIACAPTURE-STREAMS]
Daniel Burnett; et al. Media Capture and Streams. 3 October 2017. CR. URL: https://www.w3.org/TR/mediacapture-streams/
[RFC2119]
S. Bradner. Key words for use in RFCs to Indicate Requirement Levels. March 1997. Best Current Practice. URL: https://tools.ietf.org/html/rfc2119
[WebIDL]
Cameron McCormack; Boris Zbarsky; Tobie Langel. Web IDL. 15 December 2016. ED. URL: https://heycam.github.io/webidl/
[WEBRTC]
Adam Bergkvist; et al. WebRTC 1.0: Real-time Communication Between Browsers. 2 November 2017. CR. URL: https://www.w3.org/TR/webrtc/
[WORKLETS-1]
Ian Kilpatrick. Worklets Level 1. 7 June 2016. WD. URL: https://www.w3.org/TR/worklets-1/

参考リファレンス

[2DCONTEXT]
Rik Cabanier; et al. HTML Canvas 2D Context. 19 November 2015. REC. URL: https://www.w3.org/TR/2dcontext/
[MEDIASTREAM-RECORDING]
Miguel Casas-sanchez; James Barnett; Travis Leithead. MediaStream Recording. 21 June 2017. WD. URL: https://www.w3.org/TR/mediastream-recording/
[MIMESNIFF]
Gordon P. Hemsley. MIME Sniffing Standard. Living Standard. URL: https://mimesniff.spec.whatwg.org/
[WEBAUDIO-USECASES]
Joe Berkovitz; Olivier Thereaux. Web Audio Processing: Use Cases and Requirements. 29 January 2013. NOTE. URL: https://www.w3.org/TR/webaudio-usecases/
[WEBGL]
Dean Jackson; Jeff Gilbert. WebGL 2.0 Specification. 12 August 2017. URL: https://www.khronos.org/registry/webgl/specs/latest/2.0/
[XHR]
Anne van Kesteren. XMLHttpRequest Standard. Living Standard. URL: https://xhr.spec.whatwg.org/

IDL 索引

enum AudioContextState {
  "suspended",
  "running",
  "closed"
};

callback DecodeErrorCallback = void (DOMException error);

callback DecodeSuccessCallback = void (AudioBuffer decodedData);

[Exposed=Window]
interface BaseAudioContext : EventTarget {
  readonly attribute AudioDestinationNode destination;
  readonly attribute float sampleRate;
  readonly attribute double currentTime;
  readonly attribute AudioListener listener;
  readonly attribute AudioContextState state;
  [SameObject, SecureContext]
  readonly attribute AudioWorklet audioWorklet;
  attribute EventHandler onstatechange;

  AnalyserNode createAnalyser ();
  BiquadFilterNode createBiquadFilter ();
  AudioBuffer createBuffer (unsigned long numberOfChannels, unsigned long length, float sampleRate);
  AudioBufferSourceNode createBufferSource ();
  ChannelMergerNode createChannelMerger (optional unsigned long numberOfInputs = 6);
  ChannelSplitterNode createChannelSplitter (optional unsigned long numberOfOutputs = 6);
  ConstantSourceNode createConstantSource ();
  ConvolverNode createConvolver ();
  DelayNode createDelay (optional double maxDelayTime = 1.0);
  DynamicsCompressorNode createDynamicsCompressor ();
  GainNode createGain ();
  IIRFilterNode createIIRFilter (sequence<double> feedforward, sequence<double> feedback);
  OscillatorNode createOscillator ();
  PannerNode createPanner ();
  PeriodicWave createPeriodicWave (sequence<float> real, sequence<float> imag, optional PeriodicWaveConstraints constraints);
  ScriptProcessorNode createScriptProcessor(optional unsigned long bufferSize = 0,
                                            optional unsigned long numberOfInputChannels = 2,
                                            optional unsigned long numberOfOutputChannels = 2);
  StereoPannerNode createStereoPanner ();
  WaveShaperNode createWaveShaper ();

  Promise<AudioBuffer> decodeAudioData (ArrayBuffer audioData,
                                        optional DecodeSuccessCallback successCallback,
                                        optional DecodeErrorCallback errorCallback);
  Promise<void> resume ();
};

enum AudioContextLatencyCategory {
    "balanced",
    "interactive",
    "playback"
};

[Exposed=Window,
 Constructor (optional AudioContextOptions contextOptions)]
interface AudioContext : BaseAudioContext {
    readonly attribute double baseLatency;
    readonly attribute double outputLatency;
    AudioTimestamp getOutputTimestamp ();
    Promise<void> suspend ();
    Promise<void> close ();
    MediaElementAudioSourceNode createMediaElementSource (HTMLMediaElement mediaElement);
    MediaStreamAudioSourceNode createMediaStreamSource (MediaStream mediaStream);
    MediaStreamTrackAudioSourceNode createMediaStreamTrackSource (MediaStreamTrack mediaStreamTrack);
    MediaStreamAudioDestinationNode createMediaStreamDestination ();
};

dictionary AudioContextOptions {
  (AudioContextLatencyCategory or double) latencyHint = "interactive";
  float sampleRate;
};

dictionary AudioTimestamp {
  double contextTime;
  DOMHighResTimeStamp performanceTime;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (OfflineAudioContextOptions contextOptions),
 Constructor (unsigned long numberOfChannels, unsigned long length, float sampleRate)]
interface OfflineAudioContext : BaseAudioContext {
  Promise<AudioBuffer> startRendering();
  Promise<void> suspend(double suspendTime);
  readonly attribute unsigned long length;
  attribute EventHandler oncomplete;
};

dictionary OfflineAudioContextOptions {
  unsigned long numberOfChannels = 1;
  required unsigned long length;
  required float sampleRate;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (DOMString type, OfflineAudioCompletionEventInit eventInitDict)]
interface OfflineAudioCompletionEvent : Event {
  readonly attribute AudioBuffer renderedBuffer;
};

dictionary OfflineAudioCompletionEventInit : EventInit {
  required AudioBuffer renderedBuffer;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioBufferOptions options)]
interface AudioBuffer {
  readonly attribute float sampleRate;
  readonly attribute unsigned long length;
  readonly attribute double duration;
  readonly attribute unsigned long numberOfChannels;
  Float32Array getChannelData (unsigned long channel);
  void copyFromChannel (Float32Array destination, unsigned long channelNumber, optional unsigned long startInChannel = 0);
  void copyToChannel (Float32Array source, unsigned long channelNumber, optional unsigned long startInChannel = 0);
};

dictionary AudioBufferOptions {
  unsigned long numberOfChannels = 1;
  required unsigned long length;
  required float sampleRate;
};

[Exposed=Window]
interface AudioNode : EventTarget {
  AudioNode connect (AudioNode destinationNode,
                     optional unsigned long output = 0,
                     optional unsigned long input = 0);
  void connect (AudioParam destinationParam, optional unsigned long output = 0);
  void disconnect ();
  void disconnect (unsigned long output);
  void disconnect (AudioNode destinationNode);
  void disconnect (AudioNode destinationNode, unsigned long output);
  void disconnect (AudioNode destinationNode, unsigned long output, unsigned long input);
  void disconnect (AudioParam destinationParam);
  void disconnect (AudioParam destinationParam, unsigned long output);
  readonly attribute BaseAudioContext context;
  readonly attribute unsigned long numberOfInputs;
  readonly attribute unsigned long numberOfOutputs;
  attribute unsigned long channelCount;
  attribute ChannelCountMode channelCountMode;
  attribute ChannelInterpretation channelInterpretation;
};

enum ChannelCountMode {
  "max",
  "clamped-max",
  "explicit"
};

enum ChannelInterpretation {
  "speakers",
  "discrete"
};

dictionary AudioNodeOptions {
  unsigned long channelCount;
  ChannelCountMode channelCountMode;
  ChannelInterpretation channelInterpretation;
};

enum AutomationRate {
  "a-rate",
  "k-rate"
};

[Exposed=Window]
interface AudioParam {
  attribute float value;
  attribute AutomationRate automationRate;
  readonly attribute float defaultValue;
  readonly attribute float minValue;
  readonly attribute float maxValue;
  AudioParam setValueAtTime (float value, double startTime);
  AudioParam linearRampToValueAtTime (float value, double endTime);
  AudioParam exponentialRampToValueAtTime (float value, double endTime);
  AudioParam setTargetAtTime (float target, double startTime, float timeConstant);
  AudioParam setValueCurveAtTime (sequence<float> values, double startTime, double duration);
  AudioParam cancelScheduledValues (double cancelTime);
  AudioParam cancelAndHoldAtTime (double cancelTime);
};

[Exposed=Window]
interface AudioScheduledSourceNode : AudioNode {
  attribute EventHandler onended;
  void start(optional double when = 0);
  void stop(optional double when = 0);
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional AnalyserOptions options)]
interface AnalyserNode : AudioNode {
  void getFloatFrequencyData (Float32Array array);
  void getByteFrequencyData (Uint8Array array);
  void getFloatTimeDomainData (Float32Array array);
  void getByteTimeDomainData (Uint8Array array);
  attribute unsigned long fftSize;
  readonly attribute unsigned long frequencyBinCount;
  attribute double minDecibels;
  attribute double maxDecibels;
  attribute double smoothingTimeConstant;
};

dictionary AnalyserOptions : AudioNodeOptions {
  unsigned long fftSize = 2048;
  double maxDecibels = -30;
  double minDecibels = -100;
  double smoothingTimeConstant = 0.8;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional AudioBufferSourceOptions options)]
interface AudioBufferSourceNode : AudioScheduledSourceNode {
  attribute AudioBuffer? buffer;
  readonly attribute AudioParam playbackRate;
  readonly attribute AudioParam detune;
  attribute boolean loop;
  attribute double loopStart;
  attribute double loopEnd;
  void start (optional double when = 0,
              optional double offset,
              optional double duration);
};

dictionary AudioBufferSourceOptions {
  AudioBuffer? buffer;
  float detune = 0;
  boolean loop = false;
  double loopEnd = 0;
  double loopStart = 0;
  float playbackRate = 1;
};

[Exposed=Window]
interface AudioDestinationNode : AudioNode {
  readonly attribute unsigned long maxChannelCount;
};

[Exposed=Window]
interface AudioListener {
  readonly attribute AudioParam positionX;
  readonly attribute AudioParam positionY;
  readonly attribute AudioParam positionZ;
  readonly attribute AudioParam forwardX;
  readonly attribute AudioParam forwardY;
  readonly attribute AudioParam forwardZ;
  readonly attribute AudioParam upX;
  readonly attribute AudioParam upY;
  readonly attribute AudioParam upZ;
  void setPosition (float x, float y, float z);
  void setOrientation (float x, float y, float z, float xUp, float yUp, float zUp);
};

[Exposed=Window,
 Constructor (DOMString type, AudioProcessingEventInit eventInitDict)]
interface AudioProcessingEvent : Event {
  readonly attribute double playbackTime;
  readonly attribute AudioBuffer inputBuffer;
  readonly attribute AudioBuffer outputBuffer;
};

dictionary AudioProcessingEventInit : EventInit {
  required double playbackTime;
  required AudioBuffer inputBuffer;
  required AudioBuffer outputBuffer;
};

enum BiquadFilterType {
  "lowpass",
  "highpass",
  "bandpass",
  "lowshelf",
  "highshelf",
  "peaking",
  "notch",
  "allpass"
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional BiquadFilterOptions options)]
interface BiquadFilterNode : AudioNode {
  attribute BiquadFilterType type;
  readonly attribute AudioParam frequency;
  readonly attribute AudioParam detune;
  readonly attribute AudioParam Q;
  readonly attribute AudioParam gain;
  void getFrequencyResponse (Float32Array frequencyHz, Float32Array magResponse, Float32Array phaseResponse);
};

dictionary BiquadFilterOptions : AudioNodeOptions {
  BiquadFilterType type = "lowpass";
  float Q = 1;
  float detune = 0;
  float frequency = 350;
  float gain = 0;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional ChannelMergerOptions options)]
interface ChannelMergerNode : AudioNode {
};

dictionary ChannelMergerOptions : AudioNodeOptions {
  unsigned long numberOfInputs = 6;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional ChannelSplitterOptions options)]
interface ChannelSplitterNode : AudioNode {
};

dictionary ChannelSplitterOptions : AudioNodeOptions {
  unsigned long numberOfOutputs = 6;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional ConstantSourceOptions options)]
interface ConstantSourceNode : AudioScheduledSourceNode {
  readonly attribute AudioParam offset;
};

dictionary ConstantSourceOptions {
  float offset = 1;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional ConvolverOptions options)]
interface ConvolverNode : AudioNode {
  attribute AudioBuffer? buffer;
  attribute boolean normalize;
};

dictionary ConvolverOptions : AudioNodeOptions {
  AudioBuffer? buffer;
  boolean disableNormalization = false;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional DelayOptions options)]
interface DelayNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParam delayTime;
};

dictionary DelayOptions : AudioNodeOptions {
  double maxDelayTime = 1;
  double delayTime = 0;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional DynamicsCompressorOptions options)]
interface DynamicsCompressorNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParam threshold;
  readonly attribute AudioParam knee;
  readonly attribute AudioParam ratio;
  readonly attribute float reduction;
  readonly attribute AudioParam attack;
  readonly attribute AudioParam release;
};

dictionary DynamicsCompressorOptions : AudioNodeOptions {
  float attack = 0.003;
  float knee = 30;
  float ratio = 12;
  float release = 0.25;
  float threshold = -24;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional GainOptions options)]
interface GainNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParam gain;
};

dictionary GainOptions : AudioNodeOptions {
  float gain = 1.0;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, IIRFilterOptions options)]
interface IIRFilterNode : AudioNode {
  void getFrequencyResponse (Float32Array frequencyHz, Float32Array magResponse, Float32Array phaseResponse);
};

dictionary IIRFilterOptions : AudioNodeOptions {
  required sequence<double> feedforward;
  required sequence<double> feedback;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioContext context, MediaElementAudioSourceOptions options)]
interface MediaElementAudioSourceNode : AudioNode {
  [SameObject] readonly attribute HTMLMediaElement mediaElement;
};

dictionary MediaElementAudioSourceOptions {
  required HTMLMediaElement mediaElement;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioContext context, optional AudioNodeOptions options)]
interface MediaStreamAudioDestinationNode : AudioNode {
  readonly attribute MediaStream stream;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioContext context, MediaStreamAudioSourceOptions options)]
interface MediaStreamAudioSourceNode : AudioNode {
  [SameObject] readonly attribute MediaStream mediaStream;
};

dictionary MediaStreamAudioSourceOptions {
  required MediaStream mediaStream;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (AudioContext context, MediaStreamTrackAudioSourceOptions options)]
interface MediaStreamTrackAudioSourceNode : AudioNode {
};

dictionary MediaStreamTrackAudioSourceOptions {
  required MediaStreamTrack mediaStreamTrack;
};

enum OscillatorType {
  "sine",
  "square",
  "sawtooth",
  "triangle",
  "custom"
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional OscillatorOptions options)]
interface OscillatorNode : AudioScheduledSourceNode {
  attribute OscillatorType type;
  readonly attribute AudioParam frequency;
  readonly attribute AudioParam detune;
  void setPeriodicWave (PeriodicWave periodicWave);
};

dictionary OscillatorOptions : AudioNodeOptions {
  OscillatorType type = "sine";
  float frequency = 440;
  float detune = 0;
  PeriodicWave periodicWave;
};

enum PanningModelType {
    "equalpower",
    "HRTF"
};

enum DistanceModelType {
  "linear",
  "inverse",
  "exponential"
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional PannerOptions options)]
interface PannerNode : AudioNode {
  attribute PanningModelType panningModel;
  readonly attribute AudioParam positionX;
  readonly attribute AudioParam positionY;
  readonly attribute AudioParam positionZ;
  readonly attribute AudioParam orientationX;
  readonly attribute AudioParam orientationY;
  readonly attribute AudioParam orientationZ;
  attribute DistanceModelType distanceModel;
  attribute double refDistance;
  attribute double maxDistance;
  attribute double rolloffFactor;
  attribute double coneInnerAngle;
  attribute double coneOuterAngle;
  attribute double coneOuterGain;
  void setPosition (float x, float y, float z);
  void setOrientation (float x, float y, float z);
};

dictionary PannerOptions : AudioNodeOptions {
  PanningModelType panningModel = "equalpower";
  DistanceModelType distanceModel = "inverse";
  float positionX = 0;
  float positionY = 0;
  float positionZ = 0;
  float orientationX = 1;
  float orientationY = 0;
  float orientationZ = 0;
  double refDistance = 1;
  double maxDistance = 10000;
  double rolloffFactor = 1;
  double coneInnerAngle = 360;
  double coneOuterAngle = 360;
  double coneOuterGain = 0;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional PeriodicWaveOptions options)]
interface PeriodicWave {
};

dictionary PeriodicWaveConstraints {
  boolean disableNormalization = false;
};

dictionary PeriodicWaveOptions : PeriodicWaveConstraints {
  sequence<float> real;
  sequence<float> imag;
};

[Exposed=Window]
interface ScriptProcessorNode : AudioNode {
  attribute EventHandler onaudioprocess;
  readonly attribute long bufferSize;
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional StereoPannerOptions options)]
interface StereoPannerNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParam pan;
};

dictionary StereoPannerOptions : AudioNodeOptions {
  float pan = 0;
};

enum OverSampleType {
  "none",
  "2x",
  "4x"
};

[Exposed=Window,
 Constructor (BaseAudioContext context, optional WaveShaperOptions options)]
interface WaveShaperNode : AudioNode {
  attribute Float32Array? curve;
  attribute OverSampleType oversample;
};

dictionary WaveShaperOptions : AudioNodeOptions {
  sequence<float> curve;
  OverSampleType oversample = "none";
};

[Exposed=Window, SecureContext]
interface AudioWorklet : Worklet {
};

[Global=(Worklet, AudioWorklet), Exposed=AudioWorklet]
interface AudioWorkletGlobalScope : WorkletGlobalScope {
  void registerProcessor (DOMString name, VoidFunction processorCtor);
  readonly attribute unsigned long long currentFrame;
  readonly attribute double currentTime;
  readonly attribute float sampleRate;
};

[Exposed=Window]
interface AudioParamMap {
  readonly maplike<DOMString, AudioParam>;
};

[Exposed=Window,
 SecureContext,
 Constructor (BaseAudioContext context, DOMString name, optional AudioWorkletNodeOptions options)]
interface AudioWorkletNode : AudioNode {
  readonly attribute AudioParamMap parameters;
  readonly attribute MessagePort port;
  attribute EventHandler onprocessorerror;
};

dictionary AudioWorkletNodeOptions : AudioNodeOptions {
  unsigned long numberOfInputs = 1;
  unsigned long numberOfOutputs = 1;
  sequence<unsigned long> outputChannelCount;
  record<DOMString, double> parameterData;
  object? processorOptions = null;
};

[Exposed=AudioWorklet,
Constructor (optional AudioWorkletNodeOptions options)]
interface AudioWorkletProcessor {
  readonly attribute MessagePort port;
};

dictionary AudioParamDescriptor {
  required DOMString name;
  float defaultValue = 0;
  float minValue = -3.4028235e38;
  float maxValue = 3.4028235e38;
  AutomationRate automationRate = "a-rate";
};